第一話
仮想戦記創作大会参加作品です。
目標としては十話程度で終わらせようと思っています。
8月になり多くの人が夏の連休を楽しむ時期だが、働く人もいる。
その働く一部の人たちが船に乗り大型客船に近づいていた。
海上保安庁巡視船[みずほ]操舵室。
「あれが客船[あかつき]か?」
橋葉船長は双眼鏡を覗きながら石川副長に聞く。
「はい。日本の大企業が建造した乗船客・乗組員合わせて三千人以上を乗せられる大型客船です。本来なら楽しい船旅の最中のはずですが・・・・こんなことになるとは」
二人が見る客船[あかつき]は日本を出港した後、シンガポール、パラオ、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイなどを巡る太平洋一周航海をしているはずだったが今は太平洋の日本経済水域内で漂流している。
「緊急通信では確か暴徒の集団に船が奪われてしまった。でしかたか」
巡視船[みずほ]がここに来たのは[あかつき]から緊急通信で暴徒に襲撃され制圧されたと連絡があったからだ。
保安庁はまず一番近い海域にいた[みずほ]を送り情報収集、可能なら交渉を命じていた。
「あぁ、たが通信が途切れて既に二時間が経過している。なのに船を奪ったと思われる暴徒から声明も要求も何も出されていない。おかしくはないか?」
「そうですね。それに船体を見る限り何も起きてないようです。不気味なほど静かだ」
「現状全くわからん。中で何が起こるのかも。乗り込む八名の人選は終わっているな」
「八名は装備を整え、ヘリも格納庫から出しいつでも出せます」
既に[みずほ]の後部では載せていたヘリコプターの準備を終えていた。交渉のため八人は戦闘に備え装備を身に付けている。
「まずは船内との連絡を取ってみよう。無線、ダメなら外部スピーカーで呼び掛けてくれ」
「了解しました」
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