襲われた原因は私とか、かー君の謎とか、どうしてそう思わせぶりなことばっかり言うのですあなたは!
「ほら大丈夫!」
「驚かさないでくださいませ!」
男たちが苦しみ倒れています。そしてうなってますが……。赤い光は私たちにはなんともなくって、貴族の人たちが数人同じ状態ですわよ。床に転げまわっている人もいますわ。
「あれ、悪意に反応する精神系魔法なのに」
「……悪意?」
「うん、敵意とか殺意とかに反応して、それを反射してまあ、苦しませる」
「あ、多分、この方たちの手引きでここにきたのかもですわ」
「そうかなるほど、おい君たち、苦しんでいるものたちが全て悪者だ。とらえてくれ!」
呆然としている人たちに声をかける殿下、陣頭指揮してますわ。一応王族でこういうのは慣れてますから、手慣れた様子で、縛り上げて! などと言っています。
「……しかしどうして」
「さあ?」
殿下が縛り上げられた男たちを見て、貴族の数人は、僕も知らないなあと首をかしげています。
多分、隣国の貴族ですわね。
「……しかしみーちゃんが予言した通りか」
「え?」
かー君が顔を出して、あれが予言したのか? と聞いてきます。守護のくせに今起きたばかりというのはやめてくださいませ!
かー君をじいっと殿下が見て、そうだよとニコッと笑いました。
『それでお前がついてきたというわけか』
「まあ一応護衛のつもりだったけどね」
クスクスと笑う殿下、早く帰って愛しい我がみーちゃん達に会いたいななどとうそぶいていますが。
こいつら、多分、吐かないかもねえと小さく殿下が呟きました。
「え?」
「あのさ、アデリア、こいつらの目的は多分君だ、僕や他の貴族じゃない」
「え?」
殿下は風とため息をついて、かー君に力が減退しているのは知っているが守護としてお前頼りなさすぎろとじろっとにらみました。
かー君はすまないと謝っています。
「私ってどういうことですの!」
「君は気が付いていないが、守護がいつもついていること自体が異例なんだ、本来なら跡取りのレンの守護につくはずなんだよ。カディス・ウル・ノーム・エルタス・ウロボロスはね」
「どうしてかー君の名前を!」
「それくらいは一応把握してるよ」
我が守護の蛇のかー君は名前が長いというので代々かー君と呼ばれてきました。
もしくはカディス。
でもお兄様の守護に確かにつかないのは言われてみればおかしいですわ。我が家の守護ですのに。
「言われてみれば……」
「まあ、それも仕方ないのかな」
かー君に私がどうして私の守護ですのよ! と問い詰めると、それは今は言えないと黙り込みます。
殿下が知っていて、私が知らないってどういうことですのよ! 黙り込む殿下とかー君。
「思わせぶりなことばかり言ってないで、教えてくださいまし!」
「帰ろう、事後のことは開催者に任せよう……」
ふうと大きなため息をまた殿下はつきました。でも殿下は「身辺には気を付けたほうがいい」と私の耳元で小さくささやきます。
「カディスに気を付けて」とも。
「え?」
かー君は守護蛇なのにどうして? と聞こうとした途端、ほら早く行くよ間に合わない! と殿下に腕を引っ張られてしまいましたわ。
でも精神系の魔法とか殿下が知っていたのは初耳ですし、それにかー君はだんまりですし。
何やらきな臭いのですけど……。聞くことができず私は王宮に戻ることになってしまったのでした。
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