第十五話
明人視点
出港してから二週間。流石に海は慣れて、船旅に飽きが出た頃に無人島へと俺達は水着で降り立った。
「「海だぁーー!!」」
飛鳥と大和がそうやってテンションを上げて海へと駆け出す。
「二週間も見てて飽きないの?二人共」
「見るのと入るのは全然違うよ玲子!」
「確かに…。海に入ると髪にも肌にもダメージがあるから全然違うわね」
「うっ!」
飛鳥は図星を突かれたような反応をし、大和は関係ないとばかりに海の前で準備運動をしている。
「そ、それなら何で玲子は水着を着てるの!?海に入る為じゃないの!?」
そう言って飛鳥は純白で左胸に薔薇の花が編み込まれたビキニを着ている清水さんを指す。
「ん?私?」
「玲子様。パラソルと敷布をお持ちしました」
エリストが清水さんの後ろからパラソルと敷布を両脇に抱えてやって来た。
「ありがとう」
清水さんはエリストの方へと近付き、エリストがパラソルを砂浜に打ち込んだ後、その作業を終えたエリストの腕を掴み、彼女は自身の形の良い柔らかな胸を押し付ける。
「なっ!」
エリストは一瞬で顔が赤くなる。
「私はエリストを籠絡する為に着てるのよ」
「ど、堂々と言い過ぎじゃない」
「それなら貴方はどうなの?少しは見て欲しいって思ってるんでしょ?」
「それは…」
飛鳥は俺をチラリと見る。…じゃあ、期待にお応えしよう。
「似合ってるよ、飛鳥」
「……バカ」
俺から顔を逸して俯く。その耳は真っ赤で分かりやすく照れてる。飛鳥の水着も同じく真っ赤なビキニで赤のパレオを腰に巻き、髪を赤いリボンでポニーテールに纏めてる。似合ってるというのは心の底からの言葉だ。
「や、やっぱり…私が、こんなの…、駄目…です…」
「いえいえ、お似合いですよ。恵那様!」
そんな声が聞こえて、そちらを見るとミカエルに引っ張られるバスタオルを被ったお化けみたいな相澤さんが此方へと歩いて来る。
「ほら!こんな布を取ってお天道様に恵那様の素敵な姿をお見せしましょう!」
ミカエルは一気にパッとバスタオルを奪い取る。
「あっ!」
相澤さんの姿が露わになる。左側の前髪を向日葵を象った髪留めで彼女の顔が露わになる。眼鏡は取り外され、彼女はかなり美少女である事が判明する。トップスがフレアで、ボトムスがキュロットパンツのオレンジ色の水着を着ている。
俺は彼女と付き合ってる大和へと視線を移すと、ポーッと熱に浮かされたみたいに顔を赤くして硬直している。俺は大和に近付いて背中を小突くように肘を軽く喰らわせる。
「あたっ!」
「見惚れてないで何か言ったらどうだ」
「あ、ああ…」
大和はゆっくりとした足取りで相澤さんへと近付く。距離が縮まる度に二人の顔は真っ赤に染まっていき、相澤さんは恥ずかしさのあまりか、顔を大和から顔を背ける。そして、目の前へと立つと、大和は何度か口を開き、閉じるのを繰り返す。相澤さんが恐る恐るといった様子で大和の顔を見て、大和は喉をゴクンと鳴らす。
「き…綺麗…だよ…」
「あ、はい…」
二人は顔を赤くしてモジモジとする。二人の頭から湯気が見える。仲が良さそうな雰囲気を割く砂を歩く音が聞こえ、そちらを見ると相羅が此方…というか二人の所へと進んで、大和を押し退け、尻餅を着かせた。
「あっ……!」
相澤さんは尻餅を着いた大和に反応し、助けようとするが彼女の前に相羅が熱の籠もった視線で相澤さんを見詰める。
「君!とても綺麗だね!女性部隊の騎士かなっ!なんでこんな綺麗な人を見逃していたんだろ!どうかな!?僕と一緒に魔王を倒さないか!」
彼女は相羅を無視して大和を助けようとするが、相羅が邪魔をする。そんな彼の肩を大和が掴む。
「おい。人を突き飛ばして無視とは人間が出来てねぇな」
「ん?…ああ、気付かなかった。悪い。それで、どうだろ!?僕と一緒に行かないか!?」
「相澤と気付いてないくせにナンパしてんじゃねぇよっ!」
と、言って自身と同じように肩を引っ張り、相羅を尻餅着かせると相澤さんの傍へと移動し、彼女の腰に手を回して彼女を守るように相羅を睨み付ける。しかし、相羅は驚いた顔をして立ち上がる。
「そうなのか!そんな綺麗だとは思わなかったよ!?僕と同じパーティーになろう!僕なら魔王を必ず討伐するし、幸せにするから!」
「だからナンパすんじゃねぇよ!相澤は…お、俺の…俺の彼女なんだからな!!」
大和は顔を赤くして相羅に言い放つ。相澤さんは瞳をキラキラと輝かせて、大和を見詰める。
「相澤さん……こんな奴より僕の方が頭も顔も実力も優れてる。樋口なんか捨てて、僕と共に来るんだ」
相羅がそう言って相澤さんに手を差し出す。相澤さんは少し俯き、覚悟を決めた顔へと変え、ギュッと大和を抱き締める。
「わ!私は!ひ、樋口…君。が好き…だから!…それに!す、好きな…人を!貶し…める…!人は嫌い……です!に、二度…と、話し…掛け…ないで、下さい!」




