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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第一章
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第三十四話

それから訓練の日々を重ねて一月が経つ。一月もあればヒューリ達は聖心力の流れを掴めるようになり、今度は片手片足の状態で両手両足を合わせて、聖心力が流れてない片手片足に聖心力を流し込むという訓練をさせた。


で、本題だが、今日は一月に一度ある休息日。宿長から貰った小遣いを使ってゆっくりする日。それとは別に安寧日という一週間に一度ある休みもあるが、此方は施設から出る事を禁じられている。けど、この日は聖心力訓練のダミーとして俺含めて五人は変わらず訓練をしている。聖心力のコントロールを上達させたら他の者達との実力との乖離が起きる。その時に訓練してたからと言い訳をする為にしている。それに個人的に受け流しと云う武器を逸らす技を修得したかった為、聖心力を教えてる対価として付き合わせている。なので本当に羽を伸ばせるのはこの日だけだ。


俺とエリストとヒューリは三人でエリストの実家であるパン屋を紹介してくれるという。正直、貴族では無いと知って驚いたが、普段の言葉使いを考えたら納得した。エグロとマイクに関してだが、勿論誘った。が、料理屋巡りをするらしく、どうも食堂の味付けにマイクが飽きそうになっており、違う味を食って食堂の味に飽きないようにと言っていた。エグロはマイクの話を聞き、それなら自分も…となった。結果、俺達三人だけでエリスト家のパン屋へと来店した。


エリストの御両親が経営しているパン屋の前には『準備中』と書かれた立て看板が扉の前に設置してあり、エリストはそれを無視して扉を開ける。俺とヒューリもエリストに続いて入る。すると木とパンの小麦の香りという店内の匂いが鼻から脳へと伝う。仕入れてる小麦が良いのか並べられているのは白パンだ。


「ただいま!母さん!父さん!サリア!」


エリストの声に気付いたのか受付の女性が此方を見て星が輝くような笑顔を向ける。エリストはカウンターの中へと入り、再開のハグをする。随分と若い。彼女がサリアさんだな。エリストと顔が似ていて結構な美人だ。


「エリスト!お帰りなさい!」

「久し振り!母さん!」


母さん。……え?マジで?見た目の年齢が十代後半だぞ。エリストの母親の若さに驚愕していると熊みたいな大柄で髭の生えた男の人が店の奥側から出て来る。


「おお!エリスト!一月ぶりか!」

「父さんも久し振り!!」


その大柄の男性からヒョコッと女の子が顔を出す。その女の子もエリストと母親に似ており美人だ。こりゃモテるだろうな。


「本当にお兄ちゃんが帰ってきてる!」

「サリア!お兄ちゃんが帰って来たぞ!」


そう言ってエリストが母親から離れ、抱き着こうとするがヒョイッと避ける。


「ちょっとお兄ちゃん!今は商品を持ってるから抱き着かないでよ!」

「い、いや、ごめん。久し振りの再開でついな」

「つい、じゃないよ〜」


やれやれと彼女は呆れた様子で首を振る。そこでエリストは思い出したかの如く「あっ!」と声を上げる。


「そうだ!今日は友達を連れて来たんだ!」


エリストにそう言われて一歩前に出る。


「初めまして、俺はアキトと申します。宜しくお願いします」


俺が軽く自己紹介して、ヒューリが挨拶するのを待つが全然する気配がない。ヒューリを小突いてやろうと右隣を見るとポーッと熱に浮かされたような瞳で何かを見ていた。ヒューリの視線の先を辿ると着いた所がサリアさんだった。…なんかそのサリアさんも此方を見て頬を赤く染めてるような…?


俺はもしかしてと思い、二歩ほど左に移動してサリアさんの視線の先を見て、終着点にヒューリが居る。あっ、これは……。


うん、まぁ、それは取り敢えず置いといて。ヒューリの隣へと戻って思いっ切り足を踏む。


「いっった!!」

「(挨拶!)」


俺がボソッとそう言い、ヒューリは涙目になりながら「ありがとう」と言ってから、エリスト家族に対して頭を下げる。


「俺はヒューリと言います!宜しくお願いします!」

「わ、分かったから頭を上げて」


エリストの母親に言われて頭を上げたヒューリは「ありがとうございます!」と言いながらも視線はサリアさんに向けている。


「それじゃあ私達も挨拶をしましょうか。私はエリア」

「俺がラスト」

「…あっ!わ、私がサリアです!どうぞ宜しくお願いします!!」


今の自己紹介の最中、ヒューリの視線はチラチラとサリアに向いており、サリアの視線は俺を完全に廃除してヒューリだけを見ていた。確定だな…こういうのが巷で言う両片思い。しかも、二人共一目惚れとは…。サリアは俺目線、完全に年端のいかない少女だが、本来であれば対象内の年齢か?彼女の年齢は分からないが、見た感じ近い気がするし。


ん〜。これはどうするべきか。友人が幸せになる手伝いはして上げたい。この世界では遊びで付き合うという事は基本的にない。何故なら結婚する年齢が早く、そんな余裕がない為だ。ここで二人が付き合えば結婚は前提となる。そんな重いものに他人がとやかく言うべきか悩む。


「サ、サリアさん!私と結婚を前提にお付き合いして下さいませんか!」


……。



えっ?


「「「「ええーーーーーー!!!」」」」


こんな急に告白してもオーケーを貰える筈が…。


「はい!喜んで♪」


…。




「「「「ええーーーーーー!!!」」」」


あまりの予想外の展開に頭が一瞬真っ白になった。どうなってるの!?異世界の恋愛事情!!?


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