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ずるい彼女

ずるい彼女 First time

作者: 夏月

「あっ!」


 昼食をとっていた食堂を出て廊下を歩いていた私は、掲示板に貼ってあるポスターを見て立ち止まる。


「こんな催しやってたんだ」


 思わず小声で呟く。


 それはとある美術館の企画展のポスターで、私が好きな映画シリーズの小物や絵コンテの展示やセットの再現という文字がみてとれる。

 この映画シリーズの監督の1人が、この大学の卒業生らしいので、その関係でポスターも貼られているようだ。


 私はよくポスターを見ていると、ポンと肩を叩かれた。


「よぉ、愛結(あゆ)! 何見てるんだ?」


 声がした方向に顔を向けると、同じ学部で同じサークルの仲間、(こう)がいた。


「あっ、洸! おはよ。私この映画のシリーズ好きで、企画展のポスター見てるの」


「ふーん。どれどれ」


 洸もポスターを見始める。

 洸と話したことはモチロンあるけれど、個人的な趣味嗜好の話はしたことがない。


「あ、この映画シリーズかぁ。俺も好きだよ、このシリーズ」


「そうなの!?」


おお、仲間発見だ。


 なかなかこの映画シリーズが好きな人には出会えないから、とても嬉しい。


「私、映画のメイキングとかパンフレットを読み込むのも好きだから、こういう企画展もよく行ってるんだ!」


 嬉しくなったから、余計なことも話し始めてしまう私。


あっ、まずい。


 ここで、引かれること多いんだよね。


「俺もメイキングとかパンフレット読むの好きだよ! 裏側知れるの楽しいよな」


 洸は引かずに、満面の笑みで共感してくれた。

 そのことが嬉しくて、私も笑顔になる。


「なぁ、愛結の午後の予定はどうよ?」


「えーっと、午後は休校になったから、サークルの時間まで空いてるけど……?」


「俺もサークルまで空くから、今から行かね? 美術館自体は、二駅先だし」


 洸がポスターの美術館の名前を指差したので、私も見てみると大学から二駅先にある美術館だった。

 写真ばかり見てたから、気づかなかった。


「あ、本当だ! うん、行きたい!」


 洸も頷いて、二人並んで校舎の出口を目指して歩き始めた。




 このあと、企画展を見たあとに行ったファミレスで、映画だけではなく他にも好きなものが一緒で盛り上がり、二人で何回も出かけることになり、段々とお互いに惹かれていくとは、このときの私には知る由もなかった。

お読みいただきありがとうございました。

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