第七話
2018年初投稿です。
今度こそSST出動です。
前話は時系列的に先に出したほうがいいと思い変更しました。
SSTの出動が決定して約二時間。
客船[あかつき]のを数隻の巡視船が囲み、その一隻である巡視船「ふそう」の格納庫にSST隊員たち二十名が整列していた。
彼らの前には隊長である福島が立っている。
「現状の再確認をする。[あかつき]が暴徒に制圧され、かなりの時間が経過している。
[みずほ]の乗員が乗り込んだが、結果は説明しなくてもいいだろう」
隊員たちはコクッと頷く。
「暴徒の装備はわかっていないが大型犬よりも大きい犬が確認されている。
本部からは既に射殺許可が下りている」
「つまり見つけたら撃てばいいのですか」
隊員の一人が手を上げた。
「まずは警告だ。だが警告後、もしくは警告前に暴徒が襲ってきたなど抵抗された場合、撃っていい」
撃っていい。つまりは殺していいと言うことだ。
それを聞いた新入り、水野は手に持つMP5を強く握りしめた。
するとトンッと左肘になにかが当たった。
「おい、どうしたんだ」
当たったのは左隣に並ぶ先輩隊員の相良だった。
面倒見が良く水野もお世話になった。
ただ彼は自他共に認めるオタクである。
ファンタジー好きで関連情報を他の隊員に広めてオタクを量産している。水野もオタク化された一人。
「初めての実戦なので緊張しています」
「初陣なのはここにいる隊員全員そうだ。
訓練は何度もしてきたがこんなことは始めてだ。俺なんか武者震いが止まらない」
そう言って震える右手を見せる。
それを見てあ~、と呟く。
「おい、そこ!私語は慎め!!」
「「ハッ、申し訳ありませんッ」」
隊長に注意され黙る二人。
「全く、続きだが我々は三つの班に別れて[あかつき]に乗り込む。原田を班長とする第二班六名と筒野を班長とする第三班六名はボートで接近し、船首から乗り込む。第二班は右舷客室、第三班は左舷客室を捜索し、民間人の救出と暴徒の鎮圧を行う。客室の捜索後、船底部の倉庫と機関室を捜索する」
第二班と第三班の隊員が頷く。
「そして私を班長とする第一班八名はヘリからロープ降下で乗り込み、民間人が立て籠っているレストランに向かい救出する。救出した民間人はヘリで巡視船にピストン輸送する。それが完了次第、船体中央にあるショッピングエリアの捜索に入る」
第一班の隊員、水野と相良も頷く。
「念を押して言っておくが銃の引き金を引かねばならない時は迷わず引け、でなければ自分が死ぬ。そのことを考えておけッいいな!!」
「「「ハッ!!」」」
「それでは諸君、出動だ!!」
ご指摘ご意見ご感想などがありましたらコメントお願いします。