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5話 計画通りな出来事と計算外な出来事

ずるずる・・・

「こんなのあったよー(はいはい茶番茶番・・・)」

ボロボロになった例のアレを拾ってくる眼鏡少女


「ひっ!」

先程の恐怖が蘇り、怯えるアクシオスを安心させるかの様に優しくぎゅっと抱きしめる女神さん。

「大丈夫、私がいるからもう大丈夫よ?」

満面の笑顔で答えながら、あのボロクズにどう落とし前つけさせようか思案始める女神さん。


しばらくして、精神的に立ち直ったアクシオスは疑問な事を女神さんに聞くのだった。

「その人なんであんなにボロボロなの・・・?」

そういうと、女神さんは残念そうに眼鏡少女へ目線を向ける

「え?え?なに?」

突然向けられた視線に困惑していた

「あ、うん」

何かに納得したかのような様子で、凄く残念そうな視線を向けながら納得するアクシオス。

女神さんを全力で信用しているので当然の対応といった所である。

「アクシオスは、アレをどうしたいのかしら?」

「えっと・・・」

「気に入らないなら、眼鏡の人が輪廻の輪から消滅させるわよ?」

「出来るけどさぁ・・・」

ああやっぱりと、諦めた様な顔で呟く

「えぇ・・・それはやり過ぎのような・・・僕の力不足が原因だし・・・」

「でもアクシオスに酷い事をしようとしたし、(なにより私が気に食わないから)罰が必要じゃないかしら?」

「う、うん・・・お姉ちゃんがそういうなら・・・」

「そうだ、この子の村の慰者にでもしちゃえばー?淫魔っぽいし丁度いいんじゃない?」

「いいわね!そうしましょう!」

そういうとノリノリで二人共ボロ姉さんに逃走防止、抵抗防止、強制魅了やら露骨にヤバイ禁術を重ねがけしていく。

その様子を天罰ってこういうものなんだと思うと同時に、お姉ちゃんが居てくれて良かったと切に思いながら固唾を呑んで見守るアクシオスだった。

勿論、慰者という意味を知る事なく・・・。


しばらくして・・・

「かんせーい、コレあの子の村にいてくるねー」

というと、眼鏡少女とボロ姉さんの姿が消えた。

「お姉ちゃん、慰者ってどういう意味なの?」

そう女神さんに話しかける

「男の人の役に立つこと人のことよ?」

「そうなんだ!なら良かった。僕も時間があったら様子を確認しておくね!」

少し安堵した様子で呟くが

「だめっ!!近づいてもだめ!!アレを使おうなんて思ってもだめ!!」

物凄い必死な形相でアクシオスに迫る女神さん

「う、うん・・・わ、分かった」

なんでなんだろうという疑問もあったが、女神さんの迫力に気圧されて同意せざるをえなかった。

「そういうことは、全部私がするから必要になったら、私を呼んでくれればいいのよ?」

女神さんも恥ずかしいのだろうか、

頬を上気させながらアクシオスに言い聞かせるよう優しく話しかける。

「う、うん」

あまり深く聞いてはいけない様な気がしたアクシオスは、とりあえず同意した。

それと同時に女神さんがアクシオスに抱きついてくる。

「時期が来たら全部私が教えてあげるし、全部させてあげるから、今はまだ待ってね?」

アクシオスに言い聞かせる為か、自分に言い聞かせる為か、本人しか分からないが、

強めに抱きしめ、胸にアクシオスを埋没させるのだった。

「う、うん」

いつもより大分早い女神さんの鼓動を聞きながら抱擁されるのであった。



しばらくして・・・


「ただいまーアレ置いてきたよー」

いたずらが成功した様な顔をしながら帰ってくる眼鏡少女

「ご苦労様」

アクシオスを抱擁しながら目線も向ける事無く女神さん

「(・・・溺愛ってレベルじゃないよねーアレ・・・)」

そう思っても決して口には出さない眼鏡少女だった。

