漫才「占い」
漫才は初めての投稿になります。ほぼ会話文だけなので、それでうまく伝えることができているのか不安があります。
この作品はYouTubeにも投稿しております。
占い師とお客さんの会話。
「恋愛運を占って欲しいんですけど」
「ちょっと拝見」
顔を近付ける。
「一昨年と去年がモテモテのチャンスだったと出ていますが」
「もう、過ぎちゃいましたね」
「モテたでしょ」
「いいえ」
「おかしいな」
「ちょうど留学していまして」
「海外でもモテたはずですがねえ」
「男子校に居たからでしょうか」
「ああ、そりゃ残念」
「今年とか来年あたりはどうでしょう」
「世の女性の方々の都合が悪いと出ています」
「そこをなんとか」
「運命ですから、どうあがいても無理でしょうね」
「そんなあ。じゃあ、次のチャンスはいつごろ訪れるのか見てもらえますか?」
「うーん・・・おっ、見えた」
「どう出ました?」
来年生まれてくる女性達との相性がかなりいいようです」
「適齢期になるのは二十年後位ですよね、私はいったい何歳になっているんだろう」
「喜んでください。なんと、百人もいると出ていますよ」
「本当ですか?」
「ただし、地球上のどこにいるかはわかりません」
「恋愛運はひとまず置いておこう。金銭運はどうでしょう」
「手を見せてください」
「はい」
「うーん」
「どうでしょうか」
「出ました、五十年後ですね。そのころに金回りがよくなりますよ」
「ずいぶんと先の話だなあ」
「それまでは食っていくのがやっと。生き死にギリギリの生活が続くでしょうね」
「僕は幾つになっているんだろう・・・七十歳かあ、あっ、それって年金が入るってことでしょ。なんだよ」
「占い、当ってますよね」
「しょうがない。仕事に生きるとするか。金持ちになれないのはわかったから、せめて自分に向いている仕事につきたいな」
「見てみましょうか?」
「ええ。なにがいいんでしょう」
「べろを出してください」
「こうですか」
「うーん。あなたは総理大臣向きだと出ています」
「総理大臣?」
「必ず活躍すると出ていますよ。歴史に残る人物になるようです」
「この僕がですか?」
「ええ。他の仕事は何をやってもダメ。ただし、総理大臣になったら別人のような働きをするようです」
「荷が重いなあ。知事じゃだめなんですか?」
「賄賂で逮捕されますな」
「村長では?」
「セクハラで逮捕と出ています」
「サラリーマンじゃだめですか?」
「何をやっても万年平社員と出ています」
「自営業」
「三日と持たずに倒産ですね」
「わかりました。で、どうやったら総理大臣になれるんでしょう?」
「占い師の私に聞かれても困りますなあ。ハローワークに行って尋ねてみちゃどうですか」
「総理大臣の求人が出ているのかなあ。窓口で聞くんですか? 恥ずかしいなあ」
「聞くは一時の恥といいますから、ちょっとだけ恥をかいてみてください」
「かきすて出来るのは旅の恥だけでしょう。そうだ、就活する前に旅行にでも行っておこうかなあ」
「旅行運を見てみましょうか?」
「お願いします。どこがいいでしょう」
ちょっと足を拝見。
「うーん」
「見えましたか?」
「お勧めは月旅行ですな。月曜日に出発するのが吉だと出ました」
「はあ?」
「天候に恵まれるようです」
「月の天気に雨や曇りがあるのかなあ」
「それに、平日ですから空いています」
「いい加減にしろ」
読んでくださり、どうもありがとうございました。