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のんびりまったり異世界生活  作者: 和奏
第二章 異世界はやっぱり異世界です
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28 大掃除なんて面倒くさいことも癒しがあれば頑張れる

 風の森の家に戻ると、すぐさまもらった枝を水につける。

 しばらく水につけたままにしておき、その後土に挿すのだ。

 植木鉢に地下室から持ってきた土を入れ準備は完了だ。


 待っている間に向こうの家の掃除をするために、雑巾やバケツ、ほうきなど必要と思われるものを用意し、腕まですっぽり隠れる割烹着タイプのエプロンを着て、髪は一つにまとめてお団子風に。

 さらにバンダナを二つ折りにして三角形にし、頭を覆った。

 年末の大掃除さながらの格好でやる気満々だ。

 お掃除タイムの準備を終えたところで掃除用具を持って、もう一度ユラのところへ転移した。

 今度はイヴァンも一緒だ。

 理由は簡単。

 朝ドラが終わったからだ。


 イヴァンは落語に続き、朝ドラにもハマり、毎朝欠かさず見ている。

 時には再放送まで見ているくらいハマっている。

 最近の朝ドラはおもしろくて視聴率もいいらしいけど、お茶の間の皆さんだけでなく異世界の精霊まで虜にするとはなんとも恐るべし朝ドラ。

 あぁ、私の意見は聞かないでね。

 もういろいろ諦めちゃってるから。


 カイセリのユラの家に転移すると、まず初めに土魔法を使ってゴーレムを出現させる。

 頑張って練習した甲斐あってなんと小さなゴーレムを二人出せるようになったのだ。

 しかもバラバラに動かすことも出来るの。

 この調子で練習すれば、春の運動会は無理でも秋の大運動会はできるかもしれない。


 私の脳裏には赤と白の帽子を被り、半そで短パンの体操服を着たゴーレムたちがかけっこをしている光景が浮かんでいた。

 もちろん胸には名前の書かれたゼッケン。

 名前はやっぱりゴーレム一号、ゴーレム二号かしら。


 うわーっっ、かわいすぎるっっ。

 どうしようっ。

 それまでにゴーレムサイズの体操服作らなくちゃ。


 なんて愉快な想像はこれくらいにして、早速キッチンの掃除に取り掛かる。

 バケツに水を汲み、雑巾を濡らすと隅々までくまなく拭いていく。

 ゴーレム二人にも小さな雑巾を渡して、私の手が届かないような狭い場所を拭いてもらう。


 なんて役に立つ小さき者たちなの。


 綺麗に片付いてはいたけど、思っていた以上に埃だらけであっという間に雑巾が真っ黒になった。

 一通り拭き掃除を終えると次は床掃除。

 ちょこまか動くゴーレムたちを埃と一緒に掃いてしまわないように気をつけながら床を掃いていく。

 棕櫚のほうきを持ってきたので、それで掃くと予想以上にツヤが出てピカピカになった。


 そうやって小一時間ほど掃除をすると見違えるほど綺麗になった。

 掃除を始めたときから私の周りをユラユラ漂っていたユラもなんだか嬉しそうだ。

 特にゴーレムたちが気になるのか邪魔にならないように後ろをついて回っている。


 そういえばイヴァンはどこに行ったんだろう。

 

 私が掃除をしている間、イヴァンはふらっとどこかへ消えてしまったままだ。


 今は結界を張ってくれているのでいなくても問題ないからいいんだけど。


 次に店舗スペースの掃除。

 店舗スペースとキッチンの間は壁で仕切られているけど、扉一枚分だけ開いており、行き来が出来るようになっていた。


 ここにのれんとかカフェカーテンとかつければかわいいかも。


 どんな柄の布で作ろうかなんて考えるだけで気分が上がる。

 鼻歌まじりで拭き掃除を始めた。

 

 あらかた拭き終えたところで今度はほうきで床を掃いていく。

 鼻歌を歌いながら掃いていると、ふと視線のようなものを感じたので顔を上げると、窓ガラス越しに七~八歳くらいの男の子と目が合った。

 私がにっこり笑いかけると、一瞬の沈黙の後男の子は、


 「出たーっっ!」


 と叫びながら走り去って行った。


 「そんな人をお化けみたいに言わなくても・・・」


 少し落ち込みつつも掃き掃除を終える。

 真っ黒になった水の入ったバケツと雑巾、ほうきを持って、店舗スペースを後にする。

 途中、地下室へ通じる扉の前で立ち止まり、考えた。


 「あの大量の土をどうにかしなきゃどうしようもないもんね。うん、後回しだね」


 次は二階だ。

 二階には部屋が三つあり、それぞれの部屋の窓には元は白かったと思われる少し黄ばんだカーテンがかけられていた。

 

 「カーテンも変えなくちゃ」


 三つのうち、一番大きな部屋には、木製のベッドと小ぶりのチェスト、ベッド脇に置いておけばちょうど良さそうなサイズのナイトテーブル、それから揺り椅子が置いてあった。

 サゴシュさんは、前の住人の置き土産なので家の中にあるものは全部、使っても捨てても好きなようにしてくれていいと言ってくれていた。

 なので、遠慮なく使わせてもらうことにした。

 

