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サードパーティー  作者: なつ
第一章 舞台は遠く山荘で
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 4

 はたから見ても夢宮さやかは真っ白だった。

 授業中に先生が名指したときでさえ全く反応しないほどだ。甲斐雪人はペンを回しながら神田隆志を見ると、彼は肩をすくめて笑って見せた。

 放課後、甲斐が再び荷物をまとめていると、夢宮が魂の抜けた表情で甲斐の机の前に来る。

「ゴメンナサイ」

 消え入りそうな声だ。

「旅のしおりを返して下さい」

 差し出された両手はわなわなと震えている。神田が夢宮の背中を軽く叩く。

「いや、今日は面白かったよ、なかなか。芹沢さんから警告を受けて、俺も協力して一緒に勉強しようって言ってたのにな。で、旅のしおりを作るために徹夜をしておいてこの結果とは、力を入れるところを完全に誤ってるよな」

 普段ならパンチでも飛びそうなところであるが、夢宮はまるで反応しない。神田もさすがにやばいと思ったのか、頬をぽりぽりと掻いている。

「旅行楽しみにしてたけど、残念。まあ、これはまた別の機会ということで」

「いいえ、もう、わたしなんて」

 本当に消えてしまいそうだ。

「そんなに気を落とすことないよ。楽しそうじゃない、合宿って」

「地獄です」

「その合宿、僕も参加するし」

 ぱっと夢宮の顔に色が戻り、不思議そうな顔をする。

「そんな嘘のような慰めいらないし」

「嘘じゃないよ」

「……もしかして、教える側?」

 甲斐は頷く。甲斐は立ち上がると、夢宮の耳元で続けた。

「それに、芹沢さんも教える側で行くそうだよ」

「本当に?」

 すでに声に力がこもっている。

「これは秘密だから、口外しないように。なんだかあまりにも真っ白だからね」

「本当なの?」

 もう一度甲斐は頷く。夢宮の表情が次第に壊れていく。

「にへへへ」

 くるっと振り返ると、夢宮は他の生徒のところへ行き旅のしおりを勇んで回収し始めた。

「おお、すごい変わりよう。いつの間にかあいつの扱い方覚えたな」

「さすがにあれだけ真っ白だとかわいそうだから」

「それに、お前合宿に参加するっての、本当なのか?」

「昨日芹沢さんにお願いされて」

「ああ、それで昨日彼女が宿舎に来てたのか。それにしてもすごいことだぞ。普通一年目から教える側になんて回れないぞ。二年、三年の中でも優秀な人材が選ばれるものなのに」

「だから困ってるんだよ。断るわけにもいかないし、上の学年の人には教えられそうもないし」

「まあ、がんばれってことだな」

 大きく二回神田は頷くと、甲斐の肩を叩いた。


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