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世界を救った後就職したけど世の中世知辛過ぎてツライ  作者: 冷えピタ
元英雄サラリーマンの日常
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2話 元魔法幼女

  10年前の東京事変終結より数週間経った頃から奇妙なことが起き始めた。


  それは巨大生物の発生、人間が突如変異する怪人化現象、それに呼応するかの様に現れる特異な能力に目覚める者達等、事件発生間も無くの頃、報道のコメンテーターはまるでアメリカンコミックの様だと笑っていた。


  しかし時が進むにつれこの特殊な事件の被害は次第に大きくなって行き、事態を重く見た日本の首脳陣はこの特殊な災害に対抗するため東京事変を終結させた英雄の所属する組織に助けを求めた。


  元々その組織はトップを含めない場合戦闘要員は英雄の少年を含め3人しかいない小規模の組織であり日本全国で同時多発的に発生する災害...先程のコメンテーター的に言うのならヴィラン達を対処するには圧倒的に人手が足りないという問題があったが、政府にヴィランに呼応する様に現れる特異能力者達の捜索、斡旋、紹介、情報提供、そして組織が大きくなる事を理由に資金の提供を条件にこの仕事を引き受けるのだった。


  増加し続けるヴィラン達の退治をしながら組織は10年の歳月を経てドンドン大きくなり今や全国に支部を構える事となった。


  『GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO』


  そして今現在東京事変の舞台となったこの東京は再びヴィランの魔の手に晒されていた。


  地鳴りの様に世界を揺らしながら轟く咆哮。薙ぎ倒されるマンションの一部や住民達の悲鳴がこだまする。


 体長20mはあるであろう巨大な体躯、地面を引きずりながら街路樹を引きちぎる長い尾、爬虫類の様な顔に凶悪な牙を携えたその風貌。まさに怪獣と呼んでいいそのヴィランは我が物顔で街の破壊に勤んだ。


  「そこまでです」


  だが悪の栄えた事がないようにヴィランの終焉を告げる声が破壊の猛威の中でも民衆の、そしてヴィランにも届いた。


  『GI......?』


  ヴィランは気分良く仕事をしていた(怪獣自身はそう思っている)のに水を挿され大層気分を害した様で声が聞こえた方向、自身を見下ろすビルの屋上を睨みつける。


  「よし今ね、すう.........はあ」


 深呼吸をし胸に手を添えながら覚悟を決めた顔の少女は高らかに声を上げた。


  『ホーリーライト』


 少女の声と共に辺りが光に包まれた。


 眩い光がおさまるとヒラヒラのレースが揺れ、動き易さを加味されたのか少し短めにあつらえたスカートのドレスに身を包んだ先程の少女がビル下のヴィランを睨み佇んでいた。


  日曜の朝、テレビで観られる魔法少女の様な装いの彼女は怪獣を見物しにやって来た頭のおかしいコスプレイヤー等では勿論無く、ここ東京支部を任せられる支部長であり全ヒーローを統括する立場にある組織の管理者を除けば実質的なトップに位置するお方である。


  彼女が若くしてこの様な重責を担っているかは10年前の東京事変に参加していた事に起因しているのだが少女は当時7歳だったりと色々事情が込み入っているのでまた別の機会に語るとしよう。


  さて変身も済ませいよいよヴィランと対峙しようかと少女が身構えた時。


  「ミゾレちゃん〜ダメぽよ、まだ変身の途中ぽよ」


  場の緊張感をぶち壊す軽い口調とこれまた人の神経を逆撫でする語尾。ミゾレと呼ばれた少女はウンザリした内心を隠しつつ平坦な顔を装い振り向くとそこには、地方の出来の悪いゆるキャラの様なヌイグルミが宙に浮いていた。


  「ですが町が壊されているのに悠長な事をしている場合では...」


「悠長とは何ぽよか、昔からこのやり方でやって来たぽよにミゾレちゃん1人の我儘の為に伝統を蔑ろにしちゃダメぽよ」


  さあ早くと顎をしゃくる出来の悪いマスコット。


 少女自分の言葉に被せる様に言われた時点でこれは取り合ってもらえないなと半ば諦めていたので怪獣の動向を気にしながら支持に従う のだった。


「こ...コホン」『光より生まれた愛の戦士ドキュンホワイト!!!!!』


『闇の眷属たるヴィラン達よ!私の愛で地獄の底に沈めてあげるわ!』




 瞬間、ポーズをとった少女の背後が鮮やかな色を放って大爆発した。


  「うんうんやっぱり少女の変身って言ったらこれぽよね」


 満足そうに頷いている不細工なヌイグルミにおずおずと少女が近ずく。ちなみにその顔は耳まで真っ赤だが表情だけはなんとか平静を保っている。


  「...この変身システムどうにかなりませんか?」


 10年前はノリノリでこの変身行程を終えていたが17歳になり少女趣味な格好も変身の為の呪文(セリフ)も精神的に辛くなって来ている。


  「え?決められた事に勝手な事言われても困るぽよ」


 それにかっこいいぽよよ?と肩をすくめる人形とはもう話は平行線にしかならないと察しこめかみを抑えながら意識をヴィランに戻した。


  「変身も終わったのでこのままヴィランを退治します。よろしいですね?」


  今度こそ戦闘を開始しようとビル屋上の縁に足を掛けたミゾレだったが結局その日彼女が拳を怪獣の血で汚すことは無かった。


  「あーあミゾレちゃんがポヨポヨしてるからぽよ」


  「ポヨポヨってなんですか...え?」


 ミゾレが疑問の声をあげると同時に異変に気付く。


「....」


「?」


  上空から声が聴こえた気がして空を見上げるが何も異常は見られない。強いて言うなら雲1つない青空に黒い点のような物が見えた。


 あれは何だろうか、飛行機だろうか、はたまた鳥だろうか。首をひねるが答えは出ない。


 だんだんと近づいて来ている影は人の形をしているように見える。


 そんなはずはないと笑いたくなる少女だったが彼女は不運な事にその常識外について1つ心当たりがあった。


  「乾さん...何してるんですか」


 くしゃりと顔を歪めながらミゾレは大空を漂う影の名前を口にした。




  サラリーマンが空から降って来た。



少しでも気に入っていただけたら幸いです!!!!!!!

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