32、圧倒的ですわ〜!
よろしくおねがいします。
スライムの迷宮。
内部にはスライム種しか発生せず、故に戦法が刺さる冒険者にとっては低リスクで稼げるとても良い迷宮。
だがもちろん溶解性の体液は危険なので、相応のリスクもある。武具を溶かされては、赤字が収益を上回るだろう。
……溶かされても困らない武器を使えるものがいれば、そのリスクも無くなるだろう。たとえば。
「ボーンウルフが初手のヘイトを稼ぎ、ボーンオークとストーンゴーレムが核を破壊。酸スライムが死体を吸収、排出された魔石とドロップをボーンゴブリンが回収して袋に集め……我々、要らないでござるか?」
「暇」
「……さすがにちょっと、ですわ〜」
圧倒的作業感。
一層と二層は、もはや危険も何も無い、ただの散歩道になってしまっていた。
「三層いくでござるよー」
「了解ですわ〜!」
三層からはまた出てくる魔物が変わるので、スズナもレナも出番があるだろう。……多分。
三層へ到達。
骨の迷宮では、この層からボーンオークとボーンウルフが追加で出てきたが。
「たしか、ゲル系が出るんでござったかな?」
「ゲルですの?」
「人や動物の姿をかたどって、それらしき動きをするスライムの上位種でござる。ま、スライムと同じような体液で、弱点は核でござるし、ただ形が変わっただけでござるな」
「スズナ様が舐めてかかってる時は用心ですわ〜!」
「警戒」
スズナ以外は警戒して、三層を進む。
しばらくして、緑色の魔物を見つける。
人型ポイズンゲル。
緑の体液は見た目通り危険な毒で、付着すれば皮膚からも侵食する。即効性は低いが、侵されると体が動かなくなっていき、いずれは息が出来なくなり死に至る。
「人型でござるな。ボーンオークに前衛をまかせて、レナの銃撃訓練にするでござるよ」
「がんばる」
「ファイトですわ〜!!」
レナが銃を構える。
レベルが上がった為か、リボルバータイプを使えるようになったようだ。ポイズンゲルには過剰火力だが、的にするにはいいだろう。
……なぜ前世にあるような銃が出てくるのかは、まだあまり考えなくていいだろう。ボタンにはわからないだろうから。
数分ほど戦闘したが、まだ倒せていない。
「疲れた……」
どうやらリボルバーは命中率が低いようだ。そして魔力消費も大きい。レナは肩で息をしている。限界が近い。
数分ほどポイズンゲルの攻撃を受け続けたボーンオークは無傷だ。毒なんか効くわけがないので。
結局、ボーンオークが受け続け、ボーンウルフが核を引きずり出し粉砕した。
ポイズンゲルはスライムを倒した時と同じように球体になり、ドロップ品を落とした。
「なんでござろう……」
「うーん、みてもわからないですわ〜!」
「……!大当たり!」
ボタンとスズナにはわからなかったが、どうやらレナはこの、丸っこいものを知っているらしい。
「教えるでござるよー」
「教えるのですわー」
「……スキルオーブ」
「は?」
「は?」
「……金貨1枚から100枚」
どうやら、特上の大当たりのようだ。
「ヒュッ…………ござ……?」
「で、ですわ……」
ボタンとスズナは動けない。スキルオーブが金貨袋に見えてしまっている。光り輝いていて直視できない。まったく光ってなどいないが。
レナがそれを拾う。
外野がヒィヒィうるさいが。
スキルオーブは手に取ると内容がわかる。レナが、2人に内容を伝える。
「毒付与。武器とかに毒を付与できる。……幻影につくかはわからないけど」
それをきいて、スズナが慌てる。
「毒付与……毒付与!欲しかったやつでござる!うおお、拙者の戦闘スタイルだとどうしても火力が足りないでござるからな、デバフ系でひとつ大きなアドバンテージが欲しかったんでござるよ!拙者が!それ!買うでござる!」
「え、ええ……圧がすごいですわ〜。でもまあ確かに、レナならともかく、わたくしには多分要らない能力ですものね。レナも毒付与しても弾が当たらなきゃ意味無いし、当たったらそれはもう大ダメージ与えておりますし……よし、レナ、いいですわね?」
「うん」
2人は同意した。
これの使い道が決まった。
「じゃ、これはパーティ財産として!スズナ様に使ってもらいますわ〜!」
レナがスズナにスキルオーブを差し出す。
スズナは目を見開き、ふたりを見る。
「い、え、タダでござるか……?いいのでござろうか……?」
「もちろん、タダでとはいいませんわ〜!そのスキルで強くなった分、今後もっともっと活躍してもらいますわよ!すべては我らがパーティの躍進のため。売却額の高々金貨数枚程度、のちのちの稼ぎに比べたら大したことないですわ〜!」
「う、うおお!一生ついてくでござる!使っていいでござるか!?」
「うん」
「使うところ見せてくださいまし!」
さっそく、スキルオーブを使ってもらう。
ボタンはもちろん、スズナもレナも、スキルオーブが使われるところは見たことがない。なんせものすごくレアなので。
スズナが、スキルオーブをもち、目を瞑る。
スキルオーブが溶けだし、スズナの体に吸収されていく。
「そんな感じですのね」
「綺麗」
「ですわ〜」
さて、スズナが目を開けた。
喜色満面だ。
「すごいでござる!なんというか、今までまったく出来るわけの無かったことが、もはやなぜ出来ないのかわからないほど理解出来ているでござるよ!ほっほう、これが毒付与でござるか!うおお、はやく、はやく四足いきたいでござるー!生き物に試したいでござるよー!うおー!」
どうやら余程嬉しかったらしい。
物騒な事を言いながらテンションを上げまくっている。
「人には使わないでくださいまし?」
「怖い」
「うおお、毒使いたいでござる!帰るでござるよ!」
「あ、はいですわ〜!」
今日得たものは、スライムの核とドロップが大量と、ポイズンゲルの核がひとつ。
そして幻影にスライムが数体とポイズンゲルが追加。
あとは、スズナの強化に繋がった、スキルオーブ『毒付与』のゲットだ。
……はやくどこかで使わせて、冷静にさせなければ。そう思うボタンとレナだった。
薔薇小路 牡丹 17歳
ジョブ 8級冒険者
レベル 14
種族 人間 お嬢様
ユニークスキル 暴食
スキル 食事効果アップ(中)
食事量アップ(中)
咬合力アップ(小)
消化速度アップ(小)
魔法 黒『食魔法』
加護 大罪管理女神の加護(小)
創造神の加護(極小)
幻影 ゴブリン(極小)
ゴブリン(小)
シャドウウルフ(小)
スケルトン×4
ボーンゴブリン
ボーンオーク
ボーンウルフ
酸スライム×8
ポイズンゲル
ストーンゴーレム
オーク(大)
「そういえば、結局スズナの出番はなかったですわね」
「……次回」
「次は!やれるでござる!なんていったって毒があるからでござる!」
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