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異世界フラグは膝蹴りでも折れない  作者: 陽夏
第二章
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天啓は喋らない


評価が全てではないよ、と学生の頃の先生は言っていた。それまでの見えない努力やその他諸々が貴方達の力になるんだよ、と。


とてもいい言葉だとは思うが力になったところでその評価のせいで力を発揮できる場を失ってしまっては意味がない。



小説しかり漫画然り。自分が面白いと思っていても読者が面白いと思わなければ意味がない。思っていてもそれを言葉にしなければ意味がないのだ。


これが、、、圧力だ!!!!!!


わかったらとりあえず面白いですくらいは言っといたほうが身のためだって近所の王蟲も言ってましたよ、などと訳のわからない独り言をぽつぽつと吐きながら家路に着いた。



石仮面は結局まきました。


いやだってあんなん逃げるしかないやん?


魔狼はとりあえずきちんと狩れたことを確認し、素材は諦めて逃げに徹した。


だって嫌な予感しかしない。もう嫌むり嫌いフラグ嫌い。


なんか僕のこと見てニヤッとしたし、あの男の人なに怖い、あ、ホモ?え?ホモ?


ぅ、うっわぁ、、、、、、


思い出して改めて身震いするいろんな意味で。





「任務を変更、これより対象を捕らえる」



なんか言ってるウケる。かっくいいなにそれ。


石仮面の勇者(石仮面は被っていない)が僕に向かって剣を抜いた。



「お?なに?やんの?」



つとめて前衛的に。下手には出ない。ギルドのおっちゃん達に教わったことだ。


対人戦をする時は必ず余裕を持って挑発すること。ノった方が負け。



まああの人たちはちょっと煽ったらすぐキレるけどな!



グッと膝に体重を乗せるモーションの後、鋭い風切り音と共に目の前に銀色の線が引かれる。


数センチ前であれば僕の鼻は個性的な形に分かれていた。


そのまま数歩下がって半身を右に傾ける。そこを洗練された突きが通過した。


避けなければ脇腹がえぐれていた角度だ。


こいつまじやんけ。


相手が本気大好きウィスキー野郎だとわかってしまえばこちらとて本気大好きウィスキーするしかない。僕だって好きで本気大好きウィスキーするわけではないのだ。


でもやらなければやられる。本気大好きウィスキーしなければ本気大好きウィスキーされてしまうのだ。



途中から言いたかっただけなのだ。


拳を天啓で補正しながら軽く剣を弾き、右足を軸にして思いっきり回転する。その拍子に懐から取り出した小さい針を相手の足めがけてぶん投げる。


軽量の物を投げるのに全体重と遠心力を使う僕ぱねぇわ。


しかしおそらくあいての天啓が発動したのか、針は数秒空中に浮かんだまま停止し、僕とこいつだけの世界となる。


お互いに牽制しつつ針が落ちてあいての天啓が切れるのを確認してからもう一度針を投げながら左右にステップして間合いをはかる。


反復横跳びじゃないよ!ちゃんとこれ冒険者さんに教えてもらったんだからね!!



針を弾きつつ間合いをさらに詰めようとしてくるので、こまめに天啓を駆使しながら距離をとり、至って冷静なそぶりで問いかける。




「切る前に話し合いとかできないのお前なんなの猿なの?」


「切った後でも死なねば話し合いはできる」



澄ました顔で薄ら笑いを浮かべながら淡々とそう述べた男は、綺麗に磨かれたであろう剣先を、その剣技を完全なる敵意の元、再度こちらに向けた。



「はっはーんお前さてはブリーチの見過ぎだな?卍解とかしちゃうの?まじまんじだなお前」


「最近の猿はよくわからん言語を使うのだな」


「はいてめぇは俺を怒らせました!」



レミルくんこう見えて元2ちゃん民だから口悪いんだわ。

まーじディオ!って感じ。オラオラしちゃうぞ。



「よく覚えておくといい、俺は時を止める天啓を持つ勇者。貴様のような模倣には劣らぬ、真の天啓を授かりしものだ」



なんかわかってきたわ。こいつ。めっっっちゃかわいい。たぶん自分のこと最強だと信じて疑わないんだろうな。まだ人生に挫折したことがない。


そして失ったこともない。


「じゃあ僕のことも覚えておくといい」


天啓よ。頼む。



僕は膝に力なんていれなくていい。そっと天啓に頼むだけでいい。


テレポート大魔神。


そして彼の耳元でこう囁いた。



「ふたりはプリキュア。まっくすはーと。」


「っ!?!!?ぅぅ!?!?!?」



これは呪いの言葉。一度聴いたら耳から離れなくなる呪いや言葉。



「帰って猛省しろまじ、あといきなり人に斬りかかるな」




急に目の前から僕が消え、真後ろに現れて意味のわからない言葉を囁いた。それも妙に語呂がいい。


そんな状況をうまく掴めない彼を置いて僕はまたテレポート大魔神で西門の脇道へと移動した。



僕はまだ人を斬れない。というか斬りたくはない。


おそらく斬らなくてはいけなくなった時、斬ることはできるはずだ。まだ口先だけの覚悟だが、いざとなれば天啓がある。



そしてこの天啓とずっと考えてきた天啓の組み合わせがあれば大抵の敵など傷つけずに退けることもできる。



今はそれで十分だ。


たとえあの石仮面の勇者(石仮面は一度も被っていない)が自国に帰り僕のことをぷりきゅあだと報告しても今はそれで十分だ。



いざとなったら天啓があるッッッッ!!!!!


天啓ッッ!!まじで頼むな!!!!!


一生ぷりきゅあはおいちゃんちょっとばかし厳しいからな!!!


今日も天啓は当たり前のように返事をしない。


それでも僕は家に帰るまで語りかけた。今までなんども命を救ってくれた天啓だ。これからも何度だって頼るだろう。


そんな天啓に僕はずっと語りかけていた。


主に妹の話をした。楽しい。あんな、ラミアが最近口笛をおぼえたんだ。



天啓。頼む。どうか天まで、あなたのいるところまで届けてくれ。



「ただいま」


台所から母と妹が顔を出す。


「おかえりおにいちゃ〜〜〜〜〜〜」


父さん。


あなたが守った家族は、今日も元気です。



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