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転生しました。  作者: さきくさゆり
第一章
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異世界テンプレ魔法と魔道具について語る

 俺は荷物持ちとして、とっても便利なテンプレ魔法と魔道具を持っている。



 一つは異空間魔法。

 文字通りである。

 元々は、修行中に周りの魔力を一気に取り込む練習していたとき、魔力の真空状態になり空間が割れたことがあり、それを参考に作った魔法だ。

 最初は、ただ穴が開くだけだったり、物をいれたら異空間のどこかへ消えたりととんでもない魔法だったが、試行錯誤の末、内部を魔力を使って箱のようなイメージで覆ったことにより完成した。

 この魔法の利点は、どんなものでも入れられること。そして内部では時間が存在していないこと。

 食べ物をいれても問題ない。 

 難点は、魔力制御が難しいため時間がかかること、取り出すたんびに入れてあるものをすべて出さなくてはならない為、また入れるときに固定し直さなければならないことである。

 ここを改良したいのだが、なかなかうまくいかない。

 一部だけ取り出そうとしても、数回に一回の頻度で中身が異空間に流れてしまうのだ。

 固定化がうまくいっていないのか、開けることで外との境界が曖昧になるからなのか、原因はまだよくわかってない。

 まあ数回に一回でもすべてなくなるよりは、すべて出してしまい直すほうがいいが、そのうちなんとかしたい。



 そして魔道具は、俺のお手製アイテムバッグである。


 アイテムバッグは市販されているのだが、自分の魔力総量によって容量が変わる仕様になっている。

 そのため、魔力無しの俺にはただの少し丈夫なカバンとしてしか使えなかった。

 周りの魔力を取り込んで使っても反応なし。理由は不明。魔力が通っている感覚はあるんだが、どうも自前の魔力じゃないとダメなようだった。

 ただその時、他の魔法事態は使えるのは何故なのかという新たな疑問が出来てしまったが、とりあえずその時は考えないことにした。

 まあそんなこんなで色々考えた結果、だったらいっそ自分で作れないだろうかと考えたわけだ。


 最初に、市販のアイテムバッグを解体して中身を調べたり、魔力の通りかたを調べたりした結果、全くわからなかった。

 なので今度は市販されている普通のバッグの中に圧縮した魔力を流し込みながら、中の空間を広げるイメージでやった結果、破裂。

 今度は中の空間を広げながら周りも魔力で固め、それを何度も繰り返していった結果、成功。

 そしてなんと、この作業を繰り返せば、少しずつではあるが容量が増やせることがわかった。

 数えるのも馬鹿らしくなるくらい失敗しつつ、異空間魔法の容量の四倍になったところで、広げるのをやめた。

 このお手製アイテムバッグの利点は、出し入れが自由であること、そして容量がめちゃくちゃでかいことである。

 技術と根気があれば、おそらく無制限に広げられるだろう。

 難点は、中の空間は外と同じように時間が経過すること、物しか入れられないことである。



 とまあそれぞれ一長一短な感じだが、まだまだ改良の余地がある状態である。



 長々語ったがつまり何が言いたいかというとだ。

 俺はこれらの魔法を死ぬ気で習得したわけだ。

 俺に自前の魔力がないからそれをハンデにしたくなくて、血辺戸を吐くまで努力したわけだ。

 その結果の異空間魔法とアイテムバッグなんだよ。

 とくにアイテムバッグは本当に苦労して苦労して作った、この世界でたった一つの魔道具なのだ。


 それをね。


 いきなりね。


 寄越せって言うんですよ。

 そんでチェニックに渡せっていうんですよ。

 軍団が。



 理由はまあ、荷物持ちだから食料とかテントとか湯船とか入れてたんだけど、道中で何度か出し入れしてたら、チェニックが、


『そのアイテムバッグってなんか色々入っているけど、たしかパスト君って魔力が無いはずだよね。どういう仕組みなの?何処で手にいれたの?僕もほしいなあ』


 これを聞いた軍団達に、アイテムバッグについて根掘り葉掘りほぼ尋問状態で聞かれ、仕組みの一部をゲロってしまったのだ。


 そしたらあいつら、


『ただの荷物持ちが持っていていいような魔道具ではない。

 即刻寄越せ。そして、作成法を教えろ』


 ってすげえ剣幕で迫ってきたのよ。



 あまりの剣幕に、もう少しで軍団ごとこの辺一帯を消滅させてやろうかと思ったら、チェニックが来て、『お腹すいたから早くご飯食べようよ』と空気を読まない発言をして去っていき、軍団はチェニックついてった。

 初めてチェニックに恩を感じた。


 ちなみにこの出来事は出発して二日目の夜である。


 二日でこんなことになるなんてなあ。

 早く帰りてえよ……。






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