「あとで何でもお願い聞いてあげるから、そこにいるお姉さんにもすこーしだけ魔力上げてもらえないかしら?」

申し訳なさそうにアクシオスに尋ねる女神さん。

「うん!」

笑顔で同意してくれた事を確認すると、眼鏡少女を傍に呼び寄せた。

「服の上からのハグまでは許す」と殺意を込められながら、耳元で眼鏡少女に囁くのも忘れていない、勿論アクシオスに悟られる事無く笑顔のままで。


そんなこんなで無邪気に眼鏡少女にハグされるアクシオス。

「(あれ?可愛い・・・容姿はストライクゾーンじゃないんだけどなー、なんでだろ?)」

不思議に思いながらすこーしだけ魔力を貰う眼鏡少女

「・・・!!!」

「・・・大丈夫?」

「お姉さん・・・?」

頬を上気させながらビクンと体を震わせて微動だにしない眼鏡少女を不審に思い声をかける二人


「御姉様!す、少しご相談したい事が・・・」

「駄目よ?」

にこーっと笑顔のまま即答した。

「お願いします!ここじゃ色々とまずいので・・・」

チラッとアクシオスを見ながら女神さんへ懇願する。

「はぁ・・・仕方ないわね」

溜息を付きつつ、アクシオスから少し離れた場所で話すことを提案する女神さんと

不思議そうな顔をしつつ二人を見送るアクシオスだった。


「ね、姉さん!いや御姉様!ボク御姉様の次でいいからこの子欲しいんですがよろしいでしょうかっ!」

「10万年」

「へ?」

「10万年後なら2番目でいいわよ?」

「ぐむむ・・・」

ボクにも適齢期ってものがあるんだよ!と思わず叫びそうになった眼鏡少女だったが、その言葉が自身の破滅をもたらす言葉である事に気付くと沈黙するしかなかった。

「ただ、私が許可してもあの子にあなたが好かれなければ実現しないわよ?」

やや勝ち誇った様にドヤ顔で答える女神さん

真剣に悩み始める眼鏡少女だったが、しかたないか、といった様子で承諾するのだった。

しかしそれはアクシオスが最低10万年は何があっても生かされる事が勝手に決まったという事でもある。


何かを決意した険しい顔の眼鏡少女と、やれやれといった顔の女神さんが戻ってくる。

「やっぱり僕の魔力って変なの・・?」

眼鏡少女のただならぬ様子をみて、不安そうに女神さんへ尋ねる。

「その逆よ?とっても素敵なのよ?」

優しく頭を撫でながら答える女神さん。

「キミの事を助けたいから、ボクの事を召喚してよ、これ上げるからさ!」

どこからか綺麗な石取り出し

「それがあればボクの事召喚出来るからさ!魔法陣とか適当でいいよー」

といいつつ半ば無理矢理綺麗な石を押し付ける眼鏡少女。

「願い事叶えるしー世界の理だしーこれ位しょうがないよねー」

完全に棒読みだが、呟きながら女神さんをチラチラ見る眼鏡少女。

そのやり取りをやや不機嫌になりながら眺める女神さん。

「お姉ちゃん・・・?」

戸惑いながら女神さんを見つめるアクシオス。

「大丈夫。嘘は言って無いから。それにアレでも“一応”私の妹だしね?」

それを聞いて少し安心したアクシオスは魔法陣をササッと作る。


「いつでもいいよっ!」

と魔法陣から大して離れていない場所で眼鏡少女が叫ぶ。

を尻目に、世界の理って融通が効かないんだなぁと思いつつ術を展開していく。

眩い閃光と共に30cm程度の召喚が成功する。

「召喚ありがと!」

「(うーん複雑・・・)」

そう思うと苦笑するしかなかった。

「さて、キミを助ける為に来たわけだけど、姉さんからはキミが強力な呪いにかかっていて、

あと1年位しか生きられないって事聞いてる?」

「えっ・・・?」

突然死の宣告をされて完全に思考が止まるアクシオス。

「お、お姉ちゃん・・・本当・・・?」

泣きそうな顔で力なく尋ねる。

「ごめんね。私の力だと呪いを払える事も出来ないし、まして運命を変える事もできないのだからあの子を呼んだのよ?悔しいけれど、あの子だったらどうにでもできるから安心してね?」

