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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第一章
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第四十四話

それから私達は男女別棟に分けられ、其々一人ずつに部屋を与えられる。その日の夕方は宴と表して食事会が行われる。私の隣には先程の執事が居る。皆も同じような感じだ。正直、人に見られながら食べる食事程不味い物はない。…これが好きな人とかなら別だけど…。


私が休んでて良いよと言っても、仕事ですからと言われて、仕方なく隣に置いてる状況だ。う〜ん、ご飯をお部屋に持ち帰って食べたい。しかも、ちょいちょい法衣を着た男女が話し掛けてきてまともに食べられない。


私は少し体調が悪いと嘘をついて、シェフの人にご飯を持ってきて欲しいと一言告げてから部屋へと戻り、執事の男性にも自分の部屋へと戻って良いと言っている。


私は部屋に一人になり、シェフの人が体調を気遣い、スープとパンだけを持ってきてくれて、テーブルに置く。


シェフがお部屋から出て行ってからスプーンを手に取り、スープを飲む。


「美味っしい〜~…」


スープが身体に染み渡る。パンも千切って一口。


「このパンも美味しい!」


私はワクワクとしながらパンを千切り、スープに浸して食べる。


「うんうん!美味しい!」


私はあっという間にスープとパンを食べきった。明らかに宴の食事が豪華だけど、こっちの方が美味しかった〜。このお皿は明日渡せば良いのかな。


満腹による多幸感に浸りながらベッドに身を沈める。本当はご飯食べた後に寝っ転がるのは身体に悪いけど…。今は良いよね…?


幸せに身を委ねているとコンコンと扉をノックされる。執事の人かな?私は起き上がり、扉を開けると学園のマドンナである清水玲子さんだった。


「清水さん。どうしたの?」

「少し良いかしら?話があるのだけれど」

「あ、はい。どうぞ」


…って!ヤバイ!ご飯を食べた後だから臭いが籠もっちゃってる!!


「…やっぱり貴方も室内で食べたのね」

「も…って清水さんも?」

「ええ。…貴方に話を持って来て正解だったわ」

「取り敢えずベッドに」

「ありがとう」


清水さんはふぅ…と艶っぽく声を上げながら座る。清水さん、やっぱりとても綺麗。それにスポーツ万能、頭もトップクラスに良い。絡んだ事なかったけど、正直周りに男子を侍らせてるイメージがあって、ちょっと苦手意識があるんだよね。

私は椅子を引いて清水さんの目の前へと移動させてから座る。


「ねぇ…。長嶋さん。妙だと思わない?」

「妙…って?」

「皆が乗り気な事よ」

「…それは…、確かに」


普通なら混乱するし、生き物を殺す事も軽視している気がする。


「男子達に乗り気なのが多いのは何となく分かるけど、女子達も乗り気なのが違和感よね。幾ら男に困ってるとはいえ、命を賭ける程ではないし…」


清水さんは口元に人差し指でポンポンと軽く叩きながら悩む。う〜ん、色っぽい。狙ってなのか、天然なのか…。私も清水さんに教われば、…明人も少しは意識してくれるかな?


「長嶋さんはどう思う?」

「えっ?え〜と…。私は神様の加護かなって…」

「なるほど。それはあるわね。…うん、納得出来るわ」


頷いてから、思案顔となり俯く。暫く間が空いて、突如として顔を上げて私の目を見る。


「恐らくだけど私達は鍛えられる為に女性部隊の訓練施設へと行くでしょう。その後に殺し慣れる為に実戦もあり、そして魔王軍を撃退する為に進軍する事になると思うわ。そうなると複数で勇者同士でパーティーを組む事になる。…ねぇ、長嶋さん?私と組まない?」

「え〜と。何で私?」

「長嶋さんは他の皆みたいに冷静さを失っていないし、現実を見てるわ。現状、一番信頼出来るのは貴方だけ。それに貴方は露骨に私を嫌っていないしね」


清水さんは妬みか嫉妬か分からないけど多くの女子生徒に嫌われている。私は確かに嫌いって訳じゃないけど…。う〜ん。…しっかり話が通じたり、テンションが合うのは合同で動く時は大事だと思う。うん。決めた。


「此方こそお願い、清水さん」

「パーティーを組むなら堅苦しいのは駄目ね。これからは私の事は玲子と呼びなさい。私は勝手に飛鳥と呼ぶわ」

「それは…ちょっと時間が欲しいかも…」

「よ・び・な・さ・い!」

「わ、分かったよ玲子」

「それで良いのよ。飛鳥」


玲子はそうニコッと優しく笑う。玲子もこんな顔をするんだ。初めて見た。これは世の男子達がクラッとくるぐらい可愛い。


「私はあと一人目をつけてる人が居るからそっちに行くわ。邪魔をしたわね。それじゃあ」


玲子はベッドから立ち上がり、扉に手を掛ける。


「じゃあね、玲子」

「ええ。また明日」


玲子は扉を開けて退室した。私は誰の所に行くのだろうと気になり、少し扉を開けて玲子の過ぎ去る姿を見る。玲子はスキップをしながら上機嫌で違う部屋へと入って行った。あの部屋は……相澤恵那さんの部屋な筈だよね。確かに相澤さんは物静かだった。いつも通りと言っても良いけど。相澤さんも話した事ないし、良く知らないんだよね。


「恵那って呼ぶ事になるのかな?」


友達が増える。それもなんか……悪くない、かな♪


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