ポーカーフェイスとババ抜き
僕は友達に感情がわかりづらいと言われる時がたまにある。
確かに思いっきり笑ったり、泣いたりはあまりしない。
だけど、僕にも楽しい時、悲しい時がある。
自分で思っているより感情が表に出ていないらしい。
「ポーカーフェイスだね。」とある女の子に言われた。
「何、それ?」僕は、ポーカーフェイスの意味がわからなかった。家に帰って国語辞典で調べてみた。
《ポーカーをするとき、手札を悟られまいと無表情を装うところから》表情を変えないこと。無表情な顔つき。
そんなに僕は無表情なのか…?
ポーカーってなんだろう?
トランプのゲームの1つと書いてあった。
次の日「ババ抜きしない?」と女の子に誘われた。
休み時間にすることを約束した。
休み時間になり、ババ抜きをすることに。
友達もやりたいと言ったので、6人ですることになった。
「ポーカーフェイスは、ババ抜き強そう。」と言われ、変なあだ名が定着したら嫌だと思い、名前で呼んでくれとお願いした。
僕の手の中にジョーカーがやってきた。
女の子がカードを引く。
ジョーカーはまだ手の中だ。
そして、最後までジョーカーは僕のものだった。
休み時間は終わった。
1回しかできなかったババ抜き。
負けて終わった。勝ちたかったな。
帰りに女の子に「またババ抜きやろう。」と伝えた。
「ババ抜きじゃないのやろうよ。」と返された。
「なんで?」と僕。
「何回やっても負けちゃうよ?」
「え…?なんで?」
1回負けただけでそんなに言われるなんて…
「だって、ジョーカーじゃないの引く時、貧乏ゆすりしてるよ。」
よく話を聞くと、焦ったり困ったことがあると癖で貧乏ゆすりしてるということだった。
初めて知った自分の癖。
意外と表に感情が出てるじゃないか。
「じゃあ明日は神経衰弱やりたいな」と僕。
「うん。また明日ね。馬場くん。」女の子は帰って行った。僕の名前を呼んで。
僕の苗字は馬場。
ババ抜き。馬場。ババ抜き。馬場。
悔しい。勝ちたい。今日は楽しかったな。
僕はポーカーを知らない。
僕ができるのはババ抜きと神経衰弱と7並べだ。
僕も帰ろう。明日は、神経衰弱で勝つ。
いつもよりルンルンした気分で帰ったら、お母さんに「何かいいことあったでしょ?」と聞かれた。