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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第一章
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プロローグ2

「おっ!夫婦のご登場!今日も一緒に登校とはお熱いな!」


学校へと登校し、飛鳥と一緒に教室に入るといつも通り冷やかす声が聞こえてくる。俺は直ぐ近くに居たそいつを見る。


「大和…。いつも言ってるだろ。そう言う冷やかしはやめろって」

「別に一緒に登校してるのは事実だし、仲が良いのも事実だろ?それに……お前達は絶対互いの事意識してるだろ!」

「ちょっ!そんな大きな声で言うな!」


俺は慌てて大和に近付いて右手で口を塞ぐが、直ぐに大和は俺の手を掴んで剥ぎ取り、口を開く。


「おいおい。そんな慌ててると認める事になるぞ〜」

「ぐっ…。お前…」


俺が苦々しい顔をしていると、大和は逆にニヤニヤと楽しそうな顔をしている。


「飛鳥ー。そんな所に居ないでこっちゃ来い」

「う、うん…」


俺達がそんな事をしていると飛鳥が同級生の女子に呼ばれ、何かコソコソ話しているのが聞こえ、飛鳥から妙な悲鳴が聞こえる。俺はそれを聞いて、大和の両腕を掴んで拘束しながらそちらを見やる。


「志村!変な事を言うなよ!」

「嫌だな〜貴山君。私が樋口君みたいに子どものようなおちょくりなんてしないよ〜。私のは只の女子高生的好奇心だよ」


此方もニヨニヨとイタズラを仕掛けた子どもみたいな表情をしている志村にイラッとしながら、こいつ等に毎度同じく相手にするのがバカらしくなり、大和の拘束を解いて、自分の席に着席する。大和は小走りで俺へと近付き、右肩に手を置く。


「悪かったよ。そんな不機嫌な顔をすんなよ」

「だったら毎度毎度(からか)うのはよしてくれよ」

「いや、日課になってたからつい…」


大和は少し申し訳なさそうに笑い、俺の肩を置いてる手と反対の右手で自分の頭を撫でる。


「全く…。しゃーねーなぁ…」


俺は呆れを含んだ笑みを浮かべながら大和を許した。こいつも100%悪気があってやってる訳じゃないだろうし…。いや、どうだろう。もしかしたら悪気100%の可能性はあるが、なんだかんだ良い奴ではあるし、こう云うおフザケも多少は許せれる。多少は…な。うん、多少は。


一つの日課が終えたからか、大和と俺は何気なく話し合い、途中でまた別の友人も混ざりながら話をしていると、ホームルームの時間を告げるチャイムが鳴るが直ぐに音が静止したかのように消え、その瞬間に途轍もない程の重圧が全身を…いや、全員を襲った。全員が突然の事にパニックとなっている所に頭の中から声が聞こえた。


《落ち着け》


たった一言。それだけで全員がピタリと黙り、その異常性に全員が顔を青白く染める。


《突然だが君達は勇者として選ばれた》


その言葉に理解する許容を一瞬で超えて、頭の中で色んな疑問が浮かぶ。


何故俺達なのか。勇者とはゲームのような存在なのか。勇者として選ばれた者は何をするべきなのか。その他にも色々と…。


《何故自分達が……と、疑問に思っている者も居るだろう。勇者になって何をすれば良いのか…とかもな》


言葉でしか感じられないが俺達の疑問を解消してくれるようだ。


《では、何故君達なのか。若く、成長が見込め、肉体もある程度成長している。そして、私の世界から座標を合わせた時に、条件が一致するのが君達だけだったからだ》


座標…。それに私の世界…。つまり、神の持つ世界と今俺達の世界は別で、別の世界から勇者を呼ぶには座標が関係し、座標がずれると呼ぶ事が出来ない……とか?


《次に勇者についてだ。勇者とは神の祝福を受け入れる事が出来た適性者の事だ》


そう言った瞬間、床が突如として光り輝き、何かしらの紋様が光の線で描かれ、紋様が完成された時、視界がブレて霞み、力が突然抜かれ、床へと倒れる。


《今、無事に座っている事が出来てるのが適性者。つまりは勇者だ。そして今、床に這いつくばっているのが、祝福の適性がなく、祝福を受け入れられなかった者達だ》


つまり…。俺は失格という事か…。クソ…。身体が動く気配がない…。


《しかし、適性が無かった者達には自身の年齢分……つまりは十六年前に私の世界で転生してもらう。もし、勇者と共に戦う覚悟があるなら、私が土台を作ってやろう。勿論、足を引っ張らない者に限るが》


転生…だと…。つまり…今の俺は死ぬと云う事か…!


《それでは詳しい話はあちらの世界で聞いてくれ。それでは、行くぞ》


パチンと云う指を弾く音が空間に響き、床の紋様が強く発光しだす。くっ…!飛鳥…!飛鳥は…!


動かない身体を無理矢理動かして周りを見ると飛鳥の顔が俺の方を見ていた。…泣きそうで不安そうな顔で。


クソッ……!クソクソクソクソクソッ!!


俺は決めた!絶対に飛鳥を守ると!一人にしないと!だから…!


「絶対…待ってろ…!!絶対…絶対!!飛鳥!お前を守ってやるから!!待っ…!!」


言葉の途中で激しい光が襲い、意識は一気に奪われた。

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