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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第一章
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第二十七話

「あの〜すいません。ここが騎士団入団の試験会場であってますか?」

「ん?ああ。あってますよ」


俺は一先ず場所を間違えてない事にホッとしてから、リュックの中からサエタルさんから貰った手紙を取り出す。


「すいません。推薦状なんですが、受け取って貰えませんか」

「え?君がかい?」


受付の男性は訝しんだ眼で見てくる。まぁ、大方伝があるか怪しんでいるのだろう。俺から手紙を受け取って、男性は中身を見ると表情は一変する。


「…この時期の推薦状…団長が言ってた」


男性はそうブツブツと独り言をした後に「少しお待ちを!」と言われてその場で待っていると直ぐに受付の男性と見た事のある男性が近付いて来て、俺の前で止まる。


「久々だね。アキト君」

「はい!お久しぶりです、サエタルさん!」


サエタルさんと俺は再開の握手をして互いの再会を祝った。


「ほ、本当に来たのか…」

「ワイズ、ボーッとしてないで持ち場に戻れ」

「は、はい!!了解致しました!!」


ワイズと呼ばれた男性は直ぐに受付の場所へと戻る。


「では、この中を案内しよう。付いてこい」

「はい!」


俺は素早くスタスタと歩くサエタルさんの隣へと移動する。試験会場の中へと入ると日本の昭和の学校の校舎のような建物が建っており、街並みとの違和感が強い。


「どうだ。この宿舎。王都との街並みと違って古臭いだろう」

「え〜と…」

「答え辛いか。…この宿舎も歴史が古くて当時の物を維持したまま…とはいかず、最近建て直したんだよ。けれど、昔の宿舎を見て、初心に帰る為にここへ帰って来る奴も多くてな。そいつ等の士気を損なわない為に、昔のまんまで建て直されたんだ」

「なるほど…」


確かに昔通っていた小学校を見るとセンチメンタルな気分になってメンタルが回復する事もあるよな。そこに良い思い出があれば……ではあるが。


「じゃ、中に入ろうか」

「はい」


宿舎の中に入ると外とのイメージの乖離は少ない。宿舎の入口から食堂、風呂に医務室が近くにある。そして、一旦外に出て、隣接する建物へと入る。


「ここが宿舎だ。一年目は三階、二年目は二階、三年目は一階となっている。基本二人と同室になるが、場合によっては一人だけになる。年数が変わると人の入れ替わりがある。同室になるのは一年目は貴族の差別意識がある者と庶民は分けるが、ニ年目からはそんな事は関係なく部屋を組む事になる」

「二年目になっても差別意識がなくならない人も居るのでは?」

「そういう奴は……キチンとお仕置きしないとね…」


サエタルさんはそう言って黒い笑みを浮かべる。団長さんがここまで暗く笑うとは昔に相当生意気な奴が居たんだろうなぁ。そう思っているとカンカンと金属が叩かれる音が聞こえる。庭とは反対側で宿舎に囲まれるようにある中庭が部屋を挟んで聞こえる。


「今の音は試験をしているものだね。見てみるかい?」

「…はい。お願いします」


俺とサエタルさんは宿舎から出て、建物の間にある外廊下から中庭を覗くと、数人の男の子達が甲冑を着せた案山子に打ち込みしている。


「日取りも終盤だから人が少ないね。試験開始からの一週間は人がとんでもなく多かったのだけれどもね」

「そうなんですか…。それであの試験の意図は?」

「あれは見て通り、打ち込みで型の綺麗さと、どれだけ的確に急所へ攻撃を当てる事が出来るかを見ている。…合格しそうなのは特にいなそうだ」


サエタルさんは厳しく言い捨てた。確かに太刀筋が綺麗なのは一人居るが、急所に上手く当たってはいない。


「で、この試験が終われば次に対人試験となるが、それも見ていくかい?」

「いえ、十分です」

「分かった。では、宿長の所に君を案内しよう」


サエタルさんの後を追い、食堂がある建物へと戻り、入口付近にあった階段を登り、右側の階段脇に両面開きの扉があり、サエタルさんは躊躇なく開ける。


「来たぞ」


サエタルさんが開いた扉から中に居る人物が見える。図体的にはサエタルさんより身長は低いが、横幅が明らかに広い。サエタルさんがモデル並に細いのがあるけれど、中に居る男性はスポーツマン特有の身体のデカさではない。より実践的な幅が広い肉体。スキンヘッドで歴戦の兵士かのような貫禄がある。そんな人がビクッと驚くのがちょっと面白い。


「うおっ!ビックリしたじゃないかサエタル!思わず全身の毛穴が開いたぞ!」

「別にビックリした所で何もないから良いじゃないか」

「…いや、確かに男同士だから気兼ねないとはいえ、親しき仲にも礼儀ありだぞ」

「同期だろ。多少は許せ」

「お前は多少じゃねぇよ…。それで、ソイツが例の?」

「ああ、そうだ。僕のお気に入りだ」

「ふむ…」


サエタルさんが俺をお気に入りと呼んだからか、品定めされているのか身体中隈無く見られる。


「確かに同年代では並ぶ者は居ないだろうが、ガンツ程の男を倒せるとは思えん」

「それを埋めたのが聖心術さ」

「単なる聖心術なら勝てない筈だが…」

「簡単な事だよ。単なる聖心術では無いんだよ」

「ほう…?」


彼の視線が鷹のように鋭いものへと変わるのを感じる。


「ま、それは楽しみに特等席で見てなよ」

「そうしよう。……では、早速これを授けよう」


そう言った男性は机の引き出しから鍵を取り出して、机の上へと置いた。


「歓迎しよう。ようこそ。騎士養成施設へ」


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