18 長い一日だったので後は寝るだけです
今日の夕飯は昨日ネットスーパーで買った鶏肉を使ってシチューにしようと思う。
鶏もも肉を一口大に切り、玉ねぎはくし切りに、人参とじゃがいもは乱切りにする。
ブロッコリーは小房に分け湯がいておく。
鍋にオリーブオイルを引いて鶏肉と玉ねぎを炒め、人参、じゃがいもを入れ、さらに炒める。
湯がいたブロッコリーを入れて少し炒めた後、白ワインを大さじ一杯投入。
バターと小麦粉を入れ充分馴染ませた後、水を加え、柔らかくなるまで煮込む。
牛乳を加えて温めたらチーズを入れて溶し込んだら完成。
次にガーリックトーストを作る。
フランスパンがないので食パンで代用。
食パンにバターを塗ってチューブ入りのニンニクを塗る。
ドライバジルを振りかけてトースターで五分焼くと完成。
後はレタスとトマトのサラダを各々の前に並べると、テレビの前で食い入るように見つめているイヴァンを呼ぶ。
夕食を作っている間、あれは何だ?これは何だ?とうるさいので、テレビをつけておいたのだ。
テレビではお笑い番組をやっていたが、イヴァンがお笑いを理解できたかどうかは定かではない。
三十五億、私はおもしろいと思うんだけど。
夕食を済ませ、後片付けも終えた頃、玄関でゴトッと音がした。
昨日頼んだものが届いたんだ。
玄関横の扉を開くと見慣れた段ボール。
いそいそとキッチンに運び中身の確認。
あんこをはじめ、野菜や肉、卵、調味料などちゃんと揃っている。
うん、問題なく利用できる。
「イヴァン、和菓子の材料が届いたから、また作るね」
『ああ、楽しみにしている。それよりあの緑色のケーキは食べないのか?』
「えっ、今ご飯食べたばっかりだよ?」
『心配ない。別腹だ』
狼、もとい精霊にも別腹ってあるの?
いや、元々食べなくても問題ないんだから別腹うんぬんは関係ないのか?
『まだか?』
「・・・」
私はもうお腹いっぱいだったので、残っていたパウンドケーキを全てイヴァンに出した。
また、苦いって言われるんだろうなと思いつつ、お茶を添えて。
私も一緒に淹れたお茶を飲みながら、明日のおやつに何を作ろうと考えていた。
今なら桜餅とかいいなあ。
あっ、道明寺粉がないや。(我が家は関西風)
じゃあ、よもぎ餅?
よもぎ粉もないや。
うーん、おはぎ?
もち米がないっ。
この間で使い切っちゃった。
えーと、えーと、白玉ぜんざいなら作れる!
よし、明日のおやつは白玉ぜんざいに決まりっ。
ふと視線を感じて前を向くと、イヴァンがしっぽを振りながら言った。
『明日が楽しみだな』
えっ、そんなにダダ漏れだった?
お風呂にお湯をためている間、パソコンをつけてネットスーパーで注文を済ませる。
道明寺粉とよもぎ粉、もち米、桜餅用の桜の葉っぱはなくてもいいか。
さすがにこれはいつも利用しているネットスーパーには売ってないんだよね。
だからまた今度。
それからあずき缶を追加。
豚肉、鮭の切り身、あっ、今日は海老が安い。
エビフライ用に購入。
レタス、ほうれん草、アボカド、レモン、生姜、あっ、春キャベツ。
これもカートへ。
ベーコン、ロースハム、豆腐、薄揚げ、生クリーム、ヨーグルト。
後これもポチ。
よし、これでOK。
お風呂のお湯もたまったようなので、イヴァンも誘ったけど断られ、一瞬で浄化魔法でサッパリしたイヴァンを横目で見つつ、浴室へ。
「ああ、癒されるーっっ」
今日は柚子の香りの入浴剤を入れてバスタイムだ。
今日もいろいろあったけど、明日も頑張らなくちゃ。
冒険者になっちゃったんだもんね。
・・・冒険者かあ、大丈夫かな。
でも、警備隊のエドさんも冒険者ギルドのロザリーさんも親切でいい人だったし、マルクルさんも強面だけど仲間を大切に思う優しい人なんだと思うし、商業ギルドのリカヤさんだって最初はびっくりしたけど悪い人じゃなさそうだし。
でも、ギルマスのサラトスさんは悪い人じゃないけど腹黒そうな、そうやり手のビジネスマンって感じよね。
気をつけないとやり込められそう。
それでも今日の、新しい生活での新しい出会いは悪くなかったと思う。
ううん、むしろよかったよ。
でも一番はイヴァンと出会えたことだけどね。
こんな私でもなんとかやっていけそうな気がするもの。
美味しそうに和菓子を頬張るイヴァンを思い出して、知らずに笑みを浮かべる私だった。
お風呂から上がるとホームベーカリーに材料をセットして、明日の朝、食パンが焼きあがるようにスイッチオン。
これでよし。




