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適性無しの転生者  作者: 福王聖二
第一章
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第十話

お昼御飯を食べ終えるとシスターは礼拝堂へと向かい、時間になれば神の教えや、神々の偉業を語ったりするが、基本的には人々の懺悔や願い事を聞いてお布施等を貰っている。とはいえお気持ちである為、少ない金額だったりするが、聞くものの重さによって人々は勝手に金額を上乗せする。それでも孤児院を経営するという点では少ない。孤児院は貴族や教会からの寄付や支援で成り立っている。


俺達はその間の礼拝堂の立ち入りを禁止されており、その隙間時間に遊んだり、買い出しをしたりしている。買い物は必ず年長がしなければならず、同行出来るのが一人のみとなっている。年長が二人いる場合、交代制。その同行者を決める為に子ども部屋に集まり、直ぐに準備出来るように皆立っている。さて、今日はミリィが当番なんだが、ミリィはいきなり俺の前に立ち、パンッと手を合わせて、頭を下げている。


「今日は私、ケイトとおままごとするから、今日はごめん!明日明後日はやるから!」

「分かった。じゃあ、誰か一緒に行くか?」


そう周りを見渡すとシェフィとマリオが手を上げる。


「マリオこの間お兄ちゃんと一緒に行ったじゃん!」

「べつにいいじゃん!!」

「落ち着け二人共。揉めたらジャンケンな」


二人は見詰め合いお互い裾を捲ってやる気満々だ。因みにではあるがジャンケンはこの世界にはなかった。それまで子ども同士での揉め事の解決方法は木の棒を回転させて、指された人が勝ちだった。けれど木の棒に指されなくて何度も回す事もよくあるから時間が掛り過ぎる。しかし、ジャンケンならあいこにならない限り直ぐに決着する為、孤児院以外の子ども達にも広まり、最近では大人達もジャンケンを使い始め、ジャンケン大会も開催された時は普通に驚愕した。


二人は真剣に握り拳を作り、せーのっと声を合わせる。


「最初はグー!ジャンケンポン!」


勝負は一瞬で決まった。シェフィがパー、マリオがグー、シェフィの勝ちだ。マリオは膝から崩れ落ち、自分の出したグーを見詰める。シェフィは満面の笑みでパーを上げて勝鬨を上げる。


「やったーーー!!」


パーをチョキに変えて自身の大勝利を祝っている。俺はポンッとシェフィの肩を叩いた。


「それじゃあ行こうか」

「うん!」


俺達はシスターから受け取ったお財布とバスケットを持って買い物に出掛ける。この街では領主用の馬車道があり、円形の街の真ん中を割くように一直線に作られ、その中央に領主の館がある。領主用の馬車道には商業が行われており、人々が領主の行き帰りを見ながらお祭りが出来るようになっている。王都側では主に食品類が売られ、反対側では衣類品が売られている。王都側に食品類が多いのは何らかの受賞であったり、戦争帰りであったりお祝いにしやすく、お祭りをする都合が出来やすい。お祭りは経済が動く為、領主が意図的に造られたと言われている。


俺達は食品類の王都側で商店では無く庶民が切り売りしている野菜を売っている露天商へと先ずは行く。


「おばちゃんどうも!」

「あらアキト君にシェフィちゃん。いらっしゃい。今日は何が入用なの?」


おばちゃんに問われてシェフィを前のめりに押し出す。年長の役割は買い物をするだけではなく、下の子達に買い物の仕方を教える為に同行する。


「え〜と…。ジャガイモは保存し易くて……玉ねぎもそうで……トマトみたいな水分量の多い野菜や葉野菜は保存に向き難くて……直ぐに使わないといけないから…」

「先ずは安いのとオススメを聞きな」

「そうだ!オススメと安いの教えて!」

「あいよ!」


おばちゃんはニコやかに答えてくれた。こういうやり取りがあるから俺達は露天商で買っている。商店だと何処までもお客様と店員の関係性だからここまで親しく答えてくれない。何処までも他人行儀だ。勿論商店の方が礼儀正しいが、こんな風に拙い子どもの買い物に付き合ってくれるのは地域に密着している露天商ならではだ。それに露天商の場合はお友達価格で野菜を買い付ける時もあるので商店より安い。でも、安定した価格と供給が出来るのは商店の強みだ。


「それじゃあ玉ねぎとジャガイモとトマトを十個ずつに、キャベツを五つお願いします!」


シェフィはそう言いながらおばちゃんにバスケットを渡す。


「ああ!んじゃ合計は2640リゼだね」


バスケットを受け取ったおばちゃんは中に野菜を入れ、シェフィが金額分用意する。俺はおばちゃんが個数分入れてるか監視をする。おばちゃんは教会とは長い付き合いで信頼関係が出来てる為、そんな事はしないと確信しているが一様。


「はい!丁度ね!また来なさい!」

「はい!またお願いします!」


シェフィはおばちゃんから野菜を入れて貰ったバスケットを受け取り、頭を下げる。俺も少し下げる。


「それでは!」


この調子で買い物を終えて孤児院に帰ると子どもの叫び声と云うか威嚇する声が聞こえる。何事だと思いながら近付くとマリオとキットが大柄の男性の前にシスターを庇うみたいに木の枝を向け、マリオの喋る内容が近付いた事で言葉の明瞭さが上がり良く聞こえるようになる。


「シスターはわたさない!さっさとかえれ!」


…本当に何があったんだ?俺達は駆け足で三人の元へと急いだ。

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