8、レベルアップですわ〜!
よろしくおねがいします。
今日も今日とて薬草採取。
スズナは別の用事でいないため、今日はソロだ。
前回はゴブリンに襲われたため、今回も出るのではないかとビクビクしている。一匹だけならなんとか勝てるだろうが、複数となると厳しいだろう。
「深くもぐらず、浅い所でそこそこの量でいいですわね。宿もお安くて助かりますわ〜」
ボタンが今泊まってる宿は、1泊銅貨8枚、朝飯に銅貨2枚の安宿だ。夜には酒を出すので、そちらがメインの収入源らしく、夜半まで騒がしいのだけが欠点か。
「ま、この辺ではゴブリンも珍しいくらいらしいですし……でも、警戒は怠らないようにしませんと」
午前にそこそこの量の薬草をあつめ、昼休みも終え、午後の採取中。
ふと森の奥を眺めてみると、フラフラと、なにかがこちらに近づいてくるのが見えた。
「人型……行き倒れですの?」
フラフラ、フラフラと、人型のなにかがひとつ、森の外を目指して進んでくる。暗くてよく見えないが、多分背丈は低い。
ついに、それが陽の下に晒された。
「ゴブリンですわ〜!!」
傷だらけのゴブリンが一匹、ふらふらと向かってきている。
そそくさと剣を抜き、ようやく構える。……しかし、攻撃もなにもこない。というより、普通の元気なゴブリンならすでに数発貰っているはずだ。
……しばらく相対していると、ゴブリンが倒れた。
「死んでる……?いや、ちょっと生きてますわ〜!どうしましょう」
そういえば、ゴブリンってどんな味がするんだっけ、と考えてたのを思い出した。
「……気になりますわね。となれば」
剣を上段にかまえ……ハンマーのように振り下ろす。
「チェストー!ですわー!!」
ガンッ!と、倒れたゴブリンの頭にしっかりとヒット。……首を狙ったのだが。
「かったいですわ〜!手が!手がしびれて……」
しばらく悶絶していると、脳内にアナウンスが流れた。
『薔薇小路 牡丹。レベルアップしました。ステータスをご確認ください』
「れ、レベルアップですわ〜!!つまりゴブリン討伐ですわ〜!!やった〜!!……ステータス!」
薔薇小路 牡丹 17歳
レベル 2
種族 人間 お嬢様
ユニークスキル 暴食
スキル 食事効果アップ(小)
加護 大罪管理女神の加護(小)
創造神の加護(極小)
「……成長した実感、ないですわ〜!!」
食事効果がアップするようになったらしい。多分パッシブ効果なのだろうが、そもそも食事効果とはなんだ?というところからだ。そんな話はいまのところ聞いたことがない。今後分かるようになるのだろうか……
「そんなことより!……今回は携帯コンロと鍋を持参したんですのよ……つまり!」
「ゴブリンを!食べますわよ〜!!」
薔薇小路 牡丹。
異世界で、初めての魔物調理だ。
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