 丁寧に雑巾で拭き、ほうきで掃いていく。

 もちろんゴーレムたちも手伝ってくれる。

 部屋数は三つでも一つ一つはたいして広くはないので、そう時間もかからず掃除が終了。


 「ここを私の部屋にしよう。ベッドやチェストもあるし使いやすそう。何よりこの揺り椅子。一度使ってみたかったんだよね」


 綺麗にしたばかりの揺り椅子に座ってみる。

 少し背中にゴツっとした感触があるけど、クッションか何かを置けば大丈夫だろう。

 どんな柄のカーテンがいいかなとかラグはどうしようかなとか昔パッチワークキルトで作ったベッドカバーが余ってるからそれを持ってこようかななんて考えているとウキウキしてくる。


「ベッド用のマットや布団は、和奏か洸大の二段ベッドに使っているものを持ってくればいいか。二人とももう家に泊まりに来ることはないものね」


 ちょっと悲しい気持ちになりつつも、部屋の模様替えで頭がいっぱいになる。

 そんな私の周りをユラがくるくる回っている。

 ゆらゆらじゃなくてくるくると言った方がいいくらいご機嫌だ。

 

 ユラが嬉しいと何だか私まで嬉しいぞ。


 ご機嫌なユラを見てゴーレムたちも真似してくるくる回ってはコケていた。


 あぁ、その膝小僧に絆創膏を貼ってあげたい。


 「よし。地下室を除けば掃除は終了かな」


 腰に手を当てながら周りを見渡していると、廊下の突き当たりの扉が目に入った。


 「あ、ここって屋根裏部屋があったんだっけ」


 扉を開けて階段を上り屋根裏に上がる。

 屋根の傾斜しているところに明かり取り用の窓がある。

 ガラスが汚れてしまって薄暗い光しか入ってこないけど、綺麗にすればそれなりに明るくなりそうだ。


 「ここに干し草のベッドでもあれば完全にアルプスの少女ね。まあ、干し草のベッドなんて置くつもりもないけど。それよりも問題はこっちよね」


 反対側には布がかけられ何が置かれているかわからない。

 一番近い所にある布を、埃が舞い上がらないように気をつけながらそっと持ち上げる。

 そこには壊れたバケツやほうき、足の折れた椅子など、明らかに不用品だと思われるものがあった。


 「これはもう〈ゴミ〉だよね」


 まじまじと見てもやっぱりゴミとしか思えない。


 「申し訳ないけど、直してまで使おうとは思わないなあ。しょうがない。ここも一つ一つ確認して綺麗に片付けるか」


 かけられていた布をそっと外して片付け始めようとしたとき、ガラクタに紛れて淡く光っているものに気づいた。

 よく見ると小さな青い玉だった。


 「・・・ビー玉かしら」


 手に取ったそれは大きさといい、形といいビー玉そのものだった。

 

 「どうしてこんな所にビー玉?あぁ、きっと前の住人の忘れ物ね。屋根裏部屋と言えば物置か子供部屋だもんね」


 ビー玉で遊ぶ子供たちを想像し、笑みがこぼれる。


 そういえば昔、小さい頃の洸大にビー玉もらったっけ。

 すごくきれいだから早紀ちゃんにあげるって。

 変わった色のビー玉で角度によって虹色みたいに見えるビー玉だった。

 手にしているビー玉もまるで宇宙のような澄んだ青で、見ていると吸い込まれそうなほど綺麗だ。


 貰っちゃってもいいよね、持ち主もわからないし。

 サゴシュさんも家の中の物全て好きにしていいって言ってくれてたし。

 あまりにも綺麗だったので手放すのが惜しいと思ったのだ。

 それに工夫次第で何でも作れる。


 私は青いビー玉をそっとアイテムバッグの中に入れた。


 ぐーっっ!


 早速片付けを始めようかと思った矢先、私のお腹が思いっきり鳴った。


 「あれ?もう昼時なんじゃない?でも変ね。イヴァンからの催促がないわ。そもそもイヴァンはどこにいるのかしら?」


 屋根裏部屋を出て、一階へ続く階段を降りながら、大きな声でイヴァンを呼んでみる。


 「イヴァンっ!どこにいるの?もしかして風の森に帰っちゃったの?」


 すると間を置かずイヴァンの声がした。


 『庭にいる』


 「そうなの。そろそろお腹が空かない?もうお昼の時間だよ」


 『あぁ、そうだな。昼飯にしてくれ』


 じゃあ風の森に帰ろうかと言おうとしてふと思いつく。


 せっかくこの家を掃除して綺麗にしたんだからここで食べたいわね。

 向こうで料理してこっちに持ってくるか。


 掃除をしているときに気がついたのだけど、ここのキッチンはかまどを使って料理をするみたいなのだ。

 この家だけでなくどこの家も同じなんだろうけど、かまどじゃ火加減とか難しそうで上手く作れる自信がない。

 これから少しずつかまどの使い方を覚えていくしかなさそうだ。


 「イヴァン。朝から一生懸命掃除して綺麗にしたんだから、ここでお昼ご飯食べたくない?まあ、イヴァンは全然手伝ってくれなかったけどねっ」


 『どこでも良い』


 「わかった。イヴァンはどうする?一緒に森へ帰る?」


 『いや、我はここにいる。急いで昼飯を作って持ってくるが良い』


 「・・・」


 あいかわらずの上から目線なんだから。


 「じゃあ、ユラ。お昼ご飯作ったら戻って来るから、それまでイヴァンが庭にいるみたいだから遊んでもらっててね」


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