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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第一章
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第四十八話

「今日も手も足も出なかった…!」


私はベッドへと飛び込みながら今日の敗北を思い出す。メリアさんと模擬戦を始めるようになって二週間経ち、勝利への糸口が一向に見えない。


「…何で勝てないんだろ。いや、戦場を経験してる人だから勝てなくて当たり前だけど。それに私なんかよりリリアント流を極めて…………。…あっ!あああ!!何で単純な事に気付かなかったんだろう!そうだよ!私にも何年も積み上げてきた物がある!」


明日、早速試そう!…でも、正直身体を動かし易いのはリリアント流なんだよね。そもそもリリアント流が女性によって創られ、積み上げられた物だから女性に合うのは当たり前で…。なら、合わせる。融合、最適化するんだ。命名も改造を意味して改とか付けちゃって!フフフッ♪こんな事で盛り上がるなんて、もしかしたら明人に影響されちゃってるかも♪


頭の中で型や動きを反芻して考え、型同士どれが最も合うかと思考する。気が付くと眠っていたのか眼が覚める。


「うん。なんかいけそうな気がする」


朝食、外庭十週の後、何時も通り模擬戦となる。今回は絶対に一本取りたい!


「では、掛かってきて下さい」


私は深呼吸を何度かしてから、木剣を鞘へと納めるみたいに左手で刀身を掴む。


「…行きます」


私はそう宣言して、メリアさんへと近付く。木剣を左手から離して勢い付けてメリアさんの右手の甲を狙う。


「逢魔流…三之太刀・改《日暮・茜》」


メリアさんは反応して私と木剣を打ち合う。狙い通りっ!私はそのまま左斜めへと移動しながら、自身の木剣を上へと滑らせる。こっから本命!


逢魔流…ニ之太刀《宵闇》


私は上へと滑らした木剣をメリアさんの手首目指して振り下ろす。メリアさんは右手を柄部分から離し、左手首を回転し、鍔の部分辺りで防がれる。けど、手応えで分かる!このまま木剣を落とせる!そう思った時にメリアさんは右手で刀身を握り、一撃の勢いを消され完全に防がれる。それだけでは終わらず、メリアさんは木剣を垂直にし、そのまま木剣を下へと思いっ切り振る。それだけで私から木剣が容易く手から離れ、地面へと落ちる。


「嘘…」


自慢の一撃を防がれて呆然としていると首に木の冷たさを感じる。


「参りました」

「では、もう一度」

「はい!何度でもお願いします!」


私はもう一度と、違う技でと強い意思を持って木剣を拾う。結果全敗した。やっぱりまだまだ荒削りで修正すべき事が多過ぎる。


更に一週間経過すると聖心力というものを学ぶ事となった。どうやら皆が型を覚えたからという理由らしい。


「聖心力を引き出すのは簡単、腕を引いて、力を溜めるだけ」


メリアさんは《舞連・桜》の構えを取り、腕を引いて、腕の筋肉が少し膨れ上がると黄金色のキラキラとした何かが木剣を覆う。そして、突きを始める。何度も幾度と突きを繰り返す。その速度と威力は空を斬ってるだけなのに伝わってくる。


「と、こんな感じです。さぁ、長嶋様も」

「はい!」


腕を引いて力を溜めるみたいに…。すると、身体の芯から信じられない程に流動する何かが流れ、腕の中を伝って木剣へと流れる。その黄金の煌めきはメリアさんより激しい輝きを放つ。


「うわっ!」

「……!…長嶋様。何でも宜しいので型を」

「は、はいっ!」


私はメリアさんみたいに突きを放つ。それだけで目の前の土や砂が巻き上がり、宿舎の壁へとザザザッと音を立てて当たる。他の皆も同じような状態で戸惑ったり、興奮している。


「凄まじいですね。では、これからは聖心力を交えて模擬戦と致しましょう」

「はい!」


それからのニ週間は聖心力を交えた模擬戦となった。聖心力をどのタイミングで発動するかが鍵となった。勇者は聖心力の威力が強く、当たれば勝ちとなる。そのお蔭でメリアさんに勝てるようになったけれど、勝率は二割とまだまだ低い。


宿舎に来て五週間後に魔物の殺害と慣れる期間が始まる。馬車で弱らせた魔物が運ばれて、虫タイプの魔物を本物の剣で突き刺す。するとカサカサと動いていたが、直ぐに動きが止まる。虫だったからか、殺した嫌悪感はない。しかし、虫に対する嫌悪感はあった。一週間経つと違う魔物が運ばれて、今度は血抜きされて新鮮な魔物の死体で動物タイプの魔物。それを何度も突き刺す。肉を断つ感覚は包丁で鶏肉とかスーパーで買ったボリュームある肉を切った感覚だ。更に一週間後には人型の魔物で新鮮な死体。それを貫くのは少しの忌避感だけだった。


また一週間、今度は弱った動物タイプの魔物。これを今度は殺す。正直、命を断つ事より吹き出す血の生温かさとその臭いに私は吐いてしまった。けど、吐いたのは私だけで、恵那と玲子は気分が悪いだけで終わったらしい。しかし、吐いたのは初日だけでそれ以降は段々と慣れていった。次の週には人型の魔物。この時には血の臭いと血の生温かさに慣れた。


けれど、命の価値が下がる感覚だけは慣れず、どうにも気持ち悪かった。


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