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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第二章
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第二十七話

飛鳥視点


悍ましい死肉の姿にヤマタノオロチという伝説の竜が思い浮かぶ。


「ヤマタノオロチ…」


誰かが分からないが私と同じような事を考え、その言葉を口に出した。


「《八股…か…。その程度では…ないぞ!》」


カマエルの発した言葉通り、四足で動く死肉の山から数本、数十本、百数十とミミズみたいな首をした人間の頭が生える。


「《行け……蹂躪…!しろ!!》」


死肉の鞭が勇者達に向かって伸びて振るわれる。死肉の口から薄黒い靄が漏れ出しており、噛まれでもしたら不味い!!


「させないわ!!」


玲子の強い言葉が黄金の矢と共に放たれる。玲子の黄金の矢は青山君の壁を通過し、大きさを倍加させて、襲い掛かる死肉の鞭を貫き、崩壊させる。


「《厄介な…。だが、それも…長く…持たんだろう……。さっさと……朽ちよ!!》」


カマエルが右手を上に引き上げるような動作をすると、死肉とは別に獣の形をした骨や人骨が地面から這い出る。


「まだ呼び出せるの!?」

「《舐めて…貰っては……困る!!私、は!!土に……還った……死体………を、操る…事……等!造作も……ない!!》」


地中に眠っていた筈の骨達がカマエルに寄って呼び起こされ、奴の護りを固める骨で作られた鎧と剣を身に着けた人骨達が私達を見て、自分達に勝てる訳がないと嘲笑し、ケタケタと不快な音が鳴り響き、心の芯が冷える、戦意が萎えそうになる。


「骨は私がやる!!【一里一閃(カリヴァーン)】!!」


横薙ぎに払う黄金の剣。しかし、その長さは一里には到達しえない短さ、せいぜい100m程度。いつもの五分の一。黄金の剣は壁を通過する事により長さが倍加し、カマエルを巻き込みながら他の骨騎士や骨獣は上下真っ二つ。黄金の剣は一瞬の抵抗はあったもの、兼本さんは振り切った。骨達は地面に落ち、カマエルの姿が見えない。


「これで……」

「《君は……何を…見て、いたの……かな?》」

「!?」


地面に転がっている骨の中からカマエルが骨を押し退けて立ち上がる。同じく、地面に転がっている骨も浮かび、新たに組み上がり、ケンタウロスのような骨の騎士の軍勢が出来上がる。


「《両断……された…程度、では……足りない、ぞ!》」

「そん…な…」


兼本さんはそう言って倒れる。


「《骨の……軍勢よ…!勇者達…を、串刺しに……せよ!》」


猛スピードで私達に迫る。一体どうしたら良い。このままではジリ貧だ。風を使ってミキサーする?いや、でも、細切れになってもあの肉塊になる。……そういえば、一つだけ使った事の無い剣がある。でも、効果は三十秒と短い。必ず勝てる時にじゃないと駄目。剣の一撃を必ず奴に浴びせれると確信した時…いや、けれどそのチャンスがいつ来る?そもそも奴に近付けるの?


そのようにうだうだと考えているとバキンッと甲高く鳴り響き、音が聞こえた方向を見ると黄金の壁が粉砕され、青山君が倒れ、玲子が放つ矢を潜り抜けた首達が二人に殺到する。不味い!今、剣を召喚しようとしても間に合わない!!このままじゃ……玲子が…!


「「駄目ーーーー!!」」


鞭のように(しな)る頭の歯が玲子に触れる直前、バシンッと黄金の膜によって弾かれた。これは…恵那の能力?死肉の攻撃が何度も弾かれ、更には靄でさえ拒んでいる。聖心力であの靄は無効化出来るんだ…!


「これなら…戦える!玲子!恵那!樋口君!」

「分かってるわ!エリスト!」

「…うん!…ミカエルさん……!」

「ああ!ヒューリ!」


三人は自身の護衛騎士を自身の傍へと呼ぶ。…一人、足りないけど…。これならいつも通り戦える!


「恵那、玲子、ミカエルさん!エリストさんは後衛!私、樋口君、ヒューリさんが前衛で攻める!」

「長嶋さん!」

「何っ!?」


私は睨むように声の主を見る。


「相羅君…何っ!?貴方に構ってる暇はないの!!」

「僕も戦うよ!一人でも戦力が多い方が…」

「邪魔!要らない!」

「えっ!?」

「連携をした事のない人が入っても邪魔なだけ!さっさん皆と一緒に下がれ!!」


私は視線をカマエルへと戻し、恵那の能力を纏い、私と樋口君にヒューリさんが前に出る。


「行くよ!!私達は明人に頼ってるだけじゃないと証明するの!!」

「「ああ!!」」

「三人共!フォローは任せて!!」

「皆…は!私が……守る!!」

「「お二人は私達が守ります!!安心して戦って下さい!!」」


頼もしい友の声と仲間の声に背中を押され、私達は駆け出す。すると肉塊が私達に狙いを定めて、伸びる首が噛み付き攻撃をしてくるが剣で迎撃し、剣で捌ききれない攻撃を恵那の能力が弾く。


「【聖十倍々(フルバーストモード)】!!」


樋口君がそう叫び、剣に集う聖心力の輝きが増し、更にその速度を上げて、肉塊へと迫る。自身の害悪になりうる存在に危機感を覚えた肉の山は新たに首を生やして、樋口君に迫る。


「させるか!!《円環斬》!!」


ヒューリさんが樋口君の前に飛び込むように回転して、彼に迫る肉の槍が輪切りにされる。


「喰らえ!!」


樋口君がしゃがんだ状態で着地したヒューリさんの背中を蹴って跳躍して肉塊の上へと着地し、背中に剣を突き刺す。


「吹き飛ばせ!!」


刀身から聖心力の光がより激しく輝き、その輝きが肉塊の中に浸透、充満するとブクブクと膨れ上がり、黄金の光が噴き出しバンッと肉塊は破裂した。


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