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35、大ピンチですわ〜!

よろしくおねがいします。



さて、四足の迷宮の一層と二層は、スズナの毒無双で余裕をもって攻略できた。

当然、流れに任せて三層へ向かう。


「なにがきても勝てるでござるよ!いやあ、毒って素晴らしいでござるな!」


「安心と信頼のお調子乗りですわね〜」


スズナは調子に乗っている。まあ、それほどまでに戦闘力があがったのだ。毒の使い方も相手に合わせてしっかりと考えられており、順応力もある。戦闘に関しては頭もいいのだが。


「このまま四層、いや五層までひとっとび……えへえへ、無双でござるなー!」


「三層って、アレがでますわよね?」


「アレ……うん」


「……スズナ様、大丈夫ですの?」


「多分無理」





三層へ到着。

階段前はセーフゾーンになっているので、この辺りからは宿泊する冒険者が居たりするのだが、今日は居なかった。見つかると厄介なので、入口付近ではスライム消化がしづらい。


スライムの迷宮であったのと同じように、ウルフやワイルドボアに加え、また何種類かの魔物が追加で徘徊している。



まず襲ってきたのは、ファングボア。

ワイルドボアよりひとまわり大きく、勢いのある突進と、大きな牙が脅威。


「まずは拙者の一閃!……浅いでござる!お、オーク殿!」


「あちゃあですわ〜!勢いが凄いですわ〜!!」


突進にあわせてスズナが擦れ違い一撃をかましたが、傷が浅すぎて毒がまわらず、勢いが収まったのを捕縛する手筈だったオークがふっとばされ、粒子に。オークはさすがに耐久型のモンスターとはいえ、突進力に特化した魔物の勢いのある牙には耐えられなかった。

オークを跳ね飛ばしてさすがに勢いが収まったところをストーンゴーレムが捕まえ、スズナの連撃で毒を無理やりまわし、トドメにレナがズドン。

勝てはしたが……予定とは随分と違うようだ。


「か、硬いでござる。…………もっと鋭い武器がほしいでござるな、色々探すでござる。二層までで稼いだでござるから帰るでござるよ!」


「ええ、帰りますわよ〜。こうなる事はわかっていましたわ〜!」


「武器……」



踵を返し、さっさと帰る。

と、いうわけにはいかなかった。

後方から、すごい勢いでなにかが走ってくる。


「あれは……アーマードウルフでござるか!?」


「あ、やっべぇですわ」


「やば」


アーマードウルフ。ウルフよりスピードは落ちるが、皮膚が硬質化しており、生半可な斬撃は殆ど効かない。しかも攻撃力がウルフより数段高いので、攻撃を食らわないように打撃か魔法で攻めなければならない。


しかも、この個体は特殊個体。普通のアーマードウルフとはわけがちがう。俊敏さは同じほどだが、防御力と攻撃力が段違いだ。

ついた二つ名は『ジャガーノート』

つまりなにが言いたいかというと。


「拙者の!毒が!効かないでござるよね!撤退でござる!」


「うーん、撤退ですわ〜!ゴブリン!ボーンゴブリン!スケルトン!ボーンオーク!ボーンウルフ!足止めですわ〜!」


「は、はやい」


アーマードウルフは、攻撃力が高い。ジャガーノートは、それよりもっと。

そして防御力も高いので、被弾を気にせず動き回りやがる。その圧倒的な暴力に、幻影は向かっていった端からやられていく。


「あとは……ポイズンゲルとスライムをトリモチがわりにばらまいて、これみよがしにストーンゴーレムをシンガリに!スズナ様、アイツの耳元で爆音鳴らせませんこと!?」


「ば、爆音はまだ無理でござるし、距離が遠いでござる!は、走るでござるよ!」


「うおおもう向かってきてますわ〜!スライムちゃんたち!なんとか!なんとか足止めするんですの!」


「し、しぬ……!」


八体のスライムがジャガーノートの行く手を阻む。方々から打たれる酸とパンチに、さすがに辟易としているようだ。


半分ほどのスライムが消されたあたりで、酸スライムの体液がジャガーノートの顔に当たる。

ジャガーノートはさすがに手足をとめて、頭を振る。

その隙を逃さず、ストーンゴーレムがジャガーノートに覆いかぶさった!


「うお、ちょ、勝てる!勝てるかもでござる!向かうでござるよ!」


「え、スズナ様!?おい!無茶ですわよ!バカー!」


スズナは組み伏せられたジャガーノートの顔を執拗に切りつける。

そのあいだにもストーンゴーレムから抜け出そうと大暴れするジャガーノート。もし今抜け出されると、スズナの命はないだろう。


「このまま逃げてたら無事でしたのに!ストーンゴーレム、絶対離さないで!スライムたち、ストーンゴーレムの援護ですわ!張り付いて!ジャガーノートに張り付いて動きづらくしなさいな!」


生き残ったスライムがストーンゴーレムを伝ってジャガーノートの手足に絡みつく。

手足の先から酸で溶かされはじめ、さらに強くもがき始めた。が、踏ん張りが効かないため抜け出すことはできない。


「目は!鎧に!覆われていないでござる!毒を!喰らえ!チェスト!チェストでござるー!!」


スズナは執拗に目を狙ってナイフを振り下ろしている。ボタンはそれもう毒関係ないんじゃないかと思った。


しばらく格闘し、ジャガーノートは結局抜け出すことができずに、スズナのナイフでの連撃の後に一度ビクリと震え、力なく息絶えた。


「ぜぇ、はぁ、ど、毒の威力でござるー!」


レナは、それ多分毒関係ないよねと思った。

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