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世界を救った後就職したけど世の中世知辛過ぎてツライ  作者: 冷えピタ
元英雄サラリーマンの日常
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とある勇者のお話@プロローグ


20xx年日本の一大都市東京は崩壊した。


長年をかけ作り出された文明は崩壊し、夜を煌々と照らしていたそびえ立つ摩天楼達も無残な瓦礫と化している。


度々聞こえる悲鳴、立ち上る煙、まさにこの世の地獄とさえ見える景色の中に一際異質な存在がいた。


人々の営みの残骸と惨劇の中にポッカリと穴が空いた様な空間にそれは静かに佇んでいる。


流れる様な銀髪をなびかせ黒を基調としたシックなドレスに身を包んだ女性...いや少女と呼んでも差し支えない様な年頃の人物の瞳は哀愁を帯び揺れていた。


「この状況を作り出したのは私だ」


中世英国のパーティーに出席していても違和感が無いような優艶な少女の発言である。聴く者がいれば鼻で笑うだろう。だがそうなる事は無かった。もとより周囲にあるのは瓦礫の山、よしんばその様な反応する人間がいたとしても皆自分の事に手一杯で人を笑う程の余裕は無い。


「知ってる」


少女の零した呟きに答える声があった。


齢は少女と同じか少し上、鋭い目つきをした黒髪の少年が拳を握りしめている。


「他に...道は無かったのか?」


少年は荒廃してしまった周囲を見渡しながら吐き出す様に呟いた。


「無いよ。全部壊して、平らにしてしまう以外の道なんて私には分からない」


痛哭の涙が流れる惨状には場違いな 鈴の鳴るような声が響く。


「そして壊れてまっさらになった世界を私が作り替え支配する」


少女の独唱が続く。


「世界は支配されなければいけない。始まりはこのちっぽけな都市だ!汚職に塗れた政治家も、弱者を搾取する悪人も、口を開けてただ人に与えられる事に慣れてしまった愚かな民衆も全て壊し一から作り直すのだ」


「それが、子供達が泣かなければいけない理由になるのか?」


彼の純粋な怒り。それが少女と少年の周囲から音と温度を奪った。空気がピンと張った弦の様に張り詰め、緊張感はジリジリと高まる。


「最後に1つだけ聞かせてもらう」




「私の物になれ勇気ある者よ。私と共に来れば世界の半分を与えよう」






「お前の言っていることは素晴らしい事に思える...だが俺には分からないんだ」


少女は静かに次に言葉を待つ。


「今幸せに生きる人々から笑顔を、人生を...奪う理由なんて俺にはっっ!!!!」


瞬間少年が立っていた地面が爆ぜた。否、少年が地を踏み締め跳躍したのだ。


「そうか」


銀髪の少女。魔王は少し悲しげに微笑みながら矢の様に放たれた少年。勇者を迎え撃つ。




地形を変えるほどの激しい戦いは三日三晩続き。勇者の勝利で幕を閉じた。


敗北した魔王の所在は未だ不明だが少年は確かに日本、そして東京殲滅後に侵攻されるはずだった世界を救ったのだ。




日本に大きな爪痕を残した魔王の暴虐は東京事変として歴史に名を残す事になった。


読んでいただきありがたき幸せ( ´ ▽ ` )

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