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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第二章
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第五話

明人視点


「あ、そうだ!せっかく話し合いの場を設けたんです!自己紹介致しましょうよ!ちゃんと自己紹介してないですから!」


話し合いが一旦止まったタイミングでミカエルがニコニコな笑顔でそう提案してきた。


「良いわね。それじゃあ護衛騎士達の紹介からで良いかしら」

「はい!勿論です!では、言い出した私から!私はミカエル・デールクライと言います♪好きなものはお菓子と紅茶です♪」

「あと、美人の男女だろ」


ヒューリがそう横槍を入れた。ミカエルはキッとヒューリを睨み胸倉を掴む。


「余計な事を言うんじゃないわよ!」

「だってお前が猫被ってて気持ち悪かったんだよ!」

「なんですって!」

「それにお前が騎士団に入ったのはサエタル団長とエリーファ団長の顔がタイプだったからだろ!」

「そ、それを今言わなくて良いじゃない!」


これ以上は熱くなってヒートアップしかねない。それに勇者陣営が軽く引いてる。俺は二人へと近付いて……。


「そろそろ落ち着け!」


二人の頭をガンッと手刀で叩いた。


「「いっったぁぁ~!」」

「次、エリスト。好きなものは言わなくても良いから」

「分かった。…え〜と、僕はエリストと言います。実家はパン屋で、妹はそこの頭を抱えてる男と婚約しています。宜しくお願いします」

「エ、エリスト!」


エリストはヒューリの方へと向き、ペロッと舌を出してちょける。


「へ〜…。これは後でよ〜~く、聞かないとなぁ〜」

「くっ!恨むぞエリスト!」


エリストはどこ吹く風といった様子でそっぽを向いた。


「じゃあ、次、サリアさんと婚約してるヒューリ」

「アキトォ!!」

「へぇ〜…。サリアさんって言うのか…」

「ぐっ…。お、俺はヒューリ・カリスアイクと言います。よろ…」

「「「好きなタイプはサリア(さん)」」」

「ぐぬっ…!…よ、宜しくお願いします!」


さて、次は俺か。しかし、知ってる相手に向けて自己紹介は照れるな。


「えー。俺はアキトと言います」

「好みタイプは飛鳥でしょ」


清水さんにそう言われる。


「そうだけど?」


俺は即答した。清水さんは何故か感心したように「ほぉ〜」と声を上げ、飛鳥と相澤さんは顔を真っ赤にして、大和は驚いた顔をしている。


「明人が……認めた、だと!?」

「大人になったんだよ。正確に言えば成らざるを得なかっただけだが。ま、宜しくお願いします」


頭を下げて護衛騎士側の自己紹介を終える。


「では、次は私達ね。先ずは私から。私は清水玲子。好きなものはイケメン。好みのタイプはエリスト。宜しく。じゃ、次は飛鳥」


おお…。清水さん、何でこんな堂々と言えるんだよ。エリストも顔を真っ赤にして面食らってるよ。


「え!この流れ良くない気がする!え、え〜と…、私は長嶋飛鳥です。好きなもの…は別に言わなくて良いんだよね!」


飛鳥は希望に輝いた瞳で見てくる。可愛いが、しかし…。


「好みのタイプ。聞かせてくれないのか?」

「ふぇっ?い、言える訳ないでしょ!バカ!察しなさい!」


飛鳥は顔を真っ赤にしながら言うので、嬉しくてつい口角が上がる。


「分かったよ。名前だけで良いよ」

「…なんか明人、変わり過ぎ…。じゃあ、次、恵那、お願い」

「は、はい。…私は相澤……恵那、と言い…ます。宜しくお願いします…」


簡素に終わったな。じゃあ、大トリに何かを期待するか。


「頼んだぞ大和。最後に凄い自己紹介をしてくれ」

「無茶を言うな!ったく…。俺は樋口大和です。え〜と凄いって何だよ…。え〜と?」

「好きな人でも良いぞ」

「い、言えねぇよ!」

「ここで言った方が後々気持ちを伝える時に死亡フラグにならないぞ」

「!!?」


大和は天啓を受けたみたいな大袈裟な顔をした後、ブツブツと小声で呟いたと思ったら、頬をパンパンッと叩き、覚悟を決めた表情に変わる。


「お、俺のす、すす好きな人は!…………な…です」

「もっと大きな声で!」

「あ、相澤…!恵那です!!」

「……………え」


相澤さんは硬直して、暫く間を開けてから涙がポロポロと溢れた。大和はその様子を見て、アワアワと慌てる。


「あ、え、ごめん!相澤さん!嫌だった!?」

「ち、違う…です。う、嬉しく…て」

「嬉しい…って?」

「はい…。さっきも、飛鳥…と玲子が…凄く…凄く怒ってくれて…。樋口…君が、私の…事を…好きって…言って、くれて。好きな人が…好きって、言ってくれる。これ程、嬉しい…事はない…です」


彼女の泣き笑顔に大和は頬を赤らめ、期待するような顔で相澤さんを見詰める。


「そ、それって…」

「はい。私も、好き…です!」

「…や、やったぁぁぁ……」


大和は嬉しさに叫ぶのではなく、噛み締めるように喜んだ。


「(独り身お前だけだな)」


ヒューリが隣のミカエルのそう言い、彼女から肘鉄を鳩尾に喰らって悶た。ヒューリがここまでデリカシーのない発言をするとはミカエルとどんな関係なんだ。


ま、そんな事より新しいカップルが生まれた事を喜ぼう。


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