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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第二章
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第十四話

飛鳥視点


私達は皆と一緒に恵那の部屋の前へと立ってノックする。中から返事が来て、扉が開くとミカエルさんが出て来た。


「…あ、皆様…。どうぞ」


ミカエルさんに中へと案内されて、ベッドに寝込んでる恵那を見て、ベッドの側で座って恵那の顔色を見る。まだ具合悪そう。


「大丈夫、恵那?」

「うん。少し…楽、になった…から…」

「樋口君が重湯を持って来たから食べて」


恵那はピクッと反応して、扉側へと視線を向けて樋口君を視界に捉えると掛け布団を被る。ごめん、恵那。確かにボサボサの姿を好きな人に見せたくないのは分かる。けど…樋口君も心配してるし、それにみっともない姿を見せる代わりに好きな人に看病されるという夢も叶う。…という訳で。


「樋口君。恵那に食べさせて上げて。まだ少し辛そうだから」

「「えっ!?」」


二人は驚き、樋口君はおぼんを手から落とし、恵那は布団から起き上がる。おぼんは明人が受け止めた。


「いや、それなら私が…」

「お前は飯を食え」


ミカエルさんの言葉をおぼんを渡してヒューリさんは封じ、椅子にそのまま座らせる。ナイスアシスト!

明人はおぼんを樋口君に渡して、彼を恵那の前まで押す。私は立ち上がって扉側へと下がり、二人を見守る体勢になる。


「あ、あの…じゃあ。お願い…します…」

「お、おう」


樋口君は匙に重湯へと入れて、掬ってゆっくり、慎重に口へと運び、恵那は小さく口を開けて、重湯を流し込まれ、匙が離れると軽く咀嚼して飲み込む。


「美味しい…です…」

「よ、良かった…」


このまま私達が居るのも邪魔だなと思って、明人達三人と視線を合わして部屋を出た。


「じゃあ、私達四人で甲板へと行きましょうか」


玲子の提案に全員が賛成して、そのまま甲板へと上がる。


「うわぁ…。綺麗…」


テレビで見たグレートバリアリーフのような透明度が高くキラキラして、綺麗な青空や小さな島の自然と合わさり、写真みたいな綺麗な風景が眼下に広がる。木で出来た大型船にエモさを感じて、凄いテンションが上がる。


「綺麗だね、明人!」

「飛鳥の方が綺麗だよ」


…ちょっ!なぁっ!!


「って言うのが定番かな?」


明人は冗談ぽく笑い、からかわれたと分かり、私は明人のおでこに手刀を一発喰らわせる。


「いて」

「明人、最近私をからかい過ぎじゃない!」

「好きな女の子にイタズラしたくなる。所謂小学生男子心だよ」


またそんな事を言って……!!


「大人になってよぉ…」


私はあまりの恥ずかしさで声が消え入りそうに言う。


「じゃあ、こうするか」


明人は左手で私の右手を取って、指を絡ませて繋ぐ。所謂恋人繋ぎをされる。私は思わず、明人を見上げる。


「大人っぽいだろ」


そう言って柔らかく笑い、私の心を騒ぎ立てて顔を熱くさせる。私はやられっぱなしなのが嫌で、明人に身体を預けて、明人の左手から右手を離し、右腕を明人の脇下に通し、左腕を絡ませる。


「こっちの方が大人っぽくない?」


私は仕返しを籠めてそう言いながら明人に顔を向ける。明人の顔は余裕の笑みを崩しておらず平然としている。


「このまま甲板を見回ろうか」

「う、うん」


明人が段々と大人な男性に見えてきて、心臓が太鼓なのではと思う程に心音が大きい。…よくよく考えたら、明人ってこの世界で十七年過ごしている。つまりは精神年齢で言えば私より倍だ。大人っぽくなって普通。そう普通だ。


「ん?どうした?」

「べ、別に!何でもない!」


この手玉に取られる感覚は悔しさと嬉しさで心臓がおかしくなりそう。


「イチャつき過ぎよ二人共」


一通り甲板からの景色を見回り、部屋の中へと戻ろうとし、玲子とエリストさんに声を掛けた時、彼女が放った最初の一言だった。


「べ、別にそこまでイチャついてないよ!」

「イチャついてたのは認めるのね」

「うっ…」

「まぁ、分かりやすくイチャイチャしていたから、自分でも理解するわよね。飛鳥、顔がデレデレだったわ」

「そ、そこまでじゃないよ!」

「いえ、これでも表現が足りないわね。…デロデロね。だらしなかったわ」

「デ、デロデロって…」

「鏡があったら見せたいわ。今の飛鳥の顔。幸せな顔を描いてと言われた百人中百人が今の飛鳥を描くわ」

「そ、そんなに…?」


そんなにだらしない顔をしてるかな?私は思わず顔をグニグニする。


「ま、さっさとお部屋に戻った方が良いわ。クルーの人達が愛する者の所に帰りたくなってしまうから」


玲子の言葉に疑問符が頭の中に浮かんだが、特に追及はしなかった。


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