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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第二章
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第十九話

明人視点


相羅の号令により、勇者と騎士達は魔物達に立ち向かう。前に完勝した戦いとは違い、開けた場所ではなく、森という視界や間合いを制限させられる場所は戦いには不向きで、特に人間には不利に作用する。だから、人間側は不用意に森の中へと入れない。だから、足場が不安定な砂場で相手する事になる。それに、海の上での奇襲のせいで鎧を着込む時間は無く、頼れる防具は盾のみで、どれだけ魔物達の進撃を防げるか不安だ。


船を停留する場所だけが木材で出来ているだけ、港ならコンクリートまでは望まないが、砂浜全てに木材を張って欲しかった。森もある程度伐採してくれれば良いものを…。魔物達に押し込まれれば、砂浜に足を取られて転ぶ。


「おわっ!」


と、こんな事を言ってる間にすっ転ぶ奴がいるかよ!助けようともしたが、志村が転んだ騎士にのしかかろうとする魔物を蹴り飛ばす。


「大丈夫ですか!」

「あ、はい!大丈夫です!」

「良かった!」


志村がそう言うと猛スピードですれ違う魔物達を斬り刻む。短剣であるため細切りには出来ないが、魔物達の身体に無数の線が刻まれ、そこから大量の血を噴き出し、出血多量により次々に倒れる。けれど、あまり暴れる事が出来てない。猛スピードで空間を駆ける能力である為、木々が密集した場所では速度を出す事が難しいからだろう。


この中で最も活躍してるのは山形だった。彼の魔物の操る能力は前線を維持するのに一躍買っており、迫りくる魔物達を対処出来るのは山形のお蔭だ。派手に分かりやすく活躍してるのは黄金の大剣を振り回す兼本さん。


「クソッ…全然数が減らない…!」


どっかの騎士がそう呟く。明らかに騎士達の動きが悪い。終わらない戦いに士気が下がっている。それに船の数も減らされたとはいえ、何しろ船の数が多い。だから、全員が下船するのにはまだ時間が掛かる。次々に騎士が戦力として投入されるが、余裕のない下船直後の戦闘は船旅の疲れが重なり、万全な状態で戦えない。


特に第三は大型の武器を振り回す為、今回のフィールドではどうしても密集して戦わなければならず、正直あまり戦いに参戦出来ずにいるが、流石第三を纏めてる団長は冷静で、第三の騎士達は温存という形にし、負傷で騎士が三人抜けた場所に第三の騎士二人を宛がう。第三の騎士は攻撃力だけなら他の騎士団と比べてもトップだ。しかし、攻撃速度は遅く、もう一人の騎士が攻撃までの間の隙を大盾で庇う。そして、入れ替わるように攻撃役が前に、盾役が横に移動して、魔物達を薙ぎ払う。


負傷した騎士達は軽症なら木下が作ったサクランボで、重症なら宮田さんの能力で回復して前線に復帰する。


相羅は魔物の身体を切り飛ばし、魔物の爪や飛んでくる魔法の一撃を周囲に纏う鎧で弾く。野村や護衛騎士達は力強く、俊敏な動きで魔物達を切り飛ばし、魔法を斬り裂く。志村は高速で空中を駆けて、騎士に襲いかかる魔法の驚異を二つの短剣で払い、負傷者を出来るだけ減らす。


砂浜は魔物の死体で埋まり、前線を少しずつ下げなければならない。獣型の魔物達はその四肢で死体を踏み付けて、虫達はその羽根で死体を無視するように此方を襲って来る。


「家畜は飛べなくて残念ね」

「そうね。地を這う事しか能が無いのよ」

「可哀想。可哀想ねぇ」


突如として影を被り、バサバサと音を立て、不愉快な侮辱的な言葉が空から降る。全員の視線は上に向けられる。あれは…ハーピィか?数は十二体。


「ひ、人型の魔物だ!」


ベテランの騎士が恐れを含んだ声で叫んだ。すると、その恐怖は一瞬で伝達する。人型の魔物は騎士であれば必ず習う。絶対的な脅威の敵として。人型は圧倒的な力と連携力に、技の駆け引きや技術、更には高威力の魔法を放つ。人型一体を倒すのにベテランの騎士が十人徒党を組む必要とがあると言われている。


教育によって埋め込まれた恐怖に騎士達の身体が強張り、その隙を狙って魔物達が騎士達を強襲し、戦線を崩す。


「クソッ!!このままじゃ!!」

「皆の者!狼狽えるな!!!【王命(オーダー)】!!人型の魔物達よ!!皆を守る為に迎撃せよ!!」


山形がハーピィ達に向かい命令する。


「は?あんた何を言って…」


と、一体のハーピィが見下した視線を彼に向けた直後、その顔が味方のハーピィの足の鉤爪で裂かれる。


「ギャーー!!」


両目諸共割かれ、耳を劈く程の激しい悲鳴が空の上に響く。


「あ、あんた!何をして!」


仲間を切り裂いたハーピィを問い詰めようとしたハーピィはまた別のハーピィに腹を引き裂かれ、夥しい血を獣型の魔物達に降らせる。


「ぐぅぅ!何か、おかしいわ…!!」

「分かってる!多分、アイツよ!!アイツのせいでおかしくなったのよ!」


操られていないハーピィの視線が山形を捉えるが、その後ろを操られた五体のハーピィが背中の翼の付け根を鉤爪で裂き、無傷であった五体のハーピィ達は地面へと吸われるみたいに頭から落ちる。


「これじゃ飛べない!なら!せめて!お前だけを道連れに!!」


ハーピィが山形へと狙い定めて足の鉤爪を向けるが、清水さんの黄金の矢が落ちるハーピィ五体と空中で悶てる二体の頭を穿ち、絶命させた。


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