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帽子男の短編集

思い出の女子高生

作者: 帽子男

支度が終わり私は家を出ると女子高生が捨てられていた。

彼女はゴミ箱の上にポツンと座っていた。

 いつも通り起きると 窓から朝日が差し込んでいた。私は洗面所に行き顔を洗い、歯磨き、そして仕事服の上下真っ黒のスーツ服に着替えた。ネクタイはもちろん青色、青色にするとなぜかみんなが不思議があるのだが私がこれが一番似合っていると思う。確かに青には不吉なものが混ざっているかもしれない、だかしかし見ようによってはとてもきれいなんじゃないかと思っているだから私は赤ではなくいつも青をつけているのだ。支度が終わり私は家を出ると女子高生が捨てられていた。

 女子高生、なんで女子高生なんだ。彼女はゴミ箱の上にポツンと座っていた。今日は水曜日だから人間の日じゃないはずなんだけどなー、いつもこの日はもっと人ではない違うものを捨てる日なんだけど。例えば上司の愚痴、めんどくさい思い出、それに最近私がすてたのは結婚指環だった。

 男が女から指輪をもらうのは当たり前なのだ、今回の結婚はなぜか私が指輪を送ってしまった。嫌いな方が指輪を贈るのよと彼女が言っていたが、彼女は私に恋心を少し抱いているようだったので今回は私が指輪を購入した。

 いやそんなことはどうでもいい。問題は水曜日なのに女子校生が捨てられている、ということなのだ。私は女子高生に話しかけた。


「今日はなぜ伝えているんだい?」


 女子校生は答えた。


「私は母親と父親の大事な思い出だからからね。結構前に二人とも離婚してしまったのだけれども、それでも互いを好きになってしまったのそれで役所の人が捨てるように指示を出したの」


 私は頭を抱えた。役所というのは何故なら私の仕事場だからである。


「私も役所の人間なのだがそんな話は一回も聞いたことがない嘘ではないだろうね」


 彼女は答えた。


「いいえ嘘じゃないわ。だって今日は水曜日だもの、思い出は水曜日に捨てるものそういうふうに役所が決めているんでしょう」


 私は悩んだ。別に人間を捨てることが違法ではないのだがさすがに意思が残っているものを捨てるというのはなんだかなあと、私も結婚や離婚をしたわけなのだが彼女が私のことを好きになってしまったかのようだ、なかなか結婚とは難しい。私が考え事をしていると彼女は私に話しかけた。


 「ねえもしかして曜日を間違えたのかしら?」


 私は答えた。


「いやそうじゃないそうじゃないんだ。ただ最近の流れとはいえ人間を捨てるのはどうかと思ってね」


「まあ確かにそうかもしれないわね。一応意思があるものただ決定権というのは他人にしかないし、私にはないの」


「なるほど確かにそうかもしれない。ちなみに君はどうしたい?捨てられたいかそれとも他の所に行きたいか。もしほかの場所に行きたいなら他に居場所を用意しよう」


彼女は答えた。


「そうねどこにも行きたくないわ。だって私を捨てたっていうことは多分、いけないことだけど二人が好きあっていたという証なんだから。それはとても良いことだと思わない? 」


私は答えた。


「そうかそれならしょうがない、私はもう仕事に行くよ。怒られるのは面倒だからね、何かあったらこの電話番号にかけるといい。携帯は持ってる? 」


「いえ、持ってないわだけどかけるんだったら公衆電話が近くにあるから問題ないわ」


「分かった。連絡を楽しみに待っているよ」


 そう言って私は彼女から離れて会社に向かった。

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