第二十五話
飛鳥視点
明人が周りの騒ぎに反応してバッとテントを開く。外を見ると一箇所に人集りが出来てる。だけど、敵襲があった様子ではない。全員が外に出て、様子を確認する。かなり賑わってる様子だけど…何をしてるんだろう。
玲子は近くに居て、その様子を酒のツマミにしてるベテランの騎士二人に話し掛ける。
「あれは何をしてるのかしら?」
「ん?ああ……勇者様。あれはですな、村に伝わる神剣を引き抜こうとしてるんですよ」
「ええ。この大陸では有名らしいですよ。あの神剣を引き抜けるのは英雄になる資格がある者だけと村長が言ってましたが、本当の話なのか怪しいものですよ」
カカカッと豪快に笑い、塚に刺さった神剣を引き抜こうとしてすっ転んだ騎士を見て酒を呑み進めた。
「英雄の剣!正しく僕が抜くに相応しい剣だ!」
と、人集りの中を割いて相羅君が神剣へと歩く。
「お、今度は勇者様の挑戦か。こりゃまた、面白い事になりそうだ」
お酒を呑んでるベテランの騎士が少し前のめりになる。
「さて!行くぞ!」
相羅君がそう意気込んで柄を掴もうとした時、人混みを掻き分けて村長が彼へと必死の形相で近付く。
「なりません!それが勇者様が触れては…!」
「え?」
既に遅し、相羅君は神剣の柄を掴み、静電気みたいな輝きを放って彼は拒絶されて村長の前まで吹き飛ばされた。
「…この神剣は英雄になる者だけが引き抜ける剣。英雄とは神の祝福なき者で魔人殺しを成せる者だけに許される称号なのです」
相羅君はひっくり返ったダサい状態で村長の話を聞いて、黙って立ち上がり、砂を払う。
「なるほど。なら、弾かれて当然だな」
そして、何事も無かったかのようにその場から立ち去った。何がしたかったの…アイツ…。
「英雄かぁ…。なら、サエタル団長はどうですか!?」
一人の騎士がそう言い、丁度サエタル団長が通り掛かる。
「ん?僕かい?」
「そうっすよ!団長ならいけますよ!」
「ふむ。…まぁ、試しになら…」
団長さんが一直線に神剣へと歩き、その柄を掴む。
「これは…かなり…重いね…」
弱気な発言をしながらも団長さんは徐々に持ち上げて、神剣の刀身を露わにするが、パッと手放し、神剣は塚の中に再び吸い込まれる。
「駄目だねこれは。…そうだ、アキト!君ならイケるじゃないか!?」
「うぇ…。此方に矛先が来た…」
少し辟易とした様子で明人は団長さんの所へと行く。色んな視線が明人へと刺さってるのが見える。嫉妬、疑惑、期待、愉快、同情という視線に晒されながら、団長さんの元に着く。
「で、俺にやれって事ですか?」
「ああ」
団長さんはにこやかな笑顔を明人に向ける。この人は明人の事を信用してるし、期待してるんだ。明人は目線を団長さんから神剣に移し、柄を掴んだ。
「あれっ?」
明人は拍子抜けたした声を上げて、神剣をスルッと持ち上げる。
「えっ…。凄い軽いんだけど……何故?」
明人はあまりの軽さに小首を傾げている。その光景を驚愕した表情で村長さんが見ていた。
「そ、そんな事が…まさか…神剣を抜く者が現れるとは…」
ふふん♪どうよ!これが私の護衛騎士なんだから!そう誇らしげにしてるとバサッと大きな音が上から聞こえ、大きな影が地面を這う。
「上よ!!」
玲子は黄金の弓矢を召喚して空に向けて矢を放つ。その方向には大きな鳥が飛翔しており、頭に貫通するが動きを止めずに、人が集まっている場所の上にホバリングして、大きな鳥から何かが落ちる。…あれ?あの場所って本来私達が食事をする筈だった場所…!まさか推理通りに!!
私は村長の姿を探すが既に姿は消えていた。それより神剣を持って倒れてる明人を見付けて、私は慌てて駆け寄る。
「明人っ!どうしたの!」
「身体…の、中……が、熱…い。…身体が………作り…変えられ、る…感覚……が…」
「と、取り敢えず安全な場所に!」
明人の身体に触れるとあまりの熱さで反射的に手を庇う。な、何…?この異常な身体の熱さは?熱さの割に服が燃えてないのは単なる熱では無いんだ。兎に角、ここから明人を離さないと…!
私は聖心力を循環させて、明人のズボンを掴んで引っ張って運び、木に凭れ掛けさせる。その間、明人は神剣をずっと離さない。この異変はこの神剣のせいだと思って、指からゆっくり剥がそうとするけど、まるで瞬間接着剤が付いてるのかと思う程にへばり付いている。
「ウワァァァ!!」
悲鳴!もう皆戦ってる!?
「明人。私、行って来るよ。待ってて」
私は明人が腰に挿してる剣を貰い、悲鳴の中心を目指した。




