表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第二章
76/229

第二十話

明人視点


突如現れた脅威は山形と清水さんのお蔭で取り除かれた。更に脅威は味方となり、悉く魔物達を屠るのに手助けしてくれる。崩れた戦線と落ちた士気は持ち直し、終わりの見えない魔物列に立ち向かう。


「お前等!!勇者様方の足を引っ張るなよ!!」

『『『『『オオオォォォ!!!』』』』』


二人の勇者の活躍は騎士達の動きを向上…いや、元の調子へと戻っていく。


「二人に負けてられないな!!」


相羅はエグフェスト流のスプリットステップを開始する。


「エグフェスト流を僕の自己解釈も足した、真・エグフェスト流……いや、相羅流を見せる時!!」


相羅は自身の護衛騎士から盾を受け取ると魔物を殴り、剣は違う魔物を斬り、そのまま一回転し、盾で殴った魔物を斬り、斬った魔物を盾で殴り飛ばす。更に盾で攻撃を弾き飛ばしながら、ステップで左へとズレながら首を裂く。スプリットステップによる左右の動きで、盾と剣による連撃を休まず続ける。一人で騎士三人の動きを熟している。魔物達は自身達の攻撃が効かず、一方的に(なぶ)る相羅に恐れ慄き、避けるように他の騎士達を襲うようになる。


「おっと。あまりの強さに獣でも実力差が分かってしまったか」

「相羅君のお蔭で…!!」


兼本はそう言葉を切り、魔物が集中した場所を黄金の長尺の大剣で斬り払う。


「倒すのが楽だわ」

「それは良かった」


勇者達がドンドン薙ぎ倒すが、未だに魔物の数が途切れない。どちらが限界が来るか。そして、三十分は経とうかと云う時に…山形が最初に限界がきた。


「くっ…やばっ…目眩が…。不味い、誰か…。俺の操ってる魔物…殺して…」


山形が倒れる瞬間に志村と清水さんが全ての魔物を一瞬で首と脳天に武器で穿った。


「ありが…と、う…」


山形が護衛騎士に支えられて安心した顔で気絶した。山形は後衛の後ろまで護衛騎士によって運ばれる。しかし、かなりのピンチだ。今まで山形の魔物達で維持していた均衡が徐々に崩れそうになる。これはそろそろ俺達の出番だな。


「清水さ…」


その言葉を掻き消す程の爆音が響き、音の方を見ると次々に井上達が居る崖に船を砲撃と魔法が集中し、井上達には届かないが崖そのものに攻撃を重ねている。


「くっ!うわっ!」

「おい!倒れ…ぐふっ!」


ついに此方の均衡が崩れ、騎士が魔物に押し倒され、別の騎士が魔物の魔法の一撃を喰らい、跳ね飛ばされる。魔法を次々に斬っていた志村も地面に立ち、フラフラとした足取りになっている。俺も助太刀に入ろうと聖心力を全身に巡らせた時、ドカンと今までで一番大きな音。


音は崖からで、崖を見ると崖の真ん中部分に大きな窪みができ、そこから罅がギシッと入り、大きな音を立てながらバキバキッと亀裂が全体へと走る。ヤバイ…!あのままでは崩れる!どうする。戦線か、崖の上の十人か…。どっちを助ける…。


「まだだ!!皆!!持ち堪えろ!!」


その言葉と共に騎士達が魔物に押された場所を一瞬で制圧した長い金髪を後ろに纏めた騎士が皆を鼓舞する。


「団長…!」


此方は大丈夫だ。なら、俺が助けるのは崖の方だ。この距離では普通の循環では間に合わない!なら、半年前に偶々発見した循環を行う!


今までの循環は聖心力を引き出して、それを全身に循環させて、効率的に最大まで身体能力を強化させる。しかし、この方法は聖心力を切った時に循環した分消費する。だが、これから使う循環は自分の聖心力を全て引き出し、全身に循環させて、そして聖心力の源に直接戻す。


聖心力が出力される感覚は刻まれているが、聖心力が充填する感覚は知らず、聖心力を源に循環させる事は出来なかった。半年前、何時も通りに聖心力の出力の訓練をしていた時にそろそろ終えようと思って切った瞬間、飛鳥から扉越しに話し掛けられ、起きろ!と自分に強く念じた刹那、歪んだ視界が元に戻って気絶する事はなく、源部分に循環するコツを掴んだ。


全ての聖心力を使えるこの循環は弱点は二つ。先ずは全ての聖心力を引き出すのに時間が掛かる。そして、二つ目は全ての聖心力を身体中に浸透、循環させると身体が強大な力に負けて皮膚や血管が破ける。しかし、問題はそこではない。聖心力の効果のお蔭で一瞬で回復するからだ。では、何が問題か。それは、身体中が引き裂かれる痛みが常時襲う事だ。その痛みを代償に発動する。別に聖心力全て扱くても良いが、それだとあの崖まで届かない!


「この力を使うんだ…。絶対助ける!」


身体中がブチブチと弾ける音を聞きながら清水さんを見る。


「飛鳥を頼む」

「ええ。親友だもの」


彼女の一言に安心して剣を鞘ごと落とし、砂を踏みつけて跳躍するように駆けた。崖は聖心力を引き出している間に崩壊を始めた。崖上に続く坂まで距離は約300メートル、その距離を一歩で詰める。


『『『『『ウワァァァーーー!!』』』』』


全身が悲鳴を上げながら海へと落ちていく。このままでは崩れた崖に潰される。俺は坂を一瞬で駆け上り、落ちていく崖の中に飛び込みながら全員を見回す。人数は十名。片手ずつで二人、腕の中で二人ずつ。それで二人を挟んでみよう!


俺は落ちる瓦礫を蹴る事で空中を駆け回って全員を先程決めた感じで掴み取る。


「津川様!能力は使えますか!?」

「は、はい。あと三つだけ」


俺の質問に俺達の周囲に回る三つの玉を視線で伝える。ならと、俺は空中の瓦礫を踏んで左に移動し、落ちる崖から脱出する。


「二つを俺達付近の瓦礫を爆発!」

「え?」

「早く!」


津川さんは俺の言う通りに俺達の近くで瓦礫を爆発して、その爆風で俺達は瓦礫とは反対側に吹き飛ぶ。


「青山様!下に壁を!」

「分かった!」


青山は落ちるであろう海に向かって黄金の壁を出現させる。このまま行けば海に激突し、打撲するだろうが…。


「清水様!壁の下に爆発を!」


彼女は頷き一つで聖球を壁に通過させて倍加、更に爆発させて壁に通過して爆風が倍加させる。落ちる速度が減衰……だけでは終わらず十一人という人数を押し返して、海へと柔らかく落とす。俺は全員抱えて水上を飛び出し、バタ足で浅瀬まで運び、浜に全員転がす。


「後は自分達で頼みます。俺は…」


清水さんから剣を投げ渡され、左手で受け取る。


「全部、薙ぎ倒す」


俺は鞘から剣を引き抜いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