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25、vsゴーレム!ですわ〜!

よろしくおねがいします。



「拙者は回避タンクでござるな。弱点がわかりやすいのはありがたいでござるが、拙者では攻撃が届かないでござる」


「スケルトンとポチも前衛でヘイト稼がせましょうか?」


「んや、スケルトンはボタンとレナの護衛にするでござる。なにがあるかわからんでござるからな。ポチは前線に来てもらうでござる。そして……」


「ん、やる」


「あの高さに良い威力をぶつけられるのは、レナだけですわ〜!張り切って!がんばりましょう!」


「勝利条件は討伐でござるが、敗北条件も決めておくでござる。拙者が戦闘不能になる、レナの魔力が尽きる、ほかの魔物が参戦する、これらどれかひとつでも拙者らの敗北でござる。つまり逃げる準備はしておくでござるよ、準備はいいでござるか?」


「ばっちりですわ〜!がんばれポチ!レナ!スズナ様!」


「ん、いける」


「拙者には当てないようにでござるよ〜。では、戦闘開始でござる!」


背丈3メートル、片腕だけでも2.5メートルのリーチのあるストーンゴーレムとの戦闘が開始した。


まずはスズナとポチがストーンゴーレムに迫る。

まずはひとあたり。スズナの小太刀も、ポチの爪激も、まったくダメージにはなっていない。だが、ヘイトを2人に固定することはできた。

大ぶりかつ大雑把な巨腕のぶんまわしを避け続ける。


前衛がヘイトを稼いでくれている間に、レナが魔銃にて額を狙撃する手筈だ。

今回はもちろん、ショットガンではなくハンドガンタイプ。この距離のショットガンだと巻き込みがこわい。こういうときはスナイパーだとか連射の効くアサルトライフルのほうがいいのでは、とボタンは思うが、結局当たらなければ意味はないので、もしそれらを持っていたとしてもハンドガンを使っていただろう。ハンドガンであれば、この距離での命中精度は、銃の中では高めやすい。


幾度となくぶんまわされる巨大な腕。かするだけで致命傷確定であるため、大袈裟に避けなければならず、その分体力がもっていかれる。

ヘイトがポチに多めに向かうように動いているが、それでもスズナの息が上がるのがどうしても早い。決死の緊張感の中にいるのだ、これでも踏ん張っている。


レナの銃は、何度かゴーレムにはヒットしている。しかし、今のところは後頭部や側頭部、腕や肩などへのヒットだ。スズナとポチが攻撃された直後の硬直の間に狙わなければならない上に、額がこちらを向いていないといけない。タイミングが、あまりないのだ。


スズナの限界が近い。ポチも攻撃自体は食らっていないが、動きの精度が落ちてきている。

幻影とはいえ、復活できる以外は元の個体とほぼ同じ性能なのだ。ウルフなので持久力が高いとはいえ、やはり回避続きだと消耗が激しいのだろう。


「あっ」


「ポチ〜!」


遂にポチが巨腕のぶんまわしを受けた。体がくの字になり、吹っ飛ぶ。空中にある内に、消える。消滅だ。つまり、戦闘員が、一人減った。


「はやく……当てなきゃ……!」


「やべぇでござる……っ!」


スズナへの集中攻撃がはじまる。単純に2倍、いやそれ以上の猛攻撃が、スズナに降り注ぎ続ける。

限界は、すぐに来た。


「かっ……は……ッ!」


「スズナ様ッッ!!」


「スズナ!」


ぶんまわしを避けきれず、スズナの腕がかすり、殴り飛ばされる。体ごと吹き飛び、地面へ数度バウンド。


……大丈夫、息は、まだある。


そして、ストーンゴーレムはスズナが戦闘不能になったのを確認し、ボタンとレナに、ゆっくりと向かってくる。


「す、スケルトン!スズナを回収!レナ!最後の数発お願いしますわ!5メートルまで近づかれたら退避ですわ〜!」


「当てる……!!」


10メートル。当たらない。スケルトンには目もくれず、こちらへ向かってくる。


9メートル。当たらない。スズナが咳き込んだのを確認した。血は出ているが、意識はまだあるようだ。


8メートル。ボディにヒット。ボタンが荷物を捨てる。


7メートル。顔にヒット。スケルトンがスズナを担いだ。


6メートル。顔にヒット。ゴーレムが、目の前にいる。


5メートル。体にヒット。


「逃げますわよ〜!!!!!!」


レナを俵担ぎして、ボタンが走ろうとする。

スズナを担いだスケルトンも範囲外に出ている。

ゴーレムが、腕を振り上げはじめた。


「やらなきゃ……!」


4メートル。

額にヒット。


パキンッ…………


「当てた!」


「あっあっ、ひとまず範囲外にっふっ、ふっ……生きてますわ〜!」


「当てたよ!」


「な……本当ですわ〜!」


必死こいて一目散に範囲外に逃げたボタンは、レナの声に振り向く。

ゴーレムが、腕を振り上げたまま、停止している。

……ボロボロと、各関節がほどけるように岩石が崩れていった。


「やりましたわね!!……そんなことより!スズナ様!」


「スズナ……!」


ゴーレムはさておき、スズナのもとに急いで向かう。


……腕が、とんでもないことになっている。

捻れ、砕け、血が溢れている。このままではとても危険だ。体の方は大丈夫そうだ。息は出来ている。肋骨も折れてはないだろう。


「う、ぅぁ……ござ……」


「よし、よし、まだ繋がってますわ〜!アルファ様からローンで買った、ポーションを使いますわよ!」


ポーション。別名、神の薬。

低級から超級までの区分があり、超級では欠損を無かったことにするどころか若返りの効果まであるらしい。低級ですら、欠けてなければ傷が一瞬で塞がるほどの効果がある。

今回使うのは、中級高品質ポーション。欠損していなければ元の形に戻せるという、ものすごい効果の薬だ。

本来の価格は、金貨2枚。ボタンは、これを一月あたり銀貨20枚で買った。残り銀貨160枚を追加で支払わなければならないが、そんな事は今はいい。


「ゴブリン召喚!スズナ様の服を脱がせて、腕を固定!スケルトンはスズナ様が暴れないように押さえつけて!」


「う……腕……ござ……」


召喚したゴブリンがスズナの服を素早く剥ぎ取り、スケルトンと4体掛りで押さえつける。

ポーションを、腕と、余った分をついでに全身にふりかけ、しばらく待つ。

……傷が、塞がっていく。骨が物凄い音を立てて、元の形に戻っていく。


「あがァァァァァ!!!!痛、ァァァ!!!!」


「レナ!剥いだ服噛ませて!はやく!」


「にゃい!」


余りにも惨い光景に戦きながらも、必要な処置を済ませていく。これで、治るのだ、と言い聞かせながら。


しばらく格闘し、ひとまずは治療を終えた。

スズナは気を失っているが、息はあるし、穏やかだ。腕も、治っているようにみえる。


レナとスケルトン一体にスズナの見守りを任せ、ゴブリン一体とスケルトン一体を共に、ゴーレムの残骸に向かう。


「今日はさすがに、この辺で野宿ですわよね……スライム召喚!魔石だけ回収して、あとは食べておいて貰いますわ〜!」


一晩あれば、全部溶かし食べてくれるだろう。

魔石をポケットにいれ、放り捨てた荷物を回収して、スズナのもとに戻る。

……ついでに砕けた額の水晶も、少しだけ持ってきた。


パクリ。バリゴリ。


「うーん、無味ですわ〜!」


この遺跡にいるストーンゴーレムの額の宝石は、ガラスのように固く、味がまったくしなかった。

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