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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第二章
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第二十一話

飛鳥視点


……。うるさい…。金属が引っ掻かれる酷い音が聞こえる。それに頭がクラクラする。不快な気分で身体を起こす。あれ?何か今…大変な事が起きてたような?……あっ!そうだ!私達は船に乗ってた時、魔物達に襲われて…!


頭をガンガンと叩かれるみたいな酷い頭痛に耐えながら周りを見る。…た、戦ってる…!それに凄い魔物の数…!襲ってる数も、死体の数も。寝てる場合じゃない…。私も戦わないと…!そう思い、立ち上がろうとすると膝に力が入らず転んでしまう。


転んだ音で私が起きた事に気が付いた玲子が私の元に駆け寄る。恵那は私の近くに居て、私の身体を起こしてくれる。


「飛鳥!貴方は聖心力を使い切って時間がそれほど経ってないんだから休んでて!」

「そうだ、よ…!凄く……疲れてる…はず、なんです…から…!」

「けど、玲子…。皆が戦ってるのに、私だけなんて…」

「飛鳥…も戦って…た…!」

「そうよ!貴方はさっき助けてくれたでしょ!それで充分!今度は私達が助ける番よ!」


二人が心配そうな顔で私を見る。…けど…。


「だけど…!やっぱり…皆が大変そうにしてるのに…私だけ、見てるなんて……」

「安心しろ。俺がなんとかする」


明人が言葉と共に背後からやって来た…のは良いけど…。


「なんでびしょ濡れなの?」

「……それは後でな」

「それもだけど……髪が…」

「ああ。色?」

「うん…」


明人の髪が金髪に…いや、よく見ると眉毛にまつ毛、それに爪まで金色に染まっている。それだけで完全に別人だ。


「聖心力だよ。まだ、皆には教えてない技術の成果だ」


ま、まだ教えてない技術があるんだ…。でも、それだけで金髪になるってどういう事?


「それじゃあ、そろそろ行って来るよ」

「え?うん。いってらっしゃい」


私の言葉を聞いた直後、そよ風が吹き、雷が走ったように金色の光が一本のラインを作る。その雷は光速で過ぎ去り、魔物達を引き裂いた。大量の魔物達が瞬きの瞬間に蹂躪される。


「な、何が起きてる…?」

「わ、分からん…」


周囲の騎士達が現実離れした光景に呆然としている。稲妻の如く輝く一閃は森の奥まで続き、端から端まで移動し、反転を繰り返され、魔物達の絶命の悲鳴が合唱のように空間を揺らし、森の奥からヒタヒタと戻って来て、私達の前へと来て止まる。


「疲れた」


と、一言告げてぶっ倒れた。


「あ、明人!」

「だ、大丈夫…!」


明人は倒れながら右手を上げてひらひら~と振る。


「け、けど…」

「大丈夫だって…。だけど、筋肉疲労で暫く動けない」


明人はそう言って仰向けになりながら疲労感を滲ませた笑顔で笑う。


「…そっか…。なら…」


私は手足を使って明人に近付いて、正座の状態から足を少し崩して明人の頭を載せる。


「これなら少しは回復早いんじゃない?」

「…助かる」


あ、明人の髪が黒髪に戻ってる。寝たかな?と思ったけど、眉間に皺が寄っており、多分聖心力を循環させる事に集中してる。


「全く。人目を憚らずイチャイチャと。仕方ないから私達が戦後処理しておくわね」

「人……目?」


私は周囲を見渡し、私達に視線が集まってる事に気が付いた。


「み、見ないで〜~〜!!」


私はフラガラッハを取り出して周囲を風で覆い、飛翔して船の甲板に逃げた。


明人を船のベッドに寝かせると、私も意識が急に霞んで、そのまま意識が飛んでしまった。私が起きると明人はベッドの中に居らず、逆に私がベッドの中におり、掛け布団を上に掛けられていた。


ベッドから出て、部屋を出ると明人が扉横に居た。


「おはよう、飛鳥。元気になったか?」

「それは此方の台詞!明人こそ大丈夫なの!?いきなり倒れたし…」  

「大丈夫だ。しっかりと回復したよ」

「…そう。なら良いんだけど…」

「それで……外に出れるか?」

「むっ…」


さっきあんな事をしちゃった後だから皆の前に出るの恥ずかしいんだけど……。


はぁ…。いつかは出なきゃいけないし、後々になった方が出るのが辛くなるよね。


「うん、出る」

「じゃあ、皆の所に戻るか」


私達は二人一緒に船から下りると森が馬車一台分にまで拓かれ、砂浜には仮設テントが複数立てられており、全体の雰囲気は先程まで戦っていたのかと疑う程に和気藹々としており、騎士の他に薄汚れた服を着ている人達も何名か居て、見たことのない人達だ。誰だろうと考えてると玲子が私達に気付いて駆け寄ってくる。


「飛鳥、起きたのね。今はね、村が見付かって、村人と騎士の人達が話し合って、その村を今後の拠点にしたいと交渉して、了承を得て村の方で宴会の準備をしてるのよ」

「道理で…」


視点を回すと木を抱き締めてる樋口君を見付けて何をしてるんだろうと思ったら、根っこごと木を引っこ抜いて、その木を担いで、大量の木が積まれてる場所に置いた。ヒューリさんとエリストさんは騎士の人達が倒した木を同じように運んでいく。


「凄い…」

「森が開けたのはあの三人のお蔭ね」


そっか…と独り言ち、周囲が急に暗くなった事に気が付いた。


「今日はもう日が暮れる!村の方に移動するぞ!」

『『『『『はい!!』』』』』


サエタルさんの一言で騎士達は作業を止め、サエタルさんは薄汚れた服を着た老人の男性へと向く。


「では、村長。勇者様をお先に案内して頂けますか?」

「勿論、我々を解放して下さった方には恩赦しかありません。勇者様方、村にご案内させて頂きます。私に付いてきて下さい」


私達、勇者と護衛騎士達は村長さんの後を追って村へと入った。


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