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悪夢(前編)

第2話 悪夢(前編)




事実上友達である木田に、恋人へのプロポーズの代理をまかせられ、(というか相手に先をよまれてまんまとひっかかったってわけだ)どうやってさりげなく渡そうかかんがえながら初日の4時間目をつぶそうとしていた。残るチャンスはあと帰りの会のすき間と、放課後だけである。帰りの会ならさりげないけど味気ないし、放課後ならゆっくり渡せるけどなんか変で、相手も帰ってしまう。やっぱり帰りの会のときにしよう。そうして決断のときがきた。

木田 もう渡したか?

矢橋 そんなに余裕あるんなら自分で渡せよ。(そうだぜ。これでオレがまた恥かいたら死んでお前を恨んでやる。)

木田 お前知らなかったの?

矢橋 何がだよ。

木田 学校ではラブレターっていうのはな、友達に渡してもらうのが流行なんだよ。なっ!春美!

矢橋 (あ、あいつやりやがった。俺より勇気あるじゃねぇか。)

坂巻 えっ・・・まあ・・・・私の聞くところではそうよ。うーーん。でもね、将来的には渡した人のほうがコイビトになるケースが多いみたい。あゆみちゃんだってそうでしょ?

矢橋 木田?そうなのか?

木田 ・・・・・・・あゆみちゃんの件は聞いてるぜ。1年のとき高城が相田に恥ずかしいからってラブレターを任せたら、今は相田に取られてるって話だろ?

坂巻 そんな感じよ。

矢橋 (今思いだしったって顔しているよなぁ木田。とにかく友達伝説はほんとうだったらしい。)

木田 っでさ、こんな流れでなんだけどラブレターなんだよな。これ、もらっといて。

矢橋 (!いつのまになんで奪いやがったあいつ!)お前さっきまではオレが渡すっていうことになっていたじゃねぇかよ!!おまえってヤツは・・・!

木田 あぁ、春美、気にしないでいいから。こいつあの・・・あれだから、その・・・・・オタク。

矢橋 うそつくな。ゴシップ記事かいていたら浮気するんじゃねぇの?(チョットオレヤバイコトイッテルナ)

木田 まぁってことでよろしく!


その日の帰り道は本当につらかった。6年間一緒に歩いてきた家への帰り道。唯一の沈黙である。何も話せない・・話したい・・・・けどいえない・・・・気まずい雰囲気だ。

そんな空気の中で最初に口を開いたのは木田だった。

木田 ・・・・・・・あのさ・・・

矢橋 ・・・・・・なんだよ。・・・

木田 ・・・・ちょっと聞いてくれるか?

矢橋 ・・・悩み事か?・・・・

木田 ・・・・・かもな。

矢橋 ・・・・・何だよ。・・・・

木田 いっしょにあの駄菓子屋まで競争しない?

矢橋 (なんだ、それだけか。)

木田 よーい。

矢橋 ちょっとまった、プランを立てさせてくれ。(オレは競争するときはプランを立てている。どのコースが最短か・・・そして走りやすいか・・・力の出しどころ・・父ちゃんの受け売りだ。)

木田 かわんねぇな。

矢橋 あ?

木田 変わんないってよ。お前は幼稚園のころからそういう癖があった。何事も計画を立てる。とくに、走るときは。

矢橋 まあな。(幼稚園の運動会のとき、オレはビリだった。でも、無駄なく走れば、1位になれるってそう思ったんだ。父ちゃんにその方法も教えてもらったし。オリンピックのコーチをやっていて、今もスポーツアドバイザーをやってるから的確で、狂いが無かった。そしていまもだ。)

木田 人生意気あたりばっかりだぜ?

矢橋 ああこわいこわい。

木田 よーいドン!

タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタ

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド

はあはあはあはあはあ

矢橋 くっくっくっくっく

木田 何がおかしいんだよ。

矢橋 いや、お前の走り方幼稚園のころからかわんねぇなって思ってさ。

木田 おかしくねぇよ。

矢橋 (すねてやがる。)・・・・・なんか話あるはずだろ?

木田 えっ・・・・・何にもねぇよ。

矢橋 ほんとに?

木田 ほんとだって。

矢橋 ほんと?

木田 ほんっくっくっくががははははははは

矢橋 なに笑ってんだよ。

木田 お前さ・・・・おでこに算数の答え書いてあるぞ、鏡文字で。

矢橋 えっ、まじ?

木田 家かえって確かめろよ!

矢橋 あ、うん。サンキュー。

木田 じゃあな。

矢橋 じゃあな。

なんとなくその日はその日は木田との関係も好スタートを切り、ハッピーエンドにおわると思っていた。でも、星が出ているときに起こるなんて想像もつかなかった。


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