15、骨の迷宮ですわ〜!
よろしくおねがいします。
高級海鮮料亭は最高だった。1週間経った今でも、まだ味を思い出して顔が緩む。
「まさかナマコが食べられるなんて……」
「まだ言ってるでござるか!?もう1週間でござるよ!?」
「だってぇー!」
「ほら、入るでござるよ!骨の迷宮……門が骨でござるなぁ」
「骨ですわね〜……さ、行きましょう!ポチもがんばりましょうね!」
ポチとは、シャドウウルフの幻影の事だ。町の外では日々大活躍で、今日は荷物持ちをしてくれていた。
迷宮内部ではボタンが荷物持ちだ。ゴブリン2体が前衛、シャドウウルフの幻影とスズナが遊撃。
最初の一匹以降、シャドウウルフはゴブリンを食べてはくれなくなったので、召喚数は増えていない。
「四足と違って、遺跡みたいな雰囲気でござるな」
「こっちのほうが迷宮感ありますわ〜!」
レンガのような壁に、石畳のような床。等間隔に置かれた燭台、時々聞こえるコウモリの鳴き声。
「この迷宮にコウモリはいないでござる。つまりこれは迷宮の発してる音でござるな」
「SEまで凝ってるんですわね〜」
骨の迷宮は、骨の魔物しか現れない。
2層までは、ボーンゴブリンとスケルトンのみ。それ以降はボーンウルフやボーンオーガ、下層にはスケルトンドラゴンなどもいるらしいが。
「ま、この層にいるのは小さい人型と普通の人型でござるから、大したことはないでござる。たまに武器をもってるでござるから、それも換金対象でござるよ」
「骨ならそこそこ持って帰れそうですわね〜。骨って中身が空洞だらけだから、砕けば体積がすっごく減るらしいですわ!ちょっと砕いて袋につめて、野営の時に粉々にしてスープにしちゃいますわ〜!」
「拙者の分はちゃんと別でつくるでござるよ?」
戦力増強のため、ボタンは魔物を食べる必要がある。骨は最初はせんべいにするつもりだったが、残念ながらそんな設備はなかった。ハンマーで粉々にしてスープに溶かして飲むのが一番楽だなと、先日気づいたのだ。
「お、きたでござるよ、ボーンゴブリンが2匹でござる。……これならポチだけでもいいでござるな。任せるでござる」
「よし、ポチ!ゴーですわ〜!」
カラカラと迫ってくるボーンゴブリン。手には武器はない。
まずは1匹、スピードをのせたパンチで首の骨を叩き割って破壊。続けて2匹目、その勢いのままタックル、倒れたソレにのしかかり、頭蓋を噛み砕く。
実にあっさりと、討伐が終わった。
「さすがに小さいノロマに対してはめっぽう強いでござるなぁ、ウルフ種」
「ポチ〜!よしよしですわ〜!」
表情は見えないが、多分ドヤ顔のポチが振り向く。
砕けた骨をある程度集め、すこし細かくして袋につめた。
「しかし、この程度の強さなら召喚しても、でござらんか?」
「召喚数に限りはありませんから、いればいるだけ助かるはずですわよ?」
「たしかに。魔力やらを気にしなくていいなら、相手の気を散らせる突撃兵は多い方がいいでござるなー」
スズナもボタンも、復活するとわかっているからか考え方がドライである。こんなに可愛がってるポチも、なにかがあれば躊躇いなく肉壁につかえるのだ。
それくらいのドライさ、非情さが、冒険者をやっていくうえで、たしかにアドバンテージになっているのかもしれない。
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