21、スライム迷宮ですわ〜!
よろしくおねがいします。
「うおお、なんというか、気持ち悪い門でござるな」
「解剖感ありますわ〜!」
午前早くに出発、道中何事もなく、午後にはスライム迷宮の入口に到達。門を見上げる。
半透明の紫色の門だ。うっすら向こう側が透けていて、内部になにか、蠢く肉塊のようなものが漂っている。気持ち悪い。
いざ、門を潜る。
内部は洞窟型になっており、薄暗くて涼しく、湿気が高い。
一層目は、やや狭い。層を跨ぐ毎に広くなっていくらしいが。
「ボタン殿、まずはポチとスケルトンのみで様子見するでござる。全部だすと狭いでござる」
「了解ですわ〜!」
「ひとまずポチが最前列で索敵、奇襲警戒。接敵したら攻撃はせずボタンの護衛。スケルトン二体と拙者がメイン火力、レナはボタン殿を守りながら、出来れば牽制射撃などを頼むでござる」
「ん」
レナの黒魔法『魔銃』は、魔法の銃を召喚できるスキルだった。
今のところはハンドガンと、ショットガンの二種類を召喚できる。
弾はレナの魔力だ。魔力の込め方で、多少威力増強ができる。とはいえ多少なので、レベルが上がって強い銃を出せるようになるほうが攻撃力は上がる。
今日はハンドガン二丁持ちだ。威力は高いが、まあそれは、当たったらの話だ。
四足にいる大きな体躯のものや、リーチが短い故に接近してくるゴブリンなどには当てやすいが、スライムはコアに当てなければ意味が無い。まだ練度不足で命中精度が足りていないため、火力にはなり得ない。当たれば勝てるが、当たらないだろう。
「魔石は拙者とレナで分配、ドロップは三等分。魔石が無い分はスライムの遺骸の運搬代とするでござるよ?」
「問題ないですわ〜!たすかりますわ!」
ボタンは魔物を食べることで戦力増強ができるので、もちろんスライムを食べることになる。
その分運び出さないといけないので、運搬代を支払うことになる。仲間とはいえ、しっかりと代金は支払わないと。
「よし、じゃあ進むでござるよ!いくでござるよ、ポチ」
「スライムスライム〜!どんな味なのかしら〜!」
「ボタン、フラフラしないで」
「すみませんわ〜!!」
しばらく進むと、少しだけ開けた広場が見えてきた。
「お、ポチ、いるでござるか?……総員警戒でござるよー!戦闘でござる!」
前方、死角になっているところにスライムがいるらしい。スライムは刺激臭がするらしいので、ポチの鼻を頼れる。
警戒しながら進むと、確かにいた。
すぐに攻撃してくることはなかったが、うごうごと蠢いている。数は二体。
「拙者とスケルトンで一体ずつ相手して、ひとまずスケルトン側を始末するでござる。レナ、スケルトンには当たってもいいでござるから、しっかり撃つでござるよ」
「あいあい」
いざ、戦闘だ。
スズナとスケルトンが、スライムに向けて走り出す。スライムもようやく動き出し、向かってくる者に向けて体液を射出。しかし簡単に避ける。スケルトンも、何故か意外に動きがいい。
最接近。スズナの方は回避に専念している。スライムが体を変形させて殴りかかったりしているが、すべて回避、たまにスズナも攻撃を入れている。体液に当たる分には、全くダメージになっていないように見える。しかし、ばらまかれた分は体積が減るに違いない。あまり減らしてはボタンの食べる量が減ってしまい、召喚できる幻影が小さくなってしまうため、無闇に攻撃はできない。やはり、回避のみに専念する。
スケルトンの方も同じように、スライムが変形して殴りかかられている。スケルトンは全身骨で、まあ溶けはする。溶けはするが、皮膚よりは溶けづらくあるので、多少の被弾は気にしなくて済む。とはいえ、回避がメインだ。スケルトンが回避しているところに、フレンドリーファイアを気にせずレナが銃を打ち込み続ける。当たれば勝てる。スライム自体にはよくヒットするが、コアには中々あたらない。貫通はしているため、火力は足りているのだが。
そうこうしているうちに、一体のスケルトンの振った鉄の棒がスライムの核にヒット、ヒビを入れる。スライムが動きをとめた。トドメとしてもう一体が攻撃、と思ったところに、レナの銃弾がヒット。コアが破壊され、スライムが活動停止した。
一匹目、討伐完了だ。
そのままスズナの方へ加勢。レナはスズナに当てないように撃つのはやめて、スケルトンとスズナに任せる。さすがに三人いると、討伐は楽だった。殴りつけ、コアを破壊。討伐完了。
「うーむ、緊張感はあるでござるな。思ったよりパンチが素早い」
スライム、移動は遅いが、攻撃は素早いのだ。
体液を飛ばす攻撃も、体液を変形させて殴り掛かる攻撃も、ボタンなら多分避けられない。ボタン以外は避けられるが。
活動停止したスライムは、表面が膜に覆われ、球体化する。膜を割ると体液が水のように漏れだし、魔石が露出するのでそれを回収できる。
膜はそこそこ分厚く弾力があるので、そのまま運搬しても問題ない。刃物で刺されでもしなければ漏れる事は無い。ということで、二体分のスライム球を、ボタンが背負う。
一体当たり、5kgくらいか。思ったより重いが、まあほぼ水分だ、ボタンなら飲めるだろう。多分。ゴブリンやポチには任せられないので、ボタンが飲みきるしかない。
「ひ、ひとまず持ち帰るのは二体でいいですわ〜」
「うむ、ならあとは普通に討伐でござるな。ドロップも大したことなかったし、まだまだ稼ぎたいでござる」
「おー」
その後は荷物持ちのボタンがひぃひぃ言うまでドロップ品をかき集め、スライム迷宮の探索は、成功と言っていい結果に終わった。
帰りは遅いので野営をする事になった。
ボタン以外は、弁当として持ってきた海鮮干物のスープと堅パン、それと干し肉。
ボタンは、スライムの体液を飲み干した。10kgも飲み干した。ゲップが止まらないし、尿意も止まらないし、なんかずっと気持ち悪いのが収まらなかったのでちゃんと眠れなかった。
味は美味しかった。爽やかな柑橘を思わせる酸味があり、しかし強すぎず、微かな甘みもあったのでゴクゴクと飲めた。飲みすぎた。
「う、気持ち悪いですわ〜」
「さすがに10kgは……飲みすぎでござるか」
「よしよし」
しかしこれで、スライムも戦力に出来た。使い方次第では、強力な戦力になるだろう。
「次回はまた、骨にいくでござるか?スライムがいれば骨も食べやすいでござろう」
「そうですわね、まだ四足には早そうですし……スケルトンがあと二体は欲しいですわね」
「でもやはり、飯を食える魔物を戦力にしたいでござるよなー。スケルトンは強いでござるが、飯を食ってくれないでござる。スライムを増やしてもよいでござるが……」
「うーん、はやく四足行きたいですわ〜!」
薔薇小路 牡丹 17歳
レベル 6
種族 人間 お嬢様
ユニークスキル 暴食
スキル 食事効果アップ(小)
食事量アップ(中)
咬合力アップ(極小)
魔法 黒『食魔法』
加護 大罪管理女神の加護(小)
創造神の加護(極小)
幻影 ゴブリン(極小)
ゴブリン(小)
シャドウウルフ(小)
スケルトン(中)×2
ボーンゴブリン(中)
酸スライム(中)×2
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