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転生しました。  作者: さきくさゆり
第一章
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なんて礼儀知らずな奴だろう(チェニック視点)

 

 やあ!

 僕はチェニック。どこにでもいる至って普通の一五歳だよ。

 今、僕は仲間たちと遠征討伐試験の為、オーガの討伐に来てるんだ。

 元々は幼馴染のリーシャ、元奴隷のナナ、王女様のエリー、貴族のエマの五人で挑むはずだったんだけど、先生から同じクラスでいつも寂しく一人でいるパスト君を仲間に入れてあげなくちゃならなくなったから入れてあげたんだ。

 

 男のくせに金髪を肩まで伸ばしている変な奴で、背は僕より頭一つ分くらい低い。

 周りに全く関わってないから学校では目立ってないけど、先生が言うにはすごく頭がいいらしい。

 それを聞いて少し期待してたんだ。

 だけどさらに話を聞いてみたら、魔力0だっていうじゃないか。

 いくら頭が良くてもそれじゃあね……。 


 でも僕は入れてあげることにしたんだ。

 リーシャ達は反対してたけど荷物持ちとしてって言ったら納得してくれた。

 だって友達がいない落ちこぼれなんて可哀想だろ?


 でも、パスト君はアイテムボックスなんて羨ましい物を持ってたんだ。

 魔力0なのに使えるものすごいやつを。

 容量もとんでもいない。

 一体どこで手に入れたんだろうと思っていたら、自分で作ったんだって。

 そんな技術聞いたことないし、魔力0の落ちこぼれがそんなの作れるわけがないからきっと嘘なんだろうな。

 エリー達もすごい剣幕で食い下がっていたけど結局教えてなかったよ。

 エリーが王女様だって事は知ってるはずなのに。王女様に聞かれたら答えるのが普通だろ?


 ただ、試作品だと言って小さいポーチをくれたからとりあえず黙ることにした。

 最初からくれればいいのに。

 でもどうせくれるなら大きいのが欲しかったな。


 あと、川に行くとか言ってどこかに消えた日、いきなり物凄い男を連れて帰ってきたのには驚いた。

 なぜかワンピースを着ている男。

 しかも、物凄く親しいかんじ。

 僕が話しかけてあげてる時には相槌を打つくらいしかしないのに。


 ほんと変な男だ。

 だから、友達ができないんだな。



 村に着いたら、村長の挨拶に行ったのにパスト君だけはニコリともせず頭を下げるだけ。

 しょうがないから僕が挨拶したよ。

 恥ずかしいからちゃんとして欲しいな。


 宿ではなぜか僕はリーシャ達の部屋に連れてかれた。

 同じ部屋だし、少し周りへの態度のことで説教してやろうと思ったのに。

 まあでも、そんな無愛想な男とよりもリーシャ達といたほうが楽しいからいっか。

 どうせこの試験が終われば関わることもないだろうし。


 少し部屋で休んだあと、パスト君を呼びに行ったら熟睡していたから、寝かせておくことにした。

 リーシャ達からも、僕達とは違って体力もないだろうし、きっと疲れてるだろうから休ませてあげようと言われたしね。

 ただ、ナナが『ご主人様の迷惑にならないよう言ったのに』、と少し怒っていたけど頭を撫でてあげたら大人しくなった。

 にしても、もう奴隷じゃないんだからご主人様呼びはやめてほしい。

 何度も言ってるのにやめてもらえないから半ば諦めてるけど。



 広場でヤクーさんと待ちあわせていたから、急いで行かなくちゃと宿を出ようとしたら、ヤクーさんが迎えに来てくれたよ。

 事情を説明したら笑ってた。

 最初は怖かったけど話してみるととても気持ちのいい人で僕達はヤクーさんが結構好きになった。

 パスト君も見習えと思うよ。

 ワンピースは似合わないけど。

 民族衣装らしいよ。

 食べながら談笑していたら、ヤクーさんはパスト君を待つために広場に戻っていった。


 その後もしばらく食べて、デザートを半分くらい食べ終えたところでパスト君とヤクーさんが店に入ってきた。

 パスト君はずっと笑っていた。

 遅れたのに謝らないなんてほんと礼儀知らずなやつだな。

 僕らはデザートをさっさと食べて店を後にした。


 帰ってきたら説教してやろうと思ってたけど、またリーシャ達の部屋に連れてかれた。そしてそのまま寝てしまった。


 次の日の朝、パスト君は起きてこなかった。

 宿屋の人によると、昨日の晩はお店でずっとお酒を飲んでいたらしい。

 帰ってきたのは明け方だったそうだよ。

 なんで、試験前日にお酒なんか飲んでるのさ!

 ホントありえないよ!

 流石に他のみんなも怒っていたし、呆れてもいた。

 そりゃそうだよね。

 宿屋の人に当たり障りのない伝言を頼んで僕たちは五人だけで試験に挑むことにした。もともと五人でやることだったしね。

 宿屋から出ると、エリーが忘れ物をしたと言って宿屋に戻っていった。

 すぐに出てきたから何を忘れたのか聞いたけどはぐらかされた。まいっか。


 とにかく僕たちはパスト君を置いて、五人で依頼を受けることになったんだ。




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