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2話 事後処理と再召喚

事後処理と再召喚


「私の真名も教えちゃった事だし、もうちょっとだけ魔力を貰ってもいいかしら?」

名残惜しそうに尋ねる女神さん

「うん!」

それに笑顔で答えるアクシオス

「ありがとう!」

そういってアクシオスにぎゅっと抱きつく女神さん

「う、うん(ちょっと恥ずかしい・・・)」

そう言って女神さんの胸に深く顔を埋めるアクシオス

一般男性なら反射的に爆ぜろ!!と言われかねない状況だが、

この場には二人しかいないので問題はない。


「んっ・・・もう大丈夫よありがとう(これ以上は色々我慢できなくなりそう)」

顔を上気させて離す女神さんだが、女神さんを直視出来ないアクシオスに気付かれる事はなかった。

「お姉ちゃん!僕に弓の使い方をもう少し教えてください」

そんな健気なアクシオスを見てキュンとしながらも、しっかり教えようと心に決める女神さん。

その後手取り足取り教えていた女神さんだったが、終始アクシオスの体と触れ合っていたのは意図的かまたはたまたまの偶然だろうか女神さんしか分からない。

その成果か、アクシオスは今まで感じた事のないモヤモヤとした感情が芽生え始めたのはアクシオスだけの秘密である。


それなりの時間が経過して・・・


「それじゃ大切に使ってね?あとくれぐれも悪い事に使っちゃ駄目よ?またね~」

「うん!大丈夫だよ!またねお姉ちゃん!」

笑顔で見送るアクシオス

そして妙にツヤツヤした女神さんは閃光と共に魔法陣から帰って行った。


「あのドラゴン捌くんだよね・・・

それにジェームズさんの家が粉々になっちゃったから謝らないと」


その後、一連の出来事を村長に報告し、村人総出でドラゴンの解体を行い、

ドラゴン肉も美味しく食べられる事となった。

またドラゴンの鱗も非常に貴重である。

通常は激しい死闘の末退治する事が出来る為、

傷の無い状態の鱗などほぼ入手が不可能な為、間違いなく高額な値段で取引されるだろうと事だった。


家が木っ端微塵になったジェームズは何枚かのドラゴンの鱗を持たされ旅立つ事になり、

売り払おうとした商会で商人や鑑定人があまりのレア物っぷりに興奮し過ぎてぶっ倒れたり、売り払ったお金で贅の限りを尽くし、ハーレムを作り、痴情のもつれで大変な目にあったり後世のハーレム構成の教訓として語り継がれるのは別の話である。




