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サードパーティー  作者: なつ
第三章 装飾された殺人の謎
21/28

 6

 ダイニング。

 甲斐雪人、坂崎陽菜、来栖都、柳ヶ瀬尋司、アルフレッド・インディー、田村澪、芹沢雅、藤枝百合子、夢宮さやかの順に座っている。

 小野寺光次は浴室で、小野寺光一は自室で、そして五十嵐さつきは外に出たところで殺されていた。共通しているのは、全員が胸に杭を打たれていたことだ。

「警察と連絡がつきました」

 芹沢がまず報告をする。

「簡単に状況を説明しただけなのですが、あちらもすでに厳戒態勢に入っていたようでして、こちらにすぐに向かってくれています。おそらくお昼過ぎには最初の隊が到着するはずですわ」

「私がもっとしっかりしていれば」

「先生が悪いわけではありません」

「アリバイのある人はいますか?」

 甲斐が声を出す。

「そういうことは警察に任せればいいじゃない」

「はい。ですが、僕にはどう考えても無関係の人間の仕業には思えない。この中に殺人者がいるなら、自首をして欲しいのです」

「根拠は?」

「あります。柳ヶ瀬さん、さっきの紙を見たでしょう?」

 柳ヶ瀬は頷く。

「あれが何の文句か知っていますか?」

「もちろんだ。マキャベリの君主論に出てくる。君主は聡明でなければならない」

「そうです。それから、浴室に書かれた文字をアルフさんは見ましたか?」

「お前は美しい」

「ゲーテのファウストに出てきます。時間よ止まれ、お前は美しい、と。それから、小野寺光一さんの私物のパソコンに赤い文字で私は存在する、と」

「われ思う、ゆえにわれあり、か」

「そうです。デカルトの方法序説に出てくる一説です。さらに」

 甲斐は胸のポケットから紙を出した。昨日芹沢が気絶していた近くで拾ったものだ。

「ドラキュラは時によって死ぬことはない」

「ブラム=ストーカー」

「君主論、ファウスト、方法序説、ドラキュラ。この四つの書物が何を意味するか、先生は分かりますか?」

「ええ」

 藤枝が説明しようとしたのを甲斐は抑える。

「他に、この四冊の意味を知っている人はいますか?」

 テーブルを見回すと、柳ヶ瀬、夢宮、田村が手を上げた。

「僕は知っています。芹沢さんは?」

「何となく」

「ヘイ、その四冊が何なんだい?」

「幽霊が読んでいた本です」

「ワォウ」

「図書棟の幽霊の噂なら聞いたことがある人も多いでしょう」

「藤枝先生が証拠を見つけたって噂?」

 来栖が手を上げた。

「そうです。もちろん知っていても手を上げないこともできますが。この学園の学校の怪談のような噂を知っている人なんて限られている。先生が図書棟で見つけた本がこの四冊というわけです。ですが、その四冊を先生は秘密にしていた」

「ええ」

「それなのに四冊の本の噂は少しずつ広がっていた。先生以外にもその四冊を見た人がいるということです」

 甲斐はそこで言葉を止めた。少なくともその四冊のことを知らなければ、この犯行はできないのだ。

「殺されたのは深夜なのでしょ?」

 坂崎が震えながら顔を上げる。

「私アリバイなんてないもの。誰もないんじゃないの?」

 全員俯く。

「そうよね、今全員の状況は同じということよね」

「それって誰が犯人でもおかしくないって話」

 そう、誰が犯人でもおかしくないんだ。


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