第三十三話
「それでは先ずはヒューリ、ベッドに仰向けで寝っ転がってくれ、他の三人はエリストのベッドで座っていてくれ」
三人はエリストのベッドに座り、ヒューリも自身のベッドで寝転ぶ。それを確認しながら立ち上がりながら鼓膜を聖心力で強化して外に人が居るか調べる。……居ないようだが一様…と扉を軽く蹴る。
「お、おい、何してるんだ!」
「いや、悪いヒューリ。聞いてる奴が居るかも知れないから脅かしただけだ」
「そ、そうか。なら良かった」
「じゃあ特訓に入るか。とはいえ、現段階で出来る事は一つだけど」
俺はヒューリを見下ろしながら、質問を問い掛ける。
「それじゃあヒューリに質問だ。聖心力はどうやって引き出す?」
「えっ?…聖心力は聖心術の発動によってじゃないのか?」
「違う。聖心力は自分の意思で引き出す事が出来る。その方法は知らないだけだ。俺が今から教えるのは聖心力を引き出すようにする前準備だ」
「前準備…」
「そうだ。この前準備がなければ聖心力を自分の意思で引き出すのは不可能だ」
「分かった。教えてくれ」
俺は頷いてから握り拳を作って手首を内に込める仕草をする。
「こうやって拳を握り、手首を内側に込める。そして、腕を引く。ヒューリ。やってみてくれ。やり難いなら上半身を起こしても良い」
ヒューリは上半身を起こしてから俺に言われた通りの動作を右手でする。すると手の平から聖心力が溢れ出す。
「で、出た!!」
「「「おおっ!!」」」
「言っとくがまだ三人はやるなよ。…では、次に足の指を折り曲げて、足を内側にして足を引け。こっちもやり難いなら足をベッドから出してやってみてくれ」
ヒューリはベッドから足を出して、今言われた動作をして右足の足裏から聖心力が溢れ出る。…と云うか俺がやり難ければと言ったが寝たままでやらないなヒューリ。寝たままの方が良いと思うんだが…。
ヒューリ達は足裏からも聖心力が出てきた為、驚きは右手の軽く超えている。
「それじゃあそのまま左足と左手も聖心力を流してくれ」
ヒューリは言われた通り両手両足に聖心力を流して溢れ出す。
「これは聖心力の流れを掴む為に必要な事だ。聖心力の流れを感じ、場所も感じ、勢いも感じるんだ。取り敢えず直ぐに仰向けで寝て、体内に意識を集中させるんだ」
ヒューリは仰向けでベッドで寝て目を瞑る。
「全身で聖心力の感覚を掴め」
「ああ!分かっ…あれ?意識…が…」
その言葉を最後にヒューリは寝息を立て始める。
「ね、寝た?」
「いや、エリスト。どっちらかと言えば気絶だよ」
「気絶!」
「ああ。聖心力が尽きると気絶する。俺も小さい頃によくなった。さて、お前達も彼と同じ事をするように。ほら、マイクもエグロも自室に戻ってするんだな。エリストもベッドの上でするように。ではこれで解散」
俺とエグロ達も二人も部屋を出て、自室へと戻る。
次の日、昨日と同じく十キロマラソンと筋トレを終わった後に四人を見ると昨日と同じく軽くヘバッているが、昨日の疲れが残ってるような感じではない。他の一年目とは違う。因みにではあるが俺の筋トレメニューは教官の指示で三年目用となっている。流石に俺も疲れた。
五分間の休憩中に四人が俺へと群がる。
「アキト!昨日の疲れが無い所か絶好調なんだけど!これってやっぱり…」
「ああ。ヒューリが思ってる通り、全身に聖心力を流したお蔭だ。聖心力は人体回復と人体強化の能力があるからな。そりゃそうなる」
「つまりは疲れない身体に成る…という事か…」
「エグロの言う通り、これを続ければ身体がより丈夫になる。他の奴等との差が付けられるぞ」
「よぉぉぉーーーし!!やるぞ!!」
「うるさいぞマイク。周りにバレたらどうすんだっ」
ピシンとエリストがマイクの頭にチョップする。
「いてっ!」
「これは僕達だけの秘密なんだ。分かってるのか?」
「勿論分かってるって」
「なら、良し」
マイクの奴が本当に大丈夫か不安だが、エグロ達が見るから問題ないか。
「もし聖心力の流れを掴んだら直ぐに言ってくれ。次の訓練方を教えるからさ」
「おう。頼むわ!俺も何か出来る事があったら手伝うからな」
「いや、これは自分の感覚だから手伝う事もないし。頑張るのはお前達だからな。ヒューリ」
「分かったよ」
俺とヒューリが拳を合わせる。すると、マイクが「ズルいぞ!俺も混ぜろ!」と拳を合わせ、私も、僕もとエリストとエグロが拳を合わせる。
「世代最強の座は俺達で取るぞ」
「「「「おう!」」」」
ヒューリの言葉に俺達は賛同し、強くなる事を互いに誓った。