とある天界

トントントンがちゃ

「今ちょっといい?」

「むり」

大量の書類に囲まれた眼鏡を掛けた少女は視線だけ送り、ダルそうに答える。

「そう・・・残念ね、じゃあ主神の所にいってくるわね」

踵を返し、部屋を出て行こうとする女神さん

「!?ちょ、ちょっと待った!!何事!?一体どうしたのさ?」


通常、主神に報告する事態とは、自分の権限を越えて事象を起こしたい時に判断を仰ぐ時や、

裏切り者の密告である。

某神の裏切りによって引き起こされた神々の黄昏をまた起こさない為にも報告は義務付けられていたりする。


「あなたが魔王戦役でミスした事の報告をしようかと思って」

しれっと重大な事を呟く女神さん

「!?あ、あんな1万年以上前の事を今更報告した所で・・・」

「そう、もうあなたに会う事はないかもしれないけれど・・・」

「わー!待って!待って!ちょっと待って!!とにかく部屋に入って!」

顔を真っ青にしつつ、慌てて当たりを見回し厳重にドアを閉じ、隠蔽の禁術を掛けた上で部屋の位相をずらした。

もはや奇跡の盛大な無駄遣いである。

「・・・ふぅ・・・コレだけしとけば大丈夫かな」

「おおげさね~」

「なっ・・・!姉さんもどんな事になるか分かっているだろう!?」

「私は何も悪い事なんてしてないから分からないわ~」

基本的には神々とは自己中であり、自分、もしくは自分が加護を授けたり、何かを貸し与えた者が害されない限り、無頓着である。

勿論同属である者に対しても基本的に無頓着である事にあまり変わり無い。


「ぐっ・・・何が望みだい」

苦虫を噛み潰した様な顔で答える眼鏡少女

「あら?まるで私が脅しているみたいじゃない?」

「くっ・・・」

追加で苦虫を噛み潰した様に更に顔が歪み、涙目になっている眼鏡少女


魔王戦役、その名のとおり魔王と勇者の伝説である。

魔王陣営の有力者を死の運命に導く筈が、勇者側の有力者を間違って死の運命に導いてしまい、勇者陣営が圧倒的に不利になり人類が滅亡の危機に瀕してしまう一面があった。

その後どこかの女神さんがアーティファクトな弓を貸し与え、あっという間に事態を収束させた裏舞台があったりする。

もし万が一この事が報告されていたら、眼鏡少女の運命が危機的状況になるのは想像に難しくない。

結果だけ見れば魔王側に加担し、人類に破滅をもたらそうとしたという事実しかない。

もっとも女神さんは眼鏡少女が、ついうっかりでやらかした事を深く理解しているので、

度々お願い(強制)をする時の引き合いにだすのである。



某所

非常に暗い闇が支配している場所で密会は行われていた。

???「・・・スカイドラゴンがやられた様だな、ドラゴン族の面汚しめ」

忌々しそうに呟く

???「奴はドラゴン族の中でも最も最弱、ただ空を飛べるトカゲに過ぎません。」

嘲る様子で呟く

???「遅かれ早かれこうなるだろうとは思っていたけど・・・ね」

非常に淡白に淡々と呟く

???「奴の亡骸はどこに?せめてドラゴンの墓場に埋葬してやろう」

???「とある辺境の地に落下したらしいですね」

???「そうか(事故の線は無さそうだな・・・まさか勇者?それとも魔王様がお目覚めになられたか?)」

???「奴の側近の話しだと、地上から高速の何かが飛んできたと思ったらスカイドラゴンがやられていたそうです。」

???「高速の何か・・・?(強力な魔法か・・・?まさか武器ではあるまい・・・となるとやはり勇者か魔王様の線が濃厚、か。だが情報が少なすぎる、まだ結論を急ぐ事もあるまい)」

