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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第一章
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第四十九話

「では!これからの一ヶ月は神様の祝福を扱う訓練となります!」


いよいよ本番と言うべきか、エリーファさんから祝福の使用しての訓練が告げられる。


「祝福の使用は教会の者達によると、神よ我等に賜る力を解放させ、人々をお救い下さいと唱えると御自身のお力が分かるそうです」


と、エリーファさんから伝達されると、皆一斉に唱える。すると、目の前に七本の剣が現れる。其々の能力が脳内に文字として浮かぶ。私はそのうちの一本を手に取る。その剣は名刀マサムネという名前で能力はスピード強化。効果は一分で、一分を過ぎると全ての聖心力が尽きるがその分強力な能力。途中で使用の中断が出来る。けれど、時間は引き継ぎとなる。再使用は一日後。他の剣とも切り替えが出来る。


次に妖刀ムラマサへと切り替える。能力は斬撃を直線上に100メートル飛ばす。この場で使うのは駄目なもの。次は長剣の神剣エクスカリバー。鞘には人々を癒やす効果があり、範囲十メートル内であればどんな傷も癒やし、剣で魔物を斬りつけると傷口から内部に聖心力で作られた剣が生える。…結構凄い能力。


四本目はフラガラッハという剣。この剣を使うとカマイタチを任意で飛ばし、空を飛べるようになる。五本目はジャンヌダルクの剣は一秒後の予知が見える。六本目は両手剣カラドボルグは斬撃を空間に残し、魔物に触れると魔物のみを斬る虹の円が現れて斬り裂く。


最後の一本は神器アメノムラクモノツルギ。この能力に限っては時間消費が倍となるが能力が強力で、三つの能力を持つ。一つ目は魔物の攻撃を無効、魔法反射。二つ目は味方の身体能力倍化。三つ目は薙ぎ払いすると草原であれば、草原内に居る全ての魔物を燃やす。…強いけど、使い所が限られてる。


取り敢えず、今使えるのはマサムネとフラガラッハとジャンヌダルクの剣。あ、あと残り三十秒だ。私はアメノムラクモノツルギを消えろと念じると、フッと消失する。


「メリアさん十秒位お手合わせして下さいませんか?」

「分かりました」


メリアさんは木剣ではなく鞘を紐で固定している剣で構える。私は虚空を掴み、マサムネを取り出すイメージで引っ張り出す。


「では、行きます!」


足を動かした瞬間に周りがゆっくりとなる。私はあっという間にメリアさんへと近付く。私は次の瞬間にはジャンヌダルクの剣へと変える。するとメリアさんが少しだけ驚くビジョンが脳内に浮かぶ。視界と脳内で見える景色が一秒ずつ違う。それが尋常じゃなく気持ち悪い。私は直ぐにフラガラッハへと切り換えて、空を飛ぶ。


「…っ!?」


ここまでメリアさんの表情が変わるのは始めて見た。私はメリアさんの裏へと周り、剣を首の側へと置く。


「参りました」


私は剣を消して、ふぅ~と長く息を吐く。何か異様に疲れた。聖心力を大量に消費したから?


「私のはあんまり長く使えないので、普通の模擬戦でお願いします」

「はい。では、木剣を持ってきますので、お待ち下さい」

「はい」


周りを見ると其々に合った能力の訓練方法を考えていたり、用意をしている。葵ちゃんは目に止まらぬ速度で動き、空中をバウンドするみたいに周囲を飛び回る。多分、マサムネの私より速い。恵那は周りに黄金の膜を張り、担当の騎士の方にガンガンと木剣を打たせている。玲子は黄金の弓を持ち、弦を引くと黄金の矢が生まれ、弦を離すと木に設置している的に目掛けて飛び、突き刺さると消える。


皆、其々別の能力を得ている。同じ能力の人はいない。皆に合うように能力決定されてるのか、皆の中にあったから生まれた物なのか…。


「お待たせしました」

「あ、メリアさん。ありがとうございます」


(きた)る戦う日に備えて実力を磨くしか無かった。


〜~~

第三者視点


その日の訓練を終え、メリアは自室へと戻るが扉の前から中に誰か居るのが分かる。メリアは副団長の立場におり、団長と副団長のみは一人部屋となっており、マスターキーを持ってるのはただ一人。


メリアは扉を開けると予想した人物が自分のベッドに座っている。メリアは机の椅子を彼女の前へと置いて向かい合って座る。


「エリーファ。今日は何のよう」

「いや、ご自慢の飛鳥ちゃんはどうだったかなぁ〜って」

「…祝福の事なら長嶋様は七つの剣を操るもので、一つずつ能力が変わり、汎用性に優れたものだが、使用時間が一分間と縛りがある」

「なるほどねぇ。中々に強い」


エリーファは足をバタバタとしながら感心するみたいに笑う。メリアは彼女に同意して頷く。


「長嶋様は剣術でも大変優秀ですから、さらなる高みへと至るでしょう」

「メリアが本気で負かす相手…だものね」

「ええ。正直、一手でも間違えたら一気に足を掬われるから、気が抜けない。新人達と同い歳くらいであれ程の実力者は稀ですよ」

「もしかしたらエリストが自慢する子さえ凌駕してるかもね」


エリーファはニヤーとした悪い顔をしてるのを見て、メリアは立ち上がり、エリーファの額をペシンと一叩きしてから椅子を元の場所へと戻して彼女の隣へと座る。


「私は見たことないので、何とも言えないけど」


エリーファはメリアを見ながら叩かれた額をさすり、肩を竦める。


「ま、私も見たことないけど…。十一の歳にマウンテン商会のガンツに勝つ程だから相当よね。しかも、それから五年とは…どれ程の成長をしてるのかしら」

「楽しみなのが二人も居るとは、いよいよ戦いも本番な気がする」

「本番よ。魔王軍、壊滅してやるのよ」

「ええ。そうね」


メリアとエリーファは窓の外から覗かせる満月を見上げた。


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