26、大赤字ですわ〜!
よろしくおねがいします。
「お、大赤字でござる……金貨2枚……」
「生きているうえに腕も無事でございますわよ!どうとでもなりますわ〜!」
「ん、大丈夫」
「みな……すまないでござる……」
ゴーレムを討伐し、スズナの治療を終えた日の夜。
3人で臨時会議だ。
議題は残りの調査をどうするかと、報酬含め赤字をどうするかだ。
今回の調査クエストの報酬は、1箇所あたり銀貨1枚。ゴーレムを倒せば銀貨5枚が追加される。
つまり、現状の報酬は銀貨6枚。仮に10箇所すべてのゴーレムを討伐しても、銀貨60枚だ。どう足掻いても、赤字である。
「ストーンゴーレムは、一応目はみえるっぽいでござる。しかし耳の方がいいでござるな。……調査だけなら、ゴブリンにでも目線を向けさせて、拙者が無音で調査することも可能ではござるが」
「危険を冒して銀貨1枚ですのよね〜。迷宮でドロップ品を集めているほうが安全に稼げますわよ?」
「ま、1箇所でもクエスト達成になるでござるから……帰るでござるか。正直もう働きたくないでござる」
「1泊したら帰りますわよ〜!」
というわけで、今夜はここで野営、明日の朝イチで町に帰ることにした。とりあえず、やる事はやれたので。
得られたものは、クエスト達成の評価ポイント、報酬の銀貨6枚、そして、幻影のストーンゴーレムだ。
スライムは無事、一晩でストーンゴーレムをすべて平らげてくれていた。どうやら、石灰岩やそれに似た岩石で構成されていたらしい。ボタンは岩石の種類なんかまったく知らずにスライムに食べさせたが。
「ま、レベルアップもしましたし、戦力も増えましたし、オールオッケーですわ〜!」
「ストーンゴーレムが戦力になるのは……稼ぎを増やせそうでござるな。赤字返済、頑張るでござるよ!」
「ん、乗りたい」
「はいサモン、ストーンゴーレム!」
「うおおトラウマでござる震えが……」
「はい仕舞いましたわよ!おしまい!ちょっとずつ慣れていきましょうね!!」
どうやら、まともな戦力として前に出せるのは、まだ先になりそうだ。
翌日。早朝に帰還準備を済ませ、何事もなく帰路につく。
ストーンゴーレムの幻影がいれば他のゴーレムの処理も楽になるのではないか、という話もでたが、スズナの容態とメンタルを考えて、結局撤退を決定した。
「帰ったらアルファ様を尋ねて、ポーションのお話ですわね〜」
「拙者はちょっと、1週間ほど修行にいくでござる」
「わかりましたわ〜! なら、わたくしたちは簡単なクエストでもこなしておきますわね」
薔薇小路 牡丹 17歳
レベル 8
種族 人間 お嬢様
ユニークスキル 暴食
スキル 食事効果アップ(小)
食事量アップ(中)
咬合力アップ(小)
魔法 黒『食魔法』
加護 大罪管理女神の加護(小)
創造神の加護(極小)
幻影 ゴブリン(極小)
ゴブリン(小)
シャドウウルフ(小)
スケルトン(中)×2
ボーンゴブリン(中)
酸スライム(中)×2
ストーンゴーレム(中)
ようやく、耐久のあるタンク系を幻影召喚できるようになった。
上手く使えれば、戦略が大幅に広げられそうだ。
さて、町に戻り、冒険者ギルドで報告を済ませ、スズナと別れて。アルファにポーションの事を話そうと、尋ねたのだが。
「お、嬢ちゃんじゃねぇか!丁度良かった。ま、あがってけや。ほらほら」
「あ、怪しいですわ〜!!」
ガンマが出迎えてくれたが、なんだかボタンを待っていたらしい。……なにか面倒事に巻き込まれそうな、そんな予感だ。
応接室に連れられ、いつも通り紅茶とお菓子をいただく。
早速、ガンマが口を開く。
「なあ嬢ちゃん、アンタ、経口摂取なら毒は効かないって言ってたよな?そんで、ユニーク持ちだって。……毒無効ってスキルじゃねぇんだろ、経口摂取ならってことは。詳しくは聞かねぇが、どういう毒までなら無事でいられる?たとえば……こいつとかは、どうだろうか」
そういって、目の前に差し出されたのは、草と、キノコだった。
パクリ。もぐもぐ。ごくり。
「あっおい!!」
「うーん、この草、あまーいですわ〜!甘さのなかに確かな苦みと渋みもあり、さらに噛む度にパチパチという刺激が脳を叩くようで、クセになりそうな美味しさですわ〜!!キノコもしっかり旨味があってジューシーで、身を委ねたくなるような……あ、これ、なんですの?」
「……無事か?なんともないか?変な気分になったりしないか?気持ち悪くなったり……気持ちよくなったりしないか?」
「ええ、なんとも……? 不思議な味でしたわね、味覚の中枢に訴えかけてくるような」
「ああ、まあ、無事ならいい。……そいつはな、本来はそのまま食うもんじゃねぇ。しっかり乾燥させて、そこからさらに粉にして、不純物を取り除いて、それから、炙って煙を吸ったり、やべぇやつはそのまま鼻で粉を吸ったり、まあそうやって楽しむもんなんだよ」
「……もしかして、これって」
ボタンもさすがに、これらがどういうものか、理解したらしい。
ガンマから差し出されたそれ。
本来なら、こんな所にあってはならないもの。
公職者であるはずの彼女らにとっては、絶対的な『悪』であるはずのもの。
「なあ、ボタンよ。依頼……というより、国からの命令だ、聞け」
ガンマが居住まいをただし、ボタンを見据える。
「王国騎士団、治安維持特殊部隊隊長、アルファード・フォン・エクスタリア。そして俺、副隊長、ガンマ・フォン・ハイデリア。両名より、ボタンに、特殊協力命令だ。……この、イカれた薬の処理に協力してほしい。……簡単に言うと、全部食ってくれって事だ。わかったか?」
ガンマが、ボタンに、ニヤッと笑いかける。
……拒否権は、当然無いようだ。
「もちろん、ご協力いたしますわ〜!!」
即答。
騎士団長殿と副団長殿の命令だ。拒否なんて出来るわけがない。当然だ。
一国民として、協力して然るべきだ。
……草とキノコが、めちゃくちゃ美味しかったから協力するわけでは、まったく、無い。絶対、無い。無いったら無いのだ。
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