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のんびりまったり異世界生活  作者: 和奏
第一章 こんにちは異世界
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22 初めての依頼

 程なく冒険者ギルドに到着した。

 昨日同様、冒険者の方々からの痛い視線を浴びながら、私たちは受付窓口へ進んだ。

 エドさんが受付にいた、私の知らない女性に用件を伝えると彼女は席を立ってどこかへ行ってしまった。

 マルクルさんを呼びに行ってくれたのだろう。

 私はその間に朝採った薬草の買取をしてもらうことにした。

 隣の窓口の女性も知らない人だったが、ロザリーさん同様の赤毛美人だった。

 最もロザリーさんは見事な金髪だったけどね。

 ミーナと名乗った赤毛美人に早速、ギルドカードとともに初めての依頼品を差し出す。

 それを見たミーナさんはまあと驚いた声を出し、エドさんはヒューと口笛を吹いてすごいなと言った。


 えっ?何が?


「リオラ草が全部で四十本で銀貨八枚。

 フォルモ草も全部で四十本で銀貨九枚と銅貨六枚。

 カウラリア草も同じく四十本で金貨四枚。

 合わせて金貨五枚、銀貨七枚、銅貨六枚になります」


 おお!


 これがすごいのかどうかわからないけど、こっちへ来て初めての労働の対価だ。


 うわあ、なんだか嬉しいかも。


「その中からギルドと従魔の登録料を引いてください」


 そのための労働だったしね。


「はい。わかりました。では登録料の銀貨五枚を引かせていただいて残りのお支払いがこちらになります」


 おお、硬貨がゴロゴロ。

 お財布持ってくればよかったな。


『アイテムバッグに入れておけば良い。好きな時に好きな分だけ取り出せる』


 今まで黙ったままだったイヴァンの言葉に、


 そうなんだ。

 じゃあ、遠慮なくジャラジャラ。


 とその時、


「おっアイテムバッグか」


 マルクルさんの声がした。


「まあ、アイテムバッグ持ちだと思っていたがな。それよりサキ、無事で何よりだ」


 マルクルさんは豪快に笑いながら怖い顔をさらに怖くしながら言った。


 笑えば笑うほど怖い顔になるのは何故だ!?


「ご心配かけてすみませんでしたっ」


 思いっきり頭を下げて謝った。


「いや、無事ならそれでいい。時たま、新人冒険者の中には自分の力量もわからず自惚れて自分の手に負えない上位魔物に突っ込んでいって無駄死にするやつもいるんだよ。まあ、お前にはシルバーウルフがいるから心配はいらねえと思っていたが」


 心配はしてないと言いながらきっとすごく心配してくれたんだと思う。

 まあ、もしかしたら私の光魔法が心配なだけだったかもしれないけど。


「とりあえず、こっちに来てもらえるか。エド、お前もだ」


 マルクルさんに案内されて入ったのは、どうもマルクルさんの仕事部屋兼応接室のようだった。

 ソファに座るように促されたのでちょこんと座ると、隣にエドさんが座った。

 イヴァンは私の足元に寝そべるや否やこのマットは固いなと念話を送ってきた。

 そのタイミングでこれまた知らない女の人がお茶を持ってきてくれた。

 一口飲んでみると何だか薄いハーブティーのような味だった。


 これがこの世界の定番なのかしら?


「あー、まず昨日のレッドボアの件だが、残念ながら依頼としては処理できねえから報酬は払えねえ。代わりに、他の冒険者たちも同じだが素材として買い取って少し色をつけさせてもらう。あの巨大なレッドボアを倒したのはそこのシルバーウルフで間違いねえ。これはエドを含め目撃者が大勢いたから確認済みだ。なので、あのレッドボアの買取代金金貨五枚はお前のものだ。解体代は引いといたからな。それとあいつから立派な魔石も出てきた。これが金貨一枚、合計で金貨六枚だ。何か言いたいことはあるか?」


 マルクルさんに聞かれたけど、金貨六枚が高いのか安いのかわからない。

 わからないけど不満もない。

 でも・・・。


「あの・・・レッドボアの肉って食べられるんですよね?」


 今更何を言ってるんだって顔をするマルクルさんに(チラッと横を見たらエドさんも同じ顔をしてた)、


「私の住んでいた所(日本)にはレッドボアはいなかったので(猪はいたけど)食べたことがなくて。一度食べてみたいなあって思ったんですが・・・。少しだけ分けてもらうことってできますか?」


 嘘じゃないですよ。

 レッドボアの肉なんて食べたことないです。

 猪肉ならあるけど。


「そ、そうか。もちろん、かまわん。お前さんの獲物だからな。うん、好きなだけ持っていけ」


 そんなかわいそうな子を見る目で見なくても。


「いえ、ほんの少しでいいです。ほんの少しで。ちなみに金貨一枚分ってどれくらいですか?」


 マルクルさんは両手を目いっぱい左右に広げて、


「これくらいかな?」


 えっ?


「高さはこれくらい」


 横幅の半分くらいを示す。


 えっ?

 大きくありませんか?その塊・・・。


「そんなにいらないです」


「うん?そうか?でもシルバーウルフも食べるだろう?」


「・・・」


 狼って肉食だよね、忘れてたけど。

 確かにイヴァンはお肉も食べるけど、甘い物ばっかり食べてるイメージが。


「それならこの半分、銀貨五枚分にしとくか」


「はい。それでお願いします」


 本当はそれでも多いんだけど。


 マルクルさんはさっきお茶を持ってきてくれた女の人を呼ぶと(リンジーさんというらしい)レッドボアの肉を銀貨五枚分包むように頼んでくれた。




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