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11、強くなりたいですわ〜!

よろしくおねがいします。



「強くなりたい、ねぇ」


「ガンマのほうが適任だろう。任せるぞ」


「よろしくお願いしますわ〜!」


アルファとガンマの住んでいる屋敷に来た。

メイドに案内され、応接室にてふたりに相談の途中だ。


「ま、ある程度なら教えられるが……うーん、嬢ちゃん、そもそもセンスなさそうなんだよなー」


「ガンマ!言い方!」


「やはりそうですの?わたくしも自分が剣術に秀でてるとは一欠片も思いませんわ〜!」


「いろいろ理由はあるが……唯一、攻撃行為自体には腰が引けてないのは強みではあるか」


見てきたかのように言うが、事実その通りである。ボタンは、攻撃には躊躇がない。ただ、攻撃に移るまでがいまのところどんくさいだけだ。いまのところ。


「つまり、剣なら教えられるが、剣を教えても仕方ねぇって事だな。どうすっか……いやまあ、最低限の動きは今日中におぼえてもらうけどよ」


剣の抜き方、構え方、振り方くらいは今日中にある程度仕込める。構えるまでにゴブリンにボコボコにされてしまうかもしれないようなスピードからはひとまず脱却させようという話だ。


「となると、どうすればいいのかしら……?」


「じつはな、ここに……」


コンっ、と、机に、水晶玉のようなものが置かれる。


「俺らは騎士みたいなもんって言ったが、それ系のスカウトもちょっとやってんだよ。それで、腕が良さそうなやつを勧誘してるんだが、そこで必要になりがちなのがコレ、魔法石だ」


「魔法石……魔法が使えるかわかるやつですわね!」


「そ、魔法が使えそうなやつも勧誘してるからな。王都にあるやつはめちゃくちゃ高価なもんだが、俺らのコレはちょいと安いやつでな。使える属性がわかるだけで、魔力量なんかはわからねぇ。とはいえ、魔法が使えるか使えないかはわかるってんで、便利なもんなんだ」


「つまり、わたくしの魔法も……?」


「ほらよ、触ってみな。触って、魔法の事を頭に思い浮かべるだけでいい。そしたら勝手に、魔法石が魔力を吸って、色が変わる。魔力があればな」


ボタンは目の前に差し出されたそれに、そっと手をのせる。


すると、眩しい光がカッと煌めき……魔法石は、黒く染まっていた。


「黒ですわね」


「黒だなあ」


「黒だ」





「黒だァ!?おいおい、嬢ちゃん……あー、なんだ、その……ま、まあひとまずは魔力持ちだ、よかったな、ああ」


「あ、えっと、ありがとうございますわ〜?」


「で、あー……アルファ、説明してくれ」


「貴様私に面倒を押し付け……ッ!まあいいか……ボタン殿、なにか……なにか特殊な体質、などではないか?」


「あ、あー、えっと……ユニークスキルをもってますわ」


「内容は言うな、聞かん。が、まあ、それのせいだろうか……黒の魔力、これはな、なんというか、優しく言うと、好かれない色だ」


「有り体に言っちまえば気持ち悪がられるし迫害されかねない色だな」


「ガンマ……!ま、まあ……大抵は迷信なのだが、魔王は決まって黒だった、などの事情があってな。どうしても受け入れ難い色なのだ。……だがまあ、ここでわかってよかった。神殿なんかでコレが出ようものならなにがあっても不思議はなかっただろう……」


「い、命拾いですわ〜……」


「黒魔法は、どういうものなのかほとんどわかっていないのが現状だ。歴代の魔王の使った攻撃は、ほとんどが黒魔法によるものだろうが」


「自分の影を操ってどうこうしたり、闇に隠れたりできるって話はよく聞くが。黒は珍しい上に表にでてこれないからな、詳しくはよく知らねぇんだ」


「つまり……」


「ああ、つまり。俺らに教えられることは、結局、無ぇってことだな」


「世知辛いですわ〜!!」


世の中上手くいかないものである。


だがしかし、剣の初歩的な使い方はしっかりレクチャーしてもらえたので、以前の10倍は構えるまでが早くなった。これでゴブリンに対しても、ようやく対等に戦えるだろう。

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