優しく諭すようにぎゅっと抱きしめた。

「う、うん」

潤んだ瞳で女神さんを見上げると無言でぎゅっと抱きしめ返すアクシオス。

「ゴ、ゴホン!姉さんそろそろいいかな?」

申し訳無さそうに恐る恐る尋ねる。

「よろしくね?」

そういうと名残惜しそうにアクシオスから離れる女神さん。

眼鏡少女に「うっかり失敗したら死ぬまで殺すからね?」と耳元で尋常じゃない殺意を込めながら囁くのも忘れていない。

「じゃ、じゃあキミ・・・って名前教えてくれる?」

そう言ってお互いの名前を交換する。


「よろしくねーアクシオス君。さっそくその忌わしい呪いを断ち切ろうね!」

「は、はい僕は何をすればいいですか?」

「ボクとぎゅっとしようか!その方が色々と便利だし!」

チラッと女神さんを見つつ提案する。

「は、はい」

緊張しつつもどこか照れながら眼鏡少女に抱きつく

「(あー・・・姉さんがこうするの良く分かるわー癒されるー・・・100年位こうしてたいなー)」

緩みきった顔でホクホクしていると女神さんの殺意を込めた笑顔を向けてきたので、慌てて呪いにかけられた運命をわざとじっくりと時間をかけて操作した。

「ふぅ・・・これで後56年生きられるよー。平均より少し長いかな?やったね!」

結局サラッと死の宣告をする眼鏡少女。

「えっ・・・あ、うん・・・」

どう反応していいの分からず複雑な表情をするしかないアクシオス。

「変な所触られなかった?」

そういいながら眼鏡少女からアクシオスをひったくる様に抱きすくめる女神さん

「う、うん大丈夫!」

「(姉さんが居る所でそんな事する訳無いじゃん!)」

「じゃあ、この前のジュースをあげるわね?」

「(ジュース・・・?)」

「うん!ありがとうお姉ちゃん!」

そういうと何食わぬ顔で何処からか取り出したネクタルを渡す女神さん

「ちょっ!!姉さん!?それ・・・!」

渡そうとしている物の正体に気付き、青ざめる眼鏡少女。

「ちゃんと呪いが解けているか確認が必要でしょう?うふふ」

そう力説する女神さんだったが、目が猛禽類の獲物を狩る目付きだったのは、

気のせいだったのだろうか。

「うふふじゃないよ!アレを飲んだら人間は・・・!」

ガクガクと肩を揺すりながら制止しようとしたが、

時既に遅く飲み干してしまうアクシオス。

「・・・ヒック」

強力な呪いが解除されているため、従来の効果を問題なく発揮したようだ。

「あらあら?大丈夫?アクシオス」

顔を真っ赤にしながら、フラフラしているアクシオスを抱きとめる。

「おねぇちゃん・・・僕なんだかふわふわして気持ちよくなってきたよ~」

「あらあら大変ねぇでも私がいるから大丈夫よ?うふふ」

そういうと優しく微笑み、ぎゅっと強めに抱きしめる。

「おねぇちゃん・・・いいにおいがしてやわらくてきもちぃぃ・・・むにゃ・・・」

「あらあらしょうがないわね、ちゃんとベッドで寝ないとね?うふふふ」

そういうとアクシオスを抱きかかえると、躊躇なくアクシオスの家に入っていった。


しばらく一連の流れをポカーンと見ていた眼鏡少女だったが

「え、うそ!?既成事実でも作っちゃうの!?」

姉の大胆すぎる行動と計画性の高さに驚くばかりだった。

「ボ、ボクも代償貰ってないしいいよね!」

そういうと照れながらアクシオス家のドアに手を掛けるが、ビクともしなかった。




某所


???「・・・時がきたようじゃな」

そう呟くと足早にどこかへ向かう者がいた。

まだその事に気付く者は誰も居なかった。


ここで一区切りです。プロローグが終わった感じです。

まだ先は長いっぽいですが、お付き合いしていただけると幸いです。

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