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転生しました。  作者: さきくさゆり
第一章
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あっという間の2ヶ月間と面倒なイベント

 春うらら。

 桜舞い散るこの季節。

 まあ異世界に桜はないんだが。


 俺はこの学園に入学します!


 いやーついに!ついに!ついに!高等学園に入学ですよ!

 寮の方も今までは四人部屋だったけど、高等からは人が少ないため一人一部屋!

 最高だね!

 え?前回とキャラが違う?

 あーあれはーあれだよ。

 プロローグだし。

 必死に頑張ってやってきたことだし?

 なんか軽く話すのも嫌だっつーかなんつーか。

 まあとにかく今日からは明るい学園生活!

 俺の素晴らしい異世界学園生活とくとご覧あれってやつですよ!








 そんな入学式から約二ヶ月経ちました。


 え?この二ヶ月何があったかって?

 お教えしましょう。

 俺の高等学園ライフを。

 朝起きて、飯食って、学園行って、ギルド行って仕事して、ギルドで飯食って、帰って寝る。

 しいていうなら、放課後に旧校舎の音楽室でピアノっぽいものとかギターっぽいものとかで前世の曲を演奏してストレス発散してます。

 なぜかいろんな楽器がこの学園の旧校舎に埃かぶって置いてあったのです。

 前世の趣味の1つが楽器演奏だった俺にとってまさにベストプレイス!


 え?なぜ旧校舎のそんな場所を見つけられたのかって?


 まあわかるでしょ?

 学園に居場所がないボッチはさ。

 一人でいても大丈夫な場所を探すのだよ。

 旧校舎はいかにもな感じのボロ屋でね。

 全然人が寄り付かないの。

 だからこれ幸いと入り浸っております。

 もちろん使いやすいように修繕しまくりましたよ。

 今では音楽室のとこだけやたら綺麗です。

 そんなところで、前世のアニソン、フォークソング、クラシック、ジャズ、アイリッシュ、手を出したやつを片っ端から演奏して楽しんだ。

 ケルト音楽ってなんかいいよね。

 夕方の校舎の中で演奏するともうね。一人悶えてる。


 まあそんなことをしながら、二ヶ月間すごしていたわけだ。

 変わったのは放課後ボッチタイムが加わっただけで、他は何も変わらない。


 まあその、やっぱり学園内で友人知人はできませんでした。

 二ヶ月間の間にすでにクラスカーストも仲良しパーティも決まり俺はほぼ忘れられた存在となっている。



 そしてこの二ヶ月のボッチ生活のおかげで俺は今、そこそこ面倒な事態に陥っているのだ。





「討伐遠征試験?え?一人でやりますけど」

「おかしいなパスト。確か私はクラス長に五人以上のパーティを作って紙に書いて提出するよう全員に伝えさせたはずだが?」


 今は放課後、いつものように旧校舎にいこうとしたところ、中庭でウチのクラス担任である先生に呼び止められたのである。


 黒い髪を腰まで伸ばしていて、いつもミニスカスーツのような服を着ているボンッキュッボンのメガネ美人だ。

 背は俺より高くてちょっと見上げるくらいだ。

 美人なのに、性格がとてつもなくキッツいためか、彼氏とかはいないらしい。

 その辺のことに触れかけると……この話はもうやめよう……。


 あ、申し遅れました。

 俺の名前はパスト=オリガ。

 すっかり言い忘れてた。


「先生、クラス長に言っても伝わりませんよ。俺はクラス長どころかクラスの人々から忘れられた存在と化してるんですから」

「……お前この二ヶ月間学園にいたよな」

「失礼な。無遅刻無欠席の皆勤賞です先生」

「まあいい……。とにかくお前だけ討伐遠征試験のパーティが決まってないんだ。あと二週間しかないのにどうするつもりなんだと思っていたが……」


 討伐遠征試験。

 文字通りの試験である。

 王都から往復一週間ほどのところで魔物を討伐して帰ってくる。そんだけ。

 問題はそれをパーティで受けなければならないのだ。

 まあ、確かに難しい討伐系の仕事は一人じゃ何かあった時に危ないため、ギルドの規定では五人以上のパーティで挑むのが望ましいとは言っている。


 が、


 望ましいのであって確定ではないのだ。

 そして俺は、討伐系も含め、仕事はほとんど一人でこなしている。

 討伐試験程度なんて一人で余裕なのだ。



「今さらですか?しかも俺のせいじゃないのに俺が頭下げるんですか?」

「お前が友人を作らないのが悪い。クラス長には言っておくからとにかく入れてもらえ」

「一番嫌なんですけど。どうせパーティってことはあいつとその他ハーレムメンバーなんでしょ?嫌だよそんなとこに入るの。なあ先生、俺はギルドで討伐も遠征も経験あるんだし一人で行かせてよー。最低限の点数取れればいいからさあ。頼むよー」

「うるさい。とにかくだ。クラス長には言っておくから、そのパーティに入れ。経験あるんならお前が色々と教えてやれ」

「もっと嫌だよ!あいつらのパーティどんななのか知ってて言ってるの?!パーティ全員から好意寄せられてるのに気づいてない上、女子どもは蹴落としあいしてんだよ?!あんなとこに俺が入ったら何されるかわかんねえよこええよ……」

「とにかく決まりだから。以上」


 そう言って先生は去っていった。



 困った……。

 なんでソロはダメなんだ……。

 いいじゃないか一人でやったって。

 一週間もあいつらといるとか考えられない……。




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