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のんびりまったり異世界生活  作者: 和奏
第一章 こんにちは異世界
13/160

12 私は珍獣並みに珍しいらしい

 何?

 何が起こったの?


 顔には出さないように心の中でパニくっているとイヴァンの声が聞こえた。


『サキは光、風、土の属性があるということだ。三つも属性を持つ者は珍しい。その上光属性に適性がある者は数少ない。尤も風属性は我が加護を与えたからだがな』


『珍しいってことは目立つってことよね。うわー、どうしよう』


 みんな魔力を持っているなら目立たないって思ってたのにこんなところに落とし穴が・・・。


「すごいな、サキ。三つも属性を持つ者は少ない上に一つは光属性だ。回復や浄化ができる光属性持ちはなかなかいない。冒険者どもから引っ張りだこになるぞ。中には怪しい奴らもいるから気をつけろよ。お前みたいな新人は軽く見られがちだからな」


 最後の方の言葉は私にしか聞こえないようにこっそり忠告してくれたエドさんは本当にいい人だ。

 本気で心配してくれている。

 年下でなかったら惚れているところだ。


 そっと周りに目をやると冒険者たちはこそこそと私の方を見ながら何やら話しているようだ。

 時々、あんな子供引き込んでしまえばこっちのもんだとか、女だから力づくで何とでもなるとか怖い言葉が聞こえてくる。


 子供じゃないの、本当はおばさんなの、だからほっといてーっっ!


 と声を大にして言いたい。


 どうしよう、どうしようと内心狼狽えているとイヴァンが


『心配するな。お前には指一本触れさせぬ。我は強い。何と言っても偉大な精霊フェンリルだからな』


 ああ、そうだ。

 イヴァンがいる。


 そう思ったら安心してなんだか落ち着いてきた。


 そうだよ。

 中身は半世紀も生きてきたおばさんだもの。

 大丈夫、大丈夫。

 何とかなるよ。


『その意気だ』


 イヴァンもニヤリと笑い返してくれる。


 と、その時。


「お待たせしました」


 声のした方に視線を向けると、先ほどどこかへ行ってしまったロザリーさんがいかつい大男を連れて戻ってきた。

 エドさんも大きいと思ったけど、この人はさらに大きい。

 その上、かなりの強面で子供なら泣き出しそうな雰囲気だ。


「この子が三属性持ちなのか?それも光属性まである・・・」


 大男が私を指差しながらロザリーさんに聞いている。


 人を指差しちゃダメなんだよ。


「まだ子供じゃねえか。登録はまだ無理だろ?」


「一応成人されていると伺っていますが・・・」


「ギルドカードはもう作ったのか?それを見りゃ年を誤魔化してるかどうかわかる」


「すみませんっ。すぐに作りますっ」


 ロザリーさんは慌てて白い板のようなものを取り出して三色がぐるぐる渦巻いている球の下に置く。

 一瞬、光ったかと思うとそれを取り出していかつい大男に渡した。


「サキ、女、十八才。・・・じゅうはちぃ!?」


 みんなが一斉に私を見た。

 明らかに嘘だろという目だ。


 見た目は若いですけど、中身おばさんですから!


 でもそうか、肉体年齢はやっぱり十八才なんだ。

 まさかのJKだよ。


「あーすまん。俺はマルクル。カイセリの冒険者ギルドのギルマスだ。知っているとは思うが、光属性を持っている者は少ない。主に回復や浄化の面でギルドに不可欠だ。この先、そういった類の依頼をギルドからすると思うがその時はよろしく頼む。ただ、今冒険者登録をしたってことはFランクだよなあ。せめてDランクまで早いとこランクアップしてもらえると助かる。Fランクじゃ依頼に制限が多いからな。Dランクでギリギリ緊急依頼が出せる。いや、それより嬢ちゃん拠点はどこだ?ここで登録したってことはここを拠点にするつもりか?ずっととは言わねえ。だがなるべく長くここにいてくれねえか。そうすると他の冒険者どもが・・・」


「ストップ。少し落ち着け、マルクル。サキが困ってる」


 さらに言い募ろうとするマルクルさんをエドさんが止めてくれた。

 ホッとして小さくため息をついた。

 あまりの機関銃トークに脳が半分停止状態だったのだ。

 冒険者についての詳しい説明がないのでよくわからない。

 えーと、つまり?


『ナメられないように気をつけろってことだな』


 そうなんだーって本当に!?


 その時、おずおずとロザリーさんの声が割り込んできた。


「あのー、サキさんは従魔登録がまだお済みではないので、手続きを進めてもよろしいでしょうか」


「ん?従魔?嬢ちゃんには従魔がいるのか?」


 マルクルさんとは受付窓口を挟んで話していたのでカウンターの下にいたイヴァンには気づいていなかったようだ。


「はい。シルバーウルフだそうです」


 ロザリーさんの返答にマルクルさんが


「シルバーウルフだと!?シルバーウルフはなかなか人には懐かんのにそいつを手懐けるとは・・・」


 と、驚きの声をあげる。


「では、サキさん。シルバーウルフの毛を一本いただけますか?」


 言われてイヴァンの毛を差し出すと、水晶だかガラスだかの球体の上にイヴァンの毛を、球体の下に先ほどの白いプレートを置く。

 すると、イヴァンの毛はすっと消えていった。


 本当にどんな原理なの?


「ではこれで冒険者登録と従魔登録が完了しました。こちらがギルドカードになります。身分証も兼ねていますので、失くさないように気をつけてください。紛失されますと再発行に手数料がかかります。なお、冒険者登録に銀貨三枚、従魔登録に銀貨二枚の登録料がかかりますので、合わせて銀貨五枚をお支払いください。三ヶ月以内にお支払いがなければ登録解除となり一年間は再登録できませんので気をつけてくださいね」


 ロザリーさんから渡されたカードには私の名前とランク、性別、年齢、イヴァンの名前だけが書かれていた。


 これ一枚あれば何でもわかるってことなのかしら。


「えーと、あの、冒険者のことはよくわからないので簡単に説明してもらっていいですか?」


「はい、わかりました。では・・・」


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[一言] 「せめてDランクまで早いとこランクアップしてもらえると助かる。Fランクじゃ依頼に制限が多いからな。Dランクでギリギリ緊急依頼が出せる」 Dランクまで上げたら、メリットより、こき使われるデメ…
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