「俺が様子を見てきましょう、奴の鱗の何倍も硬い俺ならその何かにも必ず対応してみせましょう」

そういって一つの存在がその場から姿を消した。

「その自信が身を滅ぼさなければいいんだがな」


辺境の村に程近い森の中

「ふむ」

そういうと彼は辺りを見回し誰も居ない事を確認する。

「この辺りのはずなのだが・・・特に異常は感じられないな」

そういうと彼はドラゴンの姿から人間の姿へ姿を変えた。

その姿はあまりにも平凡すぎて特徴がないのが特徴のような、ある意味不気味な中年男性の姿だった。

「この姿になるのも久しぶりだ、まだ違和感があるな、一つ肩慣らしでもしておくか」

肩慣らしに丁度よさそうな獲物の気配を探り始めた。



とある辺境の村

「本当に大丈夫か?」

心配そうにアクシオスに尋ねる村長であった

「大丈夫です!村の蓄えになるようなモノを見つけてきます!皆さんはドラゴンの解体に専念してください」

そう答えて森へ向けて歩き出すのだった。


ドラゴンの解体は非常に力仕事であり、迅速な作業が求められる。

鱗を削ぎ落とす作業と肉を切り落とす作業になるのだが、迅速に作業しないとアンデット化してしまう可能性がある為、必死で作業せざるを得ないのだった。


しばらく森の中を警戒しながら歩いているアクシオスだったが、

以前と変わらない事を確認でき、木の実、山菜、薬草と日持ちがし、アクシオスでも持って帰れる物を探し始めた。

「モンスターが出てきてもお姉ちゃんに借りた弓があるし・・・でも威力が凄すぎだよね・・・」

地上で使ったらどうなってしまうのか興味は尽きなかったが、自身が死にかけ、命の大切さを知ったアクシオスは容易に使おうという気にはなれなかった。

「おい少年」

しばらく収集をしていると見かけない人物からふいに声をかけられた。

「は、はい!?」

まさか人が居るとは思っておらず、驚きながら答えるアクシオス

「この近くに、ドラゴンの亡骸を見なかったか?」


「それならうちの村にあります。おじさん村に知り合いがいるんですか?」


「あ、あぁ実はその村に行こうとして迷ってしまってな、村はここからどの方向にあるんだ?」

曖昧に誤魔化し改めて尋ねるおじさん。

「えっと・・・」

村への行き方を丁寧に教える

「すまない、助かった。礼として苦しまずに殺してやる。村の連中もお前の後にしっかり皆殺するから心配するな、先にあの世でまっていろ・・・くくく」

先程の容姿からは想像できない様な殺気を放ちつつ、邪悪な顔でそう呟くとアクシオスへ手を向け人間一人を簡単に消し飛ばせる魔力を集束させていく。


「!?」

突然の出来事に驚く事しか出来ないでいるアクシオスに凄まじい魔力が迫ってくる。

「・・・っ」

思わず目を瞑って魔法が到達するのを身構えていたが、いつまでたっても何もおきなかったので恐る恐る目を開けて辺りを確認すると、少し驚いた顔をしたおじさんがいた。

「ほぅ?あれをレジストするか・・・」

「おじさん何者!?」

「俺はアースドラゴン。スカイドラゴンの亡骸を捜しにきてみれば、

なかなか骨のある奴がいる!」

面白そうに先程とは比べ物にならない魔力を集束させていく。

「ドラゴン!?」

驚きつつも背負っていた弓を構える。

魔力を集束させてならがその様子を見ていたアースドラゴンだったが、

一変して様子が変わる。

「貴様!何故その弓をもっている!!

貴様は・・・貴様だけは、ここで確実に殺しておく必要があるようだな!勇者ぁ!!」

「っ・・・!」

いきなり勇者と言われ困惑するアクシオスだったが、

目の前に迫った禍々しく膨大な魔力という具体的な死を目の前にしてしまっては鏃を引き絞り狙いを定めるしかなかった。

-------

「はあ・・はあ・・死ぬかと思った・・・」

戦いの緊張から開放されたアクシオスは木の根元にへたり込む。

「なんであの魔法が消えたの・・・?それに僕が勇者・・・?」

自分の理解の及ばない出来事がこの短時間で頻発しすぎ、困惑気味に呟くが、

答えてくれる者は誰も居なかった。

「それよりもアレを村長さんになんていおう・・・」

アクシオスの目線の先には、変身が解け胸に大穴を空けたアースドラゴンの亡骸が横たわっていたのだった。



某所


アースドラゴンの使い魔から自身の死亡と、勇者降臨の伝言がその場にいる者達へ伝わる。

???「勇者が降臨していた、か」

表情は分からないが、重苦しい雰囲気は伝わってくる口調で呟いた。

???「まだ魔王様はお目覚めになっておられませんが・・・」

困惑しながら答える。

???「だが、忌々しい事にアースドラゴンがやられてしまったのだ、信じるしかあるまい。

奴の鱗は人間ごときが作った武器などで貫く事などできん、それが出来るということは神々が貸し与えたアーティファクト級の武器も持った何者かがいると言う事だろう」

???「い、一体何がはじまるんです?」

???「まだ分からん!だが、各地に散っている軍勢を召集させる必要がある。

早急に召集と魔王様の状況確認を頼むぞ」

そういっていその場を立ち去る

???「ぎ、御意!」

そう言ってもう一つの存在も掻き消えた。



約束の期間が迫ったある日


「村長さん僕はこの弓を返さないといけないので、また1日位僕の家の近くには近寄らない様にお願いします」


「うむ、何から何まですまない、せめて使役した者にも村一同感謝をしていた事を伝えておくれ」

そう言ってアクシオスの家から遠ざかっていく村長

「はい!分かりました必ず伝えます!」

2匹分のドラゴン肉、鱗が手に入った為、劇的に村は豊かになっていた。

また、村にはドラゴン肉の滋養強壮、強壮精力促進の副次的な効果で男も女も非常に積極的になっていた。

不思議な事にアクシオスには全くアプローチは無かったが。


村長の姿が見なくなった事を確認した上で、魔法陣に魔力を込め始める。

「(お姉ちゃんの真名教えてもらっているから大丈夫だよね)」

そこへ閃光と共に現れたのは・・・

肌が浅黒く露出が激しい色気全開なお姉さんだった。



少しずつ何かが動きはじめていきます。

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