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のんびりまったり異世界生活  作者: 和奏
第二章 異世界はやっぱり異世界です
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8 イケメンが増えたっ

 後片付けをして、家の中に入ると念入りに手を洗う。

 夕食の準備をするためにキッチンに入り、冷蔵庫を開けながら何を作ろうかと考える。

 海老を見つけたので、きょうはエビフライを作ることにした。


 海老の殻をむいたらお酒で洗って流す。

 海老の背ワタを取って腹側に数か所切れ目を入れ、筋を切っておく。

 ボウルに卵、小麦粉、牛乳を入れて混ぜたら海老をくぐらせ生パン粉をまぶす。

 衣がきつね色になるまで揚げると完成。


 次にサラダ。

 ブロッコリーを食べやすい大きさに切って茹でた後、ザルにあげて水けを切る。

 ツナ缶の油を切っておく。

 ボウルにマヨネーズ、ポン酢、ごま油を入れてしっかり混ぜ、その中に茹でたブロッコリーとツナを入れて混ぜ合わせる。

 器に盛ったらすりごまをかけてブロッコリーとツナのサラダの完成。


 鍋に豚汁の用意をしながらタルタルソースを作る。

 最初に茹でておいた卵を潰し、みじん切りにした玉ねぎを入れる。

 マヨネーズとレモン汁を加え、ざっくり和えると最後にドライパセリを少々。

 これで簡単タルタルソースの完成。


 皿にレタスとミニトマトをのせ、エビフライを盛りつけ、タルタルソースをたっぷりかける。

 豚汁、ブロッコリーとツナのサラダ、炊き立ての白いご飯とともにテーブルに並べる。


 私が声をかけるよりも先にいつものように椅子に座って待っていたイヴァンは、目をキラキラさせてしっぽを振っている。


 あぁ、モフりたい。


 それから念話で湖にいるシロを呼ぶ。

 ニシキヘビサイズに戻ったシロと三人で手を合わせて食べ始める。

 サクサクして美味いっとエビフライにかぶりつくイヴァンとシロを見ながら、私もエビフライを一口パクリ。

 

 やっぱりフライは揚げたてが一番よね。


 全てをしっかり平らげて満足そうなイヴァンはからっぽの皿を見ながら、


 『不思議なものだな。サキの手にかかると最初にあったものが全く別のものに変わる。それもさらに美味しくなってだ。料理だけではない。色とりどりの小さなカケラやキラキラしたガラスがきれいな首飾りになったり、ただの布が変わった形の袋になったり。サキの手は特別なのだな』


 「ありがとう、イヴァン。そんな風に言われると作り甲斐があるわ」


 イヴァンに褒められて、ついニヤニヤ笑ってしまう。

 次に作るときも張り切っちゃいそうだわ。


 食後のコーヒーを飲みつつ、リビングでイヴァンとシロと一緒にまったりする。

 シロはシロで一日中湖でのんびり過ごし、少しずつだけど魔力も回復しているようで何だか嬉しそうだ。


 その時、玄関でいつもの音がした。

 ダンボールを取ってくると、早速中のものを取り出す。

 野菜や牛乳、砂糖と一緒に出てきたのは大量のいちご。

 そう、イヴァンとの約束を果たすべくいちご大福を作るためにいちごを箱買いだ。

 出てきた大量のいちごを見て、イヴァンの目が輝きだす。


 『もしやそれは・・・』


 「そうよ。いちご大福を作るためのいちごよ。もちろんいちご大福じゃなくて、いちごを使った他のデザートを作ってもいいし」


 『いちご大福だ』


 すかさずイヴァンの声が飛ぶ。

 私としては三時に和菓子を食べたので、もう少しあっさりしたものが良かったんだけど、イヴァンのご褒美だもの、イヴァンのリクエスト通り、いちご大福にしますか。


 前回同様、レンジで簡単にできるいちご大福だ。

 ただ、前回は普通の黒いあんこしかなかったので一種類だけしか作れなかったけど、今回はばっちり白あんも用意してある。

 これで黒バージョンと白バージョンのいちご大福ができる。


 その後、私はイヴァンのためにいちご大福を作りまくった。

 作っても作ってもイヴァンのお腹の中に消えていくので必死だ。

 それでもいちご二パック分作ったところで、白玉粉で作った求肥がなくなったので終了。

 まだまだ食べられそうなイヴァンだったけど、とりあえずは至極ご満悦の様子なので、ほっと一安心。

 シロも白あんのいちご大福を一つ、時間をかけて丸呑みしていた。

 シロの食事風景はやっぱり慣れない。


 美味しかったかしら?


 何となく私がそう思うとすぐにシロが「美味かったぞ」と答えてくれた。

 思考駄々洩れなのは相変わらずのようだ。


 「サキ、普段我がこの姿でいるのは平気なのか?」


 シロが表情の読めない顔で聞く。


 「そうねえ、かなり慣れてきたわ。多少床をにょろにょろ動いていても気にはならないくらいにはね」


 実は初めてシロが家に来た日、つまり昨日、リビングでサンキャッチャーの作り出す虹に興奮して楽しそうにラグの上を行ったり来たりするシロを見て、気持ち悪いというよりかわいいと思ってしまったのだ。

 初めて見るおもちゃに興奮して喜ぶ子供みたいで。


 「つまり、食べている姿が嫌なのだな」


 直球でこられて思わず狼狽えてしまう。

 なんて答えればいいのかわからない。


 領主様の城では散々シロを傷つけちゃったから、もう傷つけたくない。

 あの時は本当に悪いことをしたわ。

 ごめんね、シロ。


 「別に気にしておらぬからよい。それならこれでどうじゃ?」


 そう言うなりシロは手のひらサイズの人間になった。

 それも目を見張るほどのイケメンだ。


 「サキと同じ人間に変異してみたが、どうじゃ?これなら平気か?」


 元が白蛇だからか肌は抜けるように白く、でも髪は白ではなく水色で背中の中ほどまであり、瞳も赤いままだけどルビーのようで綺麗だ。

 貫頭衣のような白い上着にダボっとした白いパンツを穿いたシロは不安そうな瞳で私を見上げている。

 私は膝をつき、両手を差し出すとそっとシロが手の上に乗ってきた。

 ゆっくり目の前まで持ち上げて視線を合わせると、


 「・・・シロ。すっごくかっこいいよっ。私、びっくりしちゃった。すごいね。シロってば人間にもなれるなんて・・・」


 私の興奮した声に、シロは安堵のため息をついた。

 シロはシロで緊張していたようだ。

 そりゃまた、私に拒絶されたらと思うと不安にもなるよね。

 本当にごめんね、シロ。


 「魔力不足ゆえ、サキと同じ大きさにはなれぬが・・・」


 「いいわよ、全然大丈夫。むしろ私と同じくらいになったら違う意味でドキドキして困っちゃうわ。ふふっ、シロってば小っちゃくてかわいい」


 にこにこご機嫌な私にイヴァンが『甘やかすな』と念話を送ってくる。


 うん?

 嫉妬なの?

 もう、イヴァンたらーっ。


 私は一旦シロを床に降ろすとおもむろにイヴァンに抱きつき思いっきりわしゃわしゃと撫でまわした。

 

 モフモフ天国っ。


 『やめろっ。別に嫉妬などしておらぬっ』


 「いいからいいから」


 そう、イヴァンをモフれるのなら理由なんかいらないのっ。


 ひとしきりモフった後、イヴァンの機嫌が悪くなる前にイヴァンを解放する。


 ほどほどって大事よね。


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