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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第二章
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第二十二話

飛鳥視点


村の中に入ると一気に景色が開ける。今まで森があったのが信じられない程に家がズラッと建ち並んでおり、中央には大きな広場があり、真ん中にはキャンプファイヤーの組み方で焚き火が焚かれ、村中には松明の火の灯りが輝き、日が落ちる中で人々が動く、その様子が良く見える。


そして、その広場から唯一煉瓦で舗装されている馬車三台分の横幅の道が伸び、その先には貴族の豪邸より遥かに大きい三階建ての御屋敷がドンッと存在していた。


「あちらが勇者様方が寝泊まりする場所です。けれど、今回のお食事はこの広場で御用意させて頂きます。このような外で勇者様方にお食事して頂くなど心苦しいのですが、御容赦下さい」

「構わないよ。僕達は当然の事をしたまでだ」


まるで私達の代表かのような振る舞いで相羅君は偉そうに言う。確かに助けた側だけど相手は年上だよ。何で敬語なしなの?


「ありがとうございます。そう言って下さると私共も救われます。では、暫しお待ちを。直ぐにお食事を御運びしますので。勇者様方はそちらのテーブル席に」


村長さんが指したテーブル席は急造で作られた粗さがあるけど、人が触れるような場所はキチンとささくれが削がれており、スベスベとしている。これが職人技…。


「護衛である騎士様方分の椅子とテーブルは急な為、御用意出来ませんでした。ですので、あちらの村で使う集会所を御使い下さい」


集会所、その大きさは村にある家の幅の五倍の二階建てで、あの御屋敷に比べれば随分と小さいが集会所としては妥当の大きさかな?ここから随分と遠い。恐らく徒歩二〜三分位。明人とあんなに離れた所で食べるのは少し寂しく感じる。


「では、騎士様方…私に付いてきて下さい」


と、村長が踵を返そうとした時に玲子が前に出る。


「私は騎士と食べるので、私も集会所に行きます。宜しいですね?」


そうか!私達が一緒の所に居れば、ここの椅子の数なんて関係ないよね!


「え?しゅ、集会所に…ですか?」


村長は玲子の言葉に戸惑う…いや、どちらかというと困った様子で狼狽える。


「ええ。別に構わないでしょ?」

「か、構いませんが…。そちらの椅子やテーブルは年季がたっておりまして…」

「構わないわ。良いわよね?村長さん」

「そこまで言うのでしたら…」

「だったら、テーブルと椅子を持って集会所に行けば良いじゃないか!」

「ええ!?」


村長が渋々と言った感じで納得した時に相羅君が名案とばかりに言い、村長は驚きの声を上げる。


「それは良いわね。樋口君、テーブルを運んで。エリストとヒューリさんは椅子を纏めてね」

「「「はい」」」


玲子の言った通り、三人はテーブルと椅子を村長さんの案内なく集会所に運ぶ。


「テ、テーブルは集会所の扉に入りませんよ!」

「玄関近くなら問題ないでしょう。それに入口なら観音開きでしょう?そうじゃないと人が一斉に入れないでしょうから」

「そ、そうですが…」

「あら、テーブルを集会所に入れるのに不都合でも?」

「い、いえ…」


玲子が腕組みをして威圧したからか、村長はそれ以上は何も言えずにしょんぼりして肩を落とした。


村長はトボトボと活力のない歩きで私達を集会所へと連れて行く。その姿に私は罪悪感が湧き、隣を歩く玲子にボソッと話し掛ける。


「(ねぇ、少し圧が強かったんじゃない?)」

「(……あの村長、どうも怪しいのよね)」

「(怪…しい?)」

「(ええ。私達と護衛の騎士を離そうとしたり、そもそも野外でテーブル作るなんて……意味を感じるのよ)」


意味、かぁ…。考えてみれば、わざわざ外でテーブルを組み立てるのは意味が分からない。普通は家の中で組み立てる物。それを外に置いて作るなんて、確かに……意味、感じる。


「(…飛鳥、あの村長の怪しい動きを見逃さないでね)」

「(わ、分かった)」


集会所に着くと樋口君達三人が玄関前で私達を待っていた。


「奥の方にテーブルと椅子並べたから行こうぜ!」


樋口君はそう言って集会所の中へと入る。玲子の言う通り観音開きの扉から玄関に入り、その先に同じ扉があり、扉の先にある部屋では二つのテーブルと椅子が倍の数ある。


「では、お料理をお持ちしますのでお待ち下さい」


村長はそう言って頭を下げて、部屋を出ようとすると明人は私の隣の席を確保して立ち上がって村長に近付く。


「俺も運ぶの手伝いますよ」

「い、いえ…騎士様にそのような事は…」

「一人では大変でしょうから、お気になさらず」


明人は村長に有無を言わさないように肩を掴んで一緒に部屋を出る。すると、一席ズレて津川さんが明人の席に座り、顔をグイッと近付ける。えっ?えっ?な、何?


「ちょっと付き合って?」

「え?う、うん」


私は津川さんに付いて行き、部屋を出て左側の廊下の突き当りまで行って身体ごと振り返り、私の目を見る。一体何の用だろう。


津川さんは一歩前に出てこう言った。


「ねぇ!彼ってさ!付き合ってる人って居るの!?」


……………。はっ…!ビックリして頭が真っ白になった!


「な、何でそんな事を聞くの!?」


私がそう問い掛けると彼女は頬を紅く染めて、モジモジとする。


「そ、それは……ね。た、助けられて…ほ、惚れちゃった…」


え?


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