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サードパーティー  作者: なつ
第一章 舞台は遠く山荘で
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 6

 これらの事件を一連のものと解釈するならば、すでに事件は半ばを過ぎていることになる。しかしこの考えは希望的観測に過ぎない。まだ始まりの一部でしかないのだとしたら、同様の事件は終わらない。

 問題となった十字路に立ち、日比野は腕を組んだ。もしもこの場所が今続いている事件の最初の場所なのだとしたら、遡ると以前別件で近くの大学を訪れたときにこの事件の兆候に気がつくことができたかもしれない。

 あの時、結城静江と話をするために大学に行くと休講ということですでにそこに彼女の姿はなかった。休講という素敵なシステムは大学生の特権だ、などとあの時は悠長な考えをしたものだが、その講義の教授が殺されたのだ。

 その大学から歩いて五分ほどしかこの場所は離れていない。五月雨屋という飲み屋からもすぐ近い。

「ここが始まりなのでしょうか」

 日比野の部下である加藤が、彼の後ろから声をかけた。日比野は声には出さずまず頷く。

「われわれが把握している、始まりだな」

 教授の死体は十字路の真ん中にあった。胸に杭を刺されていたが、出血の跡はなかった。殺された場所は別のところなのであろうという判断がなされているが、不思議なことに死体の体内にも血がほとんど残っていなかった。首筋に何か鋭利なものを刺したのだと思われる二つの傷跡があり、どうやら血はそこから抜けたらしい。

 同様の事件は警察が把握する限りこれまで三件ある。いや、三件目が起きた時点で連続犯の可能性に気がついたというのが現状を正確に言い表している。だからこうして、日比野は最初の事件の現場に今になって来ているのだから。

「何か意味があるのでしょうか」

「意味があるとは思えない」

 日比野は考える。この一連の事件を彼女に話したとしたら、彼女はたちどころに事件の筋書きを導きだせるだろうか。

 だがあまりにも情報がなさ過ぎる。日比野が得ている情報が少ないのだ。彼女に伝える時点で情報はさらに限定される。日比野にとって重要とは思われない情報が、もしかしたらクリティカルな意味をもっているかもしれない。

 少なくとも日比野自身が事件について冷静な判断と、疑わしきものたちとの接触を試みなければ彼女に話す価値もない。

 あるいは、自分に価値がないと判断されるかもしれない。

「では、まずは彼から話を聞くことにしますか」

 加藤は大きく返事をする。



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