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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第一章
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第三十八話

「私はシリアス含めた取り巻き達全員の施設の退団を要求します!」

「……そ…そん、なの…可怪しいだろ!」


ヒューリの思わぬ要求にシリアス側は息を飲むように絶句するが、シリアスは何とか声を絞り出して異議を唱える。リートがフンッと鼻を鳴らす。


「本来なら禁則事項に触れたお前達は退団を言い渡されても可怪しくないんだ。それを決闘で挽回してやろうと言うのだ。優しいだろ?シリアスはほぼ確定になっていたが、他の者達は謹慎処分で済むが、お前達のシリアスへの忠誠心が本物なら決闘に乗るだろ?」


リートにそう煽られるが取り巻きの四人は見合っている。恐らく、決闘を受けるか辞退するか考えている。しかし、即答しない姿は不忠誠そのもの。シリアスは顔を真っ赤にし、額に青筋が浮かび上がる。その顔を見て取り巻き達は声を揃えて「勿論です!!!」と叫ぶ。


「では、お互い相手の要求を飲むと言う事で宜しいか!」

「はい!」「ああ!」


ヒューリとシリアスは互いに自分達が負ける等とは思っておらず、自身に満ちた表情で答える。


「それでは決闘の日時を伝える!二週間後の安寧日!双方共に入念な準備の後!決闘に備えよ!」


その後、俺達はシリアス達が出て行った後に俺以外の四人がハイタッチをする。


「上手くいったな!良かったぜ!」

「ああ。これも兄様のお蔭だ。これで合法的にあいつ等を追い出せる!」

「それにこれでサリアにもチョッカイを出さなくなる」

「あいつ等の悔しがる顔がやっと見れるのか。嬉しいな」


上手くいって調子に乗ってるな。ここは一言口に出すべきだな。


「お前達、負けたらサリアが取られるんだ。そこを分かってるのか?」

「と、言うけどなぁ…アキト。俺達とシリアス達との差は明らかだろ?」


ヒューリにそう言われて俺は思わず唸る。ヒューリの言う通り俺達とシリアス達では差があり過ぎる。シリアス達は当初はかなり上位の位置の部屋割りだったが、二年目から下から数えた方が早い位置へと格が下がる。その理由は簡単で、シリアス達が他の騎士見習い達と模擬戦をしていないからのと、全員がシリアスを持ち上げるだけで欠点を指摘しないせいで成績が悪くなった。二年目からは兵法や戦術に、実戦での立ち回りを含めた学力にも通ずる訓練も導入される。そちらに関しては貴族であった為に予備知識があったようで、今もそっちの成績は悪くないが、三年目になっても部屋割りは大して変わらない。


その為、彼等はより自分達を褒め称えるグループに固執し、より傲慢となる。何回か教官に試験や成績に不備があると訴えていたが無視される。そして、そんな彼等を見ている為、他の騎士見習いにも嫌われて、更に模擬戦の相手をして貰えなくなって、悪循環に陥り、彼等のグループは騎士見習いの中で下位となってしまった。


「けれど、用心はしておけよ。追い詰められた悪人は何をするか分からないから」


グラウスの時も正直危なかったし。ヒューリは俺の肩に手を置いて笑う。


「大丈夫だよ、アキト。お前が鍛えてくれたんだ。負ける訳がない」


他の三人も同意とばかりに頷く。


「…分かった。けど、本当に気を付けろよ」

「心配性だなぁ」


ヒューリはそう笑うがどうも嫌な予感がする。首筋がチクチクするような感覚が気になる。


次の日からはいつも通りの訓練を熟す。今頃になってかシリアス達の熱量が高い。退団が掛かっているからだろう。最初からそれをやれと思わなくもないが、今は有り難く思うよ。お前達が怠惰なお蔭で勝てる、と。…でも、やっぱり嫌な予感はずっと拭えない。あいつ等は何かすると直感が告げている。


そして、その直感は正しかったのだと決闘の日目前で理解する事となった。


〜~~

第三者視点


夜、決闘の三日前へと迫り、ヒューリは自身の中で熱量が高まるのを感じており、居ても立っても居られず、教官に許可を貰って倉庫の木剣を借りて外庭で素振りの訓練をしていた。エリストとアキトも誘おうとしたがさっさと浴場へと入っており、一人でも…と素振りの回数を重ねていた。そこに二人の男が迫り、ヒューリの肩を掴んだ。ヒューリは肩を跳ね上げ、驚きながら背後へと振り向く。


「おおっ!…なんだ。マイクにエグロか」

「そんな驚く事はないだろ」

「背後から急に掴まれれば誰でも驚くだろ」

「ハハハッ!確かにな!」

「全く…。それで二人は何でここに?」

「お前が素振りをしていたのが見えたからな」

「水臭いぞ!俺達も混ぜろ!」

「お前等…。ありがとうな」


それから三人は三日後と来る決闘に備えて木剣を振るう。


(万が一の負けもない。こいつ等とアキトがいれば必ず勝てる)


これが慢心となったのであろう。背後から迫る複数の気配に気付く事は無く、三人の意識は突然襲われた頭への痛みに奪われた